さすらうキャベツの見聞記

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「羊は安らかに草をはむ」 (Bach) Leon Fleisher

2012-07-17 22:47:21 | Wednesday 芸術・スポーツ
Schafe können sicher weiden (BACH) Leon Fleisher


(しばし、音楽でもどうぞ、ゆるりと




       


 1928年生まれのフライシャーは、米国のピアニスト・指揮者。

 シュナーベルに師事し、1944年に16歳でニューヨーク・フィルハーモニックと共演、1952年にはエリザベート王妃国際コンクールで優勝した米国人初のピアニスト。

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 その後は華々しい演奏活動を展開し、米国内の一流オーケストラとの共演、セル指揮クリーヴランド管弦楽団とベートーヴェン、ブラームス、グリーグ、シューマンのピアノ協奏曲やラフマニノフのパガニーニ狂詩曲など、数多くの名演の録音を残している。

 しかし、まさに絶頂期にある1965年、ジストニアを患って右手の2本の指が動かなくなり、ついには字を書くこともできなくなった。フライシャーは37歳という若さでピアニストとしての演奏活動を中止することを余儀なくされた。

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 フライシャーは、その後指揮者・教育者として活動し、左手だけでピアノを弾くことで、限られたレパートリーによる演奏活動を続けるようになった。

「私の人生で最も大事なことは、両手で演奏することではないと気づいたのだ」とフライシャーは語るが、両手でピアノを弾くことを完全に諦めることはできなかった。

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 最近になってボトックス療法によりようやく右手の機能が回復し、2004年には両手でピアノを弾いて演奏したアルバム「Two Hands」を40年ぶりにリリースした。

 「ついに、再び両手でピアノが弾けた。
  その時の気持ちをフライシャーはインタビューで、「メル・ギブソンに対する答え」と語っている。
  キリストの死をリアルに描いた映画「パッション」の監督のギブソンに対する答えということは、「神が見捨てなかった」という意味なのだろう。」
(梅津時比古「両手の音」)
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