昨夜、娘とぼくだけ話す時間をもった。
妻はいらだっていた。たまには、娘とそんな時間がほしかった。
妻は荒っぽかった。
そのうち娘は自宅にもどった。
妻のことは、翌日までほっておいた。
きょう、2回目の散歩のとき、ぼくのきもちをつたえた。
妻はさらにつっこんで聴いてくる。
ああ、それが好きじゃない。
具体的なことが分からなくても。娘へのきもちを二人で保ちたかった。
妻は、すこし落ちついた。
散歩は外でできた。
ぼくは、そのとき、口のなかで、寅次郎の「男はつらい」を
口ずさむ。
覚えてしまった。
「こんな兄貴がいるからお嫁にいけぬ。
わかっちゃいるけど妹よ。い
いつかお前の喜ぶような偉い兄貴になりたくて
奮闘努力の甲斐もなく、きょうも涙の暮れる。
ドブに落ちても根のあるやつは、何時か蓮の花と咲く。
意地ははっても心のなかじゃあ。泣いているんだにいさんは。
男が目方で売れるなら、こんな苦労もさせまいに
させまいいに。
男と言うものつらいもの、顔で笑って、腹で泣く。
これを一曲歌うと。約50メートル歩ける。