人から薦められた本を読むというのもいいものだ。
冬に友人から何冊かの本を薦められた。
大学時代からの付き合いで、友人は卒業後、
神田にある出版社に入り、いまも現役で働いて
いる。
これまでも、自社の本を贈ってくれるときがあった。
読む時間を見つけながら、何冊か読んだ。
吉本隆明「第二の敗戦記」(春秋社)
沢木耕太郎「無名」(幻冬社)
橋爪大三郎・大沢真幸・宮台真司「おどろきの中国」(講談社)
赤坂真理「東京プリズン」(河出書房新社)
じぶんが選ぶことなんて、おそらく無かったとおもう。
友人は学生のときから、大きな瞳をまんまるにして、
彼が面白いとおもったことを語ってくれた。
おどけたような、ちょっと真面目な感想につい引き込まれた。
じぶんのために読後のメモ。
吉本隆明「第二の敗戦記」
友人から贈ってもらった。著者の没後、眠っていた原稿を
家族の同意をえて、出版したという。
東京の下町のおっさんが、ありのままの心情をふだんの
コトバで訥々と語っているようだった。もちろん、思索の裏付けは
ひしひし感じた。
印象に残ったところ。
ーー「よりよい理想社会をつくるために」
・・・まず国家を国家と考えるから難しいのであって、もっと
身近なことで考えていけばいい。
それぞれは違うだろけれども、その望む個人が、会社の
同僚や親密な仲間、あるいは親戚など、三人以上の人間で
日常的なことに取り組んでいくということから始めていくという
ことでいいと思います。
それなら平等で自由にできるし、自由にならない問題は
外して、自由になる問題から、進めればいいのです。
なるほど。ただ、三人というだけで、お互いそういう間柄になる、
とはおもえないけど、なにが理想かを見極めながら、やれるところ
から始めるというのは、面白い。また、そういうものからでないと、
はじまらないのかも。
ーーつまり、三人以上というのは、同じ集団の問題が本質的に
三人の中に必ず入ってきますから、そこから始めて、そこを
うまく運営できるぐらいなら、開かれたものがやりようによって
はできるはずではないか、と思うのです。
やってみて、まちがえたらまちがえたでだめになるでしょうが、
まずは、できるはずではないかと考えるほかに、いまの段階
では方法がないといえます。
本質的なことが、三人の中に入ってくる、どんなことを言わんとして
いたのか。理想をどんなふうに見ているかに、かかわるのではないか。
(つづく)