白内障手術、片方の目を終えて、おかあさんが金曜日の夜におうちに帰ってきました。
ぼくはもう、もう、うれしくって、うれしくって体をどう表現したらいいのかわかりませんでした。
でも、もう、すぐに、普通にいつもと変わらないと思うようになりました。
おかあさんが入院中にメモしていたことを忘れないうちに書きとめておきます。
1月13日(日) 晴
手術予定日の前日に入院ということなのだけど、その日は祝日に当たるからその前日ということで。でも、その意味がよくわからない。
6階の12号室、4人部屋の南側。この病院は高台にあって日当たり抜群、しかも、自宅が見えそうな位置(実際は大きなお家の陰で見えないと思う)PLの塔が真正面、花火の日は特等席だろう。
でも、何もすることはないので昼食を終えて徒歩で帰宅。ゆっくり歩いても10分とかからない。
1月14日(月・祝) 雪のち霙のち雨
朝、再び病院へ。若い男の看護師さんが本日の担当。多分、かっこいいと思うがコンタクトをしていないのでよく見えない。
11時、病棟で明日手術を受ける人8人の診察。片方の手術を終えた人の方が多いような、、、担当のS医師の評判は良好。
昼食はすき焼き。府立病院の食事は不味いと誰かが言っていたがそんなことは無い、美味しかった。同じ府立の成人病センターより美味しいかもと13年も前になるが思い出していた。ありがたく良くかみしめていただく。
でも、あとは何もすることが無い。少し読みかけていた『永遠の0』百田尚樹を読む。
夕方、明日からお風呂に入れないのでと入浴。自宅と同じようなユニット風呂。これなら一人ひとりお湯を入れ替えるから気持ちいい。
でも、メガネもはずしているからどこがどこやらわからない。呼び出しのボタンを押してしまったのか、先ほどの男性看護師さんが飛んできた。「どうかしましたか~?」とカーテン越しにきかれたので「いいえ、押していませんけど」としらを切る。
夕食はスズキのカレームニエル、ポテトサラダ、豚肉と大根炒り煮、美味しかった。
本が面白いので読み続ける。文庫本だけれどエピローグを含めると575頁もある。解説は亡くなった児玉清さんが書いていた。
とうとう12時過ぎまでかかって読み終えた。途中、何度も泣いたから、目の手術の前に読み終えて良かったと思った。
0とは戦闘機0戦のこと。戦争を知らない私でも戦争を知っている人から直接話を聞くことができる。でも、それより若い人たちは、もっともっと戦争は遠いものになってしまう。子供たちにも読ませたい本だと思った。自衛隊が国防軍になって、軍備費が膨大にふくらみ、あれよあれよと戦争に突入、なんてことにならないことを願う。
ベッドの中でときどき、傍らにmomoがいないのを感じる。いつもはほとんど密着して寝ているから私が少しでも動くと、momoはう~っと唸る。私はいつも遠慮して寝ているのだ。
1月15日(火) 快晴
病院の明日は早い。何だろう♪・・・と思っていたら『エリーゼのために』はナースコールだった。
配膳は『メリーさんの羊』
7時30分、東に見える二上山の右側から朝日が昇ってきた。いいお天気のようだ。
目の手術はこわいけど、たくさんの人が受ける。死ぬことも同じかもしれない。
新しいものは買わなくていいかと思っていたのだけれど、やはり、と入院前日になってパジャマを買いに行った。グレーだけどキティちゃん柄。当然とばかりL寸にしたが少し大きい。入院時にはかった身長が159・2cm。小さくなっている、ショック。長い間、自分は160cmでL寸と思っていたけど、今は160cm(159cmでも)はM寸の時代なんだな。患者のおばあちゃんたちの中に立つと大きい方だけれど、エレベーターで若い看護師のお姉さんたちの一団といっしょになると自分が小さくなったと感じた。
手術開始、3時30分。定刻より30分遅れだが、最初から遅れるかもしれないと聞かされていた。全身麻酔ではないからキティちゃんパジャマのまま車椅子で手術室へ。緊張する。
手術台はせまい。両手を体に添わせて直立(?)状態。恐怖と狭さで体はこわばる。瞼の上からなにやらごしごしこすられ、それから顔全体を布のようなもので覆われた。それから手術を受ける方の目の部分が開かれ、いよいよ。
水晶体を取り出すと何も見えなくなると思っていたがそうではなかった。海底のような、宇宙のような(知らないけど)明るいブルーの世界がゆらゆらして、黄色や紫が動いて見えていた。
「ふむ、段があるな」「段がありますねー」医師の会話で不安を一層あおられるが、、、「はい、無事終わりましたよ」の声に安堵する。大体30分くらいだ。
再び車椅子に乗せられて病室へ。その後2時間は上を向いたままの安静。朝から腰が痛くて、その上の安静はつらかった。そんなとき、足下の2人のおばあさんたちの会話が始まって心が和み、いつのまにか安静時間が過ぎた。
Yさんは喘息で入院しているのだけれど、とても明るくて病人には見えない。もう一人のKさんはほとんど歩かないのだけれどリウマチの持病に加え肺が何かに感染して微熱が続いている、でも、声はしっかりと。カーテン越しに2人の会話があるのだけれどまるで漫才のように楽しい。
右目はカッペと言ってガーゼで覆われていた。目をつぶると(つぶっている、って!)目の奥の方に何やら残像のようなものが見えた。万華鏡の中のカラフルで幾何学模様のようなのが最初大きくて、だんだん小さくなって、しかも精密で。
1月16日(水) 快晴
南側の病室はまるで温室。
術後の検診でカッペをはずしてもらう。こわごわ目を開ける。以前、眼科の外来で手術を終えた人たちの話を聞いていたら、ものが白く見えると言っていたのを思い出した。診察室のカレンダーが真っ白に見えた。
生まれつきや途中失明で、網膜移植を受け目が見えるようになった人たちの喜びを想像する。そういうところに医学はもっともっと発達していってほしい。私たち見えるものが、白濁したからといって簡単にレンズを入れ替えるのがなんとなく神様を冒涜しているような気がしなくもない。そして、いかにど近眼であろうと、持って生れた自然の授かりものの水晶体が、悪いは悪いなりに遠近調整ができる精巧なものであることを改めて認識。
1月17日(木) 晴ときどき曇り
日付けを書いてはっとする、阪神大震災の日。
外来診察室で検診。視力は視力検査表の一番上と次が見える程度。0・3くらいかな。それでも私にとっては素晴らしいこと。でも、ついつい欲が出てします。もっと遠くが見えたらいいのになぁ。
昼食後、11階の展望階へ。気管支炎の一見姐御風のおばさんと、もう両目の手術を終えたおばさんと3人でコーヒーとお菓子を。この展望階は北側に面していて、はるか大阪市街が北に、南西に関空のあたりが見える(らしい、私はぼんやりとしか見えない)。とりとめのないおしゃべりは楽しい、人間を取り戻すことが出来るのだ。
1月18日(金) 快晴
今日もよいお天気で寒い冬を忘れてしまう。
いつかどこかで読んだか、聞いたか。ものを目で見ていると自分では思っているけれど、そんなものはあやふやなもので、、、
手術した右目でトイレの汚物入れのホーローの白さを改めて感じた。左目で見ると黄色くて汚らしい。だが、ほんとうの色はどうなんだろう。自分の脳がそうだと認識しているにすぎないのではないか。
だが、病院のトイレに行くたびに思う。消毒のにおい(匂い、臭い、どちらだろう)になにやら安堵感をおぼえる。。
病院は土・日が休診なので両方の目の手術を終えた人たちは退院する。たいてい金曜か土曜。廊下で、談話室で、2,3人であるいは5,6人で楽しそうに話しているとまるで同窓会のようだ。圧倒的に女性が多い(8人中男性は一人だった)。しかもほとんどがご主人を亡くされて一人暮らし。だから、ここでお友だちになれて良かったと異口同音。
これで病床日記前半を終わります。明日からまた病院に戻ります。こんなときスマホにしとけばよかったとつくづく思うのですが、ま、しかたありません。疲れました。
でも、読んでくださる方がいたら、また、うれしいです。
しかし、無事片方は終わられて良かったですね。
手術のこと詳しく書かれていてとても参考になりました。
片方も無事終わられることを祈っています。
片方をして、もう片方をやめる、っていう人がいるかもしれない、なんて思ったりしています。
医者から絶対大丈夫だと言われても手術は御免こうむりたいですねぇ。何は無くとも健康が一番!
手術の際は師匠の絵手紙がいいかもしれませんよ。
力はこもっているが何処か春の日のような温かさのある師匠の絵手紙。真理を追究し、魂を描ききるま
でまだ死ねん!と申しておりますよ。
元気で退院されることをもも君と首をなが~くして待ってます♪
手術のこと凄く参考になりました
もし受ける日が来れば思い出してちょっと不安が和らぐ気がします。
我が家は、ミニチュア姉妹が帰ってしまって寂しさが充満???
代わりに次男家のチャロ(シーズーとヨーキーのミックス)が居候中です!
でも、チャロを見るたびに帰った仔を思い出して凹んでます。
ペットロス中???
便利ではありますが、オメメへの負担も多いかな、、、。
完全復活の日を待っております。
こんな長い日記を上げて 目に負担が掛かりませんでしたか~~ 大事にしてくださいね^^
また、一週間の病院生活ですね^^ 頑張って下さい(^_^)/~
ことでしょう~。
パソコンをうたれて目に負担が掛かりません
でしたか?
手術がどんなだったか~教えてくださり
少しほっとしました。もっと怖いと想像していました。とにかく、あと半分ですね!頑張ってください!
これを読まれるときは 両目でしっかりと♪
これから手術を受ける方の為に (いつか私かも)参考になりそうですね。
病院食 美味しそう(*^_^*)
お大事に
普段当たり前のように目で物を見ることのありがたさがわかりました。
同室の方の漫才みたいな会話、聞いてみたい(笑)
百田尚樹さんの『永遠の0』は、私も読みました。
確かにジワッとこみあげてくるものがありますよね。
このコメントを読まれている頃には、無事に手術が終わっていることを願っています。
妻が最近こんなことをいうのですよ。
あなた、最近髪の毛が元気なくなったんじゃない・・・!お酒の飲みすぎのせいじゃないかしら?もうちょっと減らして一合にしましょうね。
しかたないよぉ。そういうキミだってお肌が・・・。
もも君、押し寄せる年の波には逆らわず、サーフィンのような感じでまいりましょう♪
よーそろ~♪