今日、久し振りでKさんと電話で話したら
「1年が長かった~」と言ってました。「初女さんが
亡くなった2月まで喪だものね」と…
そうか、意識していなくても心は喪に服しているのだ
だから、こんなにも長く感じられるのだ。
Kさんは続けて「充実していたものね」と…
充実した時間は長く感じるものです。
この1年、私は何もしていないような気がしますが
小さな気づきを拠りどころにしながら、初女先生の
ことをいつも考えていました。
先生の本を読み返すと、今まで何を読んでいたの
だろうと思うくらい、大切な処を表面しか読み取って
いなかったのです。
初女先生の「あんたには全部伝えてあるから」という
言葉が聴こえて来た意味が、やっと分かりました。
Kさんはお漬物を漬けていると、初女さんのことが
よく分かると言われていました。
初女先生の原点はおむすびに、お漬物にあるように
思えます。
去年の1月、弘前のご自宅の2階で少し遅い
新年会だねって御馳走を頂いた後、初女先生が
お漬物を漬けるのを見せましょうと言って、きゅうりや
セロリのぬか漬けを漬けて見せて下さいました。
ぬか床に野菜を漬ける、そんなに難しいことでは
ないのに、なぜ?って思いました。
先生の真剣さが、まるで神事のような雰囲気を
かもし出していました。
「じゃあ、やって見て下さい」と促された時、
私も田口ランディさんも山田スイッチさんも思わず
後ずさりをするようでした。
私とスイッチさんの声なき「ランディさん、どうぞ」の
声を受けてランディさんが「私、家でもやってるけど」と
言いながら野菜を漬けました。
凍てつく台所で、真剣に漬けたぬか漬けが
初女先生に教わった最後の母の味となりました。
そのことの意味が少しづつ見えて来そうです。
今日、本当に久し振りに初女先生の
『「いのち」を養う食』を開きました。
その中にも、「ぬか漬け」は生物多様性と書いて
有りました。
初女先生が晩年一番伝えたかったのは、このこと
だったのかもしれません。
ランディさんに「生物多様性のその先を書いてほしいの」と
ご自分の著書を何冊か渡されていました。
Kさんは漬けものを漬けていると、初女さんのことが
よく分かって来ると言われていました。
毎日漬け物の味が変わってくるからと…
新年から、心新たにしてお漬物をやってみようと
思います。
あの凍てつく台所の神事の漬けものを思い出し
ながら…