思いかけない郵便小包が届きました。
初女先生が娘さんのように心を掛けていた
弘前の方からです。
開けるとお米が入っていました。
あれ、農家さんではなかったはずだけれどと思い
添えられていたお手紙を読んだら、涙が溢れてきました。
お米は、熊本地震で息子さんを亡くされた大和晃さんの
お父さんから、Kさんに送られて来たものでした。
熊本地震の後、最後まで行方不明だった晃さんの
お母さんが、おむすびを家で結び、現地へ行って
また結び直して川に流していると言う記事を読んで、
Kさんがお手紙と品物を送ったら、百箇日の法要の
お手紙と共にお米が送られて来たそうです。
そのお米は、息子さんの晃さんがもみ撒きをした
お米だそうです。
晃さんが見つからず、公的機関の動きが見えなく
なった中、ご両親は毎日手掛かりを求め、河原へ
通ったそうです。
そして、7月24日の支援者と家族独自の捜索で
晃さんは発見され、ご両親のもとに帰って来られた
そうです。
テレビのニュースで、息子さんの名前を呼ぶご両親の
姿を目にし、早く発見されることを祈っていました。
突然、最愛の子供を失くす悲しみ苦しみは、私は
自分が通って来た道と重ねていましたが、
それでも、やっぱり他人事だったのです。
作家の柳田邦夫さんは、息子さんを自死で亡くされて
いますが、新聞やニュースの記事を見る時、
三人称の目で見たらいけない、二人称の視点に
立たなければと、言われていました。
私は、テレビで何度も息子さんを探す大和さん
ご夫婦の姿を目にしながら、隣人の心で見て
なかったことを、送られて来たお米を前にして
初めて気がつきました。
大和さんの百箇日のお手紙を読みながら
涙がとまらなくなりました。
初女先生は、いつでもどんな時でも
一人ひとりの隣人でした…
私は、大和さんのお米で心を込めて
おむすびを結ぼうと思いました。
おむすびは人と人を結びます。
生きている者と亡くなった人も繋いでくれます。
おむすびはソウルフード
魂の食べ物