消防士 兼 旅人の日記

消防署での出来事、ダラダラした日常生活を綴ります。

応急手当指導

2013-05-28 23:03:08 | 消防・救急
先日非番で、応急手当の講習に行ってきました。

管内保育園に勤める保育士さんを対象に、主に小児・乳児に対しての応急処置の方法とAEDの使い方を教えて欲しい…との内容で。


うちの署の方針で、救急隊員はなるべく非番・休みに訓練指導へは出向させない方針(労務管理のため)らしいのですが、対象が小児と乳児の…とのことなので、誰か救急隊員1名をと言うことにになり、私が手を挙げて行ってきました。

夕方(と言っても、ほとんど夜に近い感じ)からでしたので、家帰って昼寝する時間はバッチリ取れたし、訓練指導に行くのは好きな方。救命講習の講師なんかもどんどん行きたい方なのですが、署の方針が邪魔をするような感じでしてね。

なかなか無いチャンスでしたが、行って来ました。


消防隊の上司2人と救急隊員の私。上司の最初の挨拶の中で、『今日は救急隊の人を連れてきたから、救急のことだったら何でも聞いて下さいね!』の一言に妙なプレッシャーを感じつつ…。


やった内容は心肺蘇生法とAEDの使い方。ベースは大人と一緒だが、小児・乳児だと少々違ってくる部分もあるので、その辺の説明を主に。

昔やったことがあると言う方も結構多かったので、今は昔とやり方が変わったんですよと言うことをお話しました。(『ガイドライン2010』と言う記事を参照下さい)

小児・乳児の心肺停止の場合は大人と違って、不慮の事故によって心肺停止に陥るのが多い。誤飲だったり、自転車に乗せててヘルメットがなかったために…とか、チャイルドシートに乗せなかったがために…なんてことを実例を交えて。

大人の注意で防げることが大半だと言うこと。そのために、近くにいる大人が気をつけなくてはならないと言うこと。当たり前のように思えて実はできてなかったりする。

そんなお話をした後に、実際に心肺蘇生法をやってもらい、その後にAEDの使い方を指導しました。


私が心肺蘇生法の指導を行う場合、AEDの使い方はそれほど時間を割きません。AEDよりも心肺蘇生法に重点を置く。これがムサシ流。

理由は色々あるんですが、元々AEDの謳い文句は、『誰でも使える』と言うこと。スイッチを入れる手段は機種によりけりですが、スイッチを入れることさえ忘れなければ後は手順を全て教えてくれる。

私からあえて説明しなくても、この機械が全て教えてくれる。だから、その通りにやって下さいとしか基本的には言いません。

使うにあたっての注意点はいくつかありますので、私から説明するのはそれだけです。あとは、AEDがあれば必ず助けられると言うわけではないこと。心臓が電気ショックを行えるような状態でないとAEDは使えないので、誤解されている点もお話をさせて頂いてます。

(過去に、『AEDのお話』と言う記事を書いていますので、ご参照ください。)


最後に、万が一異物を飲み込んだ時の対処法を受講者の前で人形と上司を使って実際に実演。その後に全体を通しての質問タイム。

最初に上司が『何でも聞いて下さい!』と振ったのが効いたのか、色々と出てくる出てくる…

妙なプレッシャーを感じましたが、それにも負けず、無事に終えることができました。


署の方針で、私が次に講師として行く予定はありませんが、また小児や乳児が絡んでくるような場合だったら声がかかるかな?

その時はまた、行きます!って手を挙げさせてもらいましょうかね。講師として行くのは好きな方ですので


明日は仕事です

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10 コメント

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Unknown (きな粉)
2013-05-30 10:02:42
おはようございます(^_^)ゞ
こんにちは。ですかね(笑)

お勤め、お疲れさまでした。

ふむふむ。
講習会というものは映像を見て、実践。という感じがありましたから ムサシ流はイイですね☆
今度、そんな感じで行いたい旨を話し合いに出かけてきます。(がんばる)
小・中学生企画と未就園児企画。
成功するか否かではなくて、知識として知っててもらうとか、理解してもらえればイイ。位で良いですよね?
プロを連れてきましたぁ~!!ってなると
お互いに緊張するモノかしら?
あっ。でも、なんだかできそうな気がしてきました。
この頁をブックマークしてと…。
予定は2時間。少し物足りない程度に内容を作れば次につなげられるかな(笑)

がんばりすぎずに、少しだけがんばってみます。(力こぶ)

では、おやすみなさい。

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こんにちわ (マリン)
2013-05-30 18:30:25
梅雨入りしましたね!
ジメジメ嫌だな~(笑)

現役の消防士さんの話が聞けるのはいいですね(*^^*)
やっぱりプレッシャー感じるんだ(笑)

以前に受けた救命講習で 人工呼吸の際に人形の胸が上がらなかったのを思い出しました(笑)
なかなか上手くいかなかったです~

心臓マッサージでも こんなに体重かけて肋骨が折れないかな~とか いろんな事を考えながら受けましたね(笑)

これでも独身時代は医療機関で働いてたんですが…(-_-;)

いざ実践となると出来るか心配です~。

子供は異物を飲んだりする事故が多いと聞きました!
拳をみぞおちにあてて…ってするのかな?


ムサシさんにはまだまだ聞きたい事がたくさんあります♪
子供と関わる仕事を今はしているので勉強しなきゃですー。
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きな粉さんへ (ムサシ)
2013-05-31 22:24:43
人によっては、映像(DVD)を使って講習を行う場合もあります。でも、それは上級救命講習(8時間)など講習時間が長い場合ですかね。2~3時間じゃ思ったよりも早く終わってしまう。

講師1人10人程度を受け持つとして、1人の受講者が実際に人形やAEDを触れるのは10分程度かなって。それだけに、DVD見せちゃうと『実際にやってみる』と言うことが極端に少なくなっちゃうんです。

見るより聞くよりも、実際にやった方が覚えるはず。そんな考えもあって、私の場合は実際にやってもらうことに時間を多く割いております。


あとはやっぱり繰り返し、受講して頂くのがベスト。前とやり方が変わっている場合もあるし、滅多に出くわすこともありませんので忘れがち。復習、確認の意味を兼ねて受講されても構いません。


消防署の職員を招いて行うと言う計画でおられるのでしょうか?

最初は短く、物足りないかもしれない。でも、全く応急手当に関して知識のない人であれば、最初は短い方があれもこれも覚えなきゃ…と言う感じにならなくて良いかもしれませんね。興味を持てば今後の講習会の案内もできますしね
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マリンさんへ (ムサシ)
2013-05-31 22:46:03
人工呼吸時に胸が上がらない、押してて肋骨が折れないか?講師として行った際に、よく受ける質問ですね。

回答としては、胸が上がらないなと思えば諦めて、心臓マッサージを始めて下さい。あるいは、それだけをずっと続けて下さいと教えています。

人工呼吸よりも、心臓マッサージを続けて血液を送り出す事の方が大事。一旦中断してしまうと、押し続けた時の圧力に達するまでにやはり時間がかかるのです。

胸の上がり具合も、ちょっと上がったなって言うぐらいで十分です。勢いよく吹き込みすぎると胃に空気が入ってしまい、胃の内容物が逆流する可能性もあります。


肋骨が折れる心配につきましては、それを恐れずに押して下さい、と。私も何人もの方に心臓マッサージを行いましたが、大抵骨は折れます。押していて、あっ、折れたって言う感触もあります。

言い換えれば、それぐらいの力で押さないと心臓に達しないんですね。心臓に達しなければ、当然血液は送り出せなくなる。それじゃ意味がない。

(胸の)骨折は生きていれば治療はできる。生きていればいつか治る。でも、心臓が止まってるのを放っておいたら確実に死んでしまうんです。だから、折れてしまうのを恐れずに心臓マッサージを行って下さいねってお話をさせて頂いてます。


拳をみぞおちに当てて、上に突き上げる方法はハイムリック法と言います。でもこれには禁忌があって、妊婦さんと小児(乳児も)にはやってはいけません。

妊婦さんの場合はお腹の赤ちゃんを守るため。小児(乳児)はまだ成長段階であり内臓も未発達です。障害を残す可能性も否定できません。

それに、手技も一般の人には難しいのかなって。今回の講習においても一応お話はさせて頂きましたが、意識があれば咳をさせること。(これが一番効果的)

それができなければ肩甲骨の間をバンバン叩く背部叩打法を教えています。そっちの方がよっぽど簡単ですしね。


頂いたコメントの内容をざっと書いてみましたが、その他に何かありましたらどうぞお気軽に聞いて頂ければと思います。私の知っている限りの知識で、お答えさせて頂きますので
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こんばんは (おく)
2013-06-04 23:24:56
お疲れ様です!!
以前コメントさせて頂いた消防士を目指してる、おくです!
人に命を救う事を教えるって凄いですよね。
凄く尊敬しています。

今、私は地元の消防団に所属してまして、3月に上級救命講習を受けに行きました。
そこでは元救急隊員のかたが
「人の命を救うのに必要なことは
技術20%勇気80%」
とおっしゃってました。それから私はまた一つ人の命を救うために必要なことを学びました。
いつかもしそういった場面に出くわしたらそのお言葉を胸に刻んで救える命は救いたいと思います!


文章まとまってなくてすいません。
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こんばんは (飛龍1983)
2013-06-08 19:50:03
「ガイドライン2010」になってから、常備・赤十字とも更新研修受ける機会がなかなか無くて...

「その時」の為にバイスタンダーCPRを含むBLSを冷静に実施できるように能力を維持出来るよう近日中に「赤十字」のフォローアップ研修は時間を作って行きます。

時間ができれば「水上救助法?」もとっておきたいなと。

常にアップデートはしなきゃいかんですね(^_^)
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おくさんへ (ムサシ)
2013-06-13 22:26:11
コメントありがとうございます。

前出の記事にも書いたんですが、諸事情によりお返事が遅くなりましたことをお詫びいたします。


どんなに勉強したって、訓練をしたって、いざその場に出くわした時に何もやらなきゃ意味が無いんです。

たとえ、人工呼吸をやるのを忘れた(省いても良いんですが)、胸骨圧迫を20回でやめちゃった。それでも良いんです。

習った方法でなくたって、やらなければまず命は救えない。技術や知識よりもまずはやる勇気です。その元救急隊員の方が言ってることはごもっともですね。

知らん顔してる事案に出くわすことが多くて嫌な気持ちにもなりますが、たまに心肺蘇生に限らず、何かしらの処置をしてくれている事案に出くわすこともあります。

まだまだ捨てた世の中じゃないなって思いますね
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飛龍1983さんへ (ムサシ)
2013-06-13 22:39:28
プール開き目前のこの季節、小中学校からよく講習の依頼が来ます。多いのが、AEDの使い方のみ、1時間程度。

やらないよりかはやった方が良いのは明白なのですが、果たしてそんな短い時間で確実にできるようになるのかは疑問なところなのです。心肺蘇生法は省き、AEDだけってのがちょっとね…

ご存知だと思いますが、AEDは使えば必ず電気ショックが行える機械ではありません。電気ショック対象外の心臓の状態であればAEDは使えない。

飛龍1983さんの様に、時間を作ってくれるならともかく、時間がないからって理由で短い時間でやらざるを得ないことも。

大事な生徒、学生を預かる立場にあって、その施設にAEDが備え付けてある職員の意識としては低いのかなって思うのが正直なところです、残念だけど。


復習の意味も兼ねて、飛龍1983さんのように随時アップデートしてもらえるような方が増えてくれるのを願うばかりです。
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Unknown (飛龍1983)
2013-06-13 23:15:50
自分の書き込み読むと、文章構成力がないなぁ...こんなレスに返答してくださるなんて恐縮です。

そうですね、AEDがどんな機械なのかしっかり理解してないんですよね。それとも、蘇生できずに遺族から訴えられたり胸骨をおる場合があるためCPRをするのが「怖い」のかなという考えもあったり。

「魔法の箱」「止まった心臓を電気ショックを与えて動かす機械」って勘違いする。

また、僕たちも上手く伝わるように説明出来てない部分もあったりするのかな思ってます。

おやすみなさい(^_^)ノ
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飛龍1983さんへ (ムサシ)
2013-06-13 23:53:06
AEDを使えば必ず心臓の動きが元に戻ると思っている人は結構います。そうじゃないんだよって説明をすると、結構な確率で驚かれることも。

心臓がポンプの役目を果たさない心停止と言う状態は4つあって、このうちどれとどれが…なんてそこまで解剖学的は話はしませんが、心臓がブルブル震えている状態でなければAEDは使えませんと言うお話はさせてもらっています。


心肺蘇生法をやった人が訴えられると言うケースは過去にありません。アメリカでは良きサマリア人法と言う法律があり、応急手当を施した者に対しての処罰はないと言う法律があるようです。

日本では明文化された法律はありませんが、仮に裁判沙汰になったとしても負けることはないと言われています。(刑法上の緊急避難に該当するかも?と言うお話は聞いたことがあります)


骨折は生きていれば治療できる。でも、死んでしまったらそれまで。何もしないよりは、今できる精一杯のことを勇気を持ってやって下さいと、そこは強く言っていますね
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