息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

激流 

2010-12-02 21:50:46 | 柴田よしき

柴田よしき 著




実はこれまで、できるだけたくさんの作者を出したいなと考え、かぶりがないようにしてきた。


別に誰の得にもならないが自己満足ね。
でも、ここまで来ると縛りがないほうがいいように思えてきた。

というわけで、また柴田よしきです。
たぶんこれからもたくさん出てくるよ。
十五歳のときクラスメイトだった6人の男女。
友人の一人・冬葉を修学旅行の途中で見失い、そのまま行方不明となった。
三十五歳を迎えたとき、届き始めた怪しいメール。と、ドキドキ波乱万丈のミステリーだ。
激流という名そのものに、追いつけないほどストーリーは進んでいく。
一人ひとりが生きてきた二十年間の想い、重み。そして秘めた謎。
ラストは意外なような、ああそうだよねと納得できるような、不思議な感覚だった。

個人的には貴子の必死な生き方が哀しい。
やはり娘をもつ母親として、少しでもあたたかく守られて育ってほしいと願うからだろうか。
私は中学から娘を私立に入れた。我が家は決して裕福ではない。
だから、何とか頑張って大学を出るまでもちこたえなければという思いは強かった。
そういう意味で貴子の気持ちがわかるのだ。
現にいま、あと2年というところまで来て心から安堵している。
もちろん、だからといって貴子のような短絡的な行動に走ろうとは思わない。
でも現状ダブルワークをしている。家庭がある身として、それなりに決意した。
ここに踏み切るときのハードルを何段階か上げたら、貴子のようなことになるのかもしれない。
怖いなあ。