思いがけず神戸の本多雅子さんからCDが届きました。
「お気にいるかどうか ブルーグラスCDプレゼントとありました。
裏を見たら、「COUNTRY SONGS 稲葉和裕 宮前ゆき」とあり
曲名が並んでいました。
さっそくパソコンで聞いてみました。
高音のヴァイオリンの独特の音律で、英語の歌詞で歌っていました。
はじめ戸惑いました。
しばらくして、どこかでそんな調子のメロデイーを聴いたことあるぞ、と
思いました。
曲名のところをみると、「Old Black Joe」「Tenessee Waltz」かいて
「My Kentacky Waltz」とか、書いてありました。
アメリカ民謡、フォースターの曲じゃないか。
小学生の音楽の授業で、あまりまじめでなかったけど、「峠のわが家」
「埴生の宿」「アニーローリ」「おおスザンナ」などのメロデイが
今でも口をついて出てきます。
情緒は演歌で染められているとは思ってきましたが、フォースターの
アメリカ民謡がずいぶん記憶の底に焼きついていると思いました。
20年前、詩人長田弘さんの「アメリカの心の歌」(岩波新書)を読んだ
ことがあります。
アメリカの歌手や地名や曲名がいっぱい書いてあるのがピンと来なくて
上っ面を飛ばし読みをしていました。
本棚から探して、再読してみました。長田弘さんが、何を伝えようとして
いたか、すこし感じられました。
ーーアメリカというのは、ただ大文字の国家の名とは違う。「私のアメリカ」
「私の生き方」というときのアメリカは、小文字の国の名であり、
「私のアメリカ」というのは、それぞれの「私の生き方」としての
アメリカということだ。
かつて、学校とかでは、アメリカは合衆国だと習ってきました。
長田さんがアメリカで出会ったのは、一人ひとりの歌を通しての心の世界
だったようです。
1960年代から80年代のカントリソングから関連しあって、ジャズとか
ブルースとかブルーグラスなどかアパラチア山脈とミッシシッピー河の
間の地域で人びとの心を掴み、それがアメリカ中の人から人に歌い
継がれていったらしいです。
たくさんの歌手の人生が綴られていました。
俄かに読んで、ネットの動画でその人たちが歌う歌をを聴ききました。
英語だし、意味も分かりません。
この歳になって、それらに耳を傾けている自分は何がしたいのか、と
そんな自問もありました。
こんな一節に関心を持って、読み進めました。
ーーカントリー(coutry)というのは、懐の深い言葉だ。カントリーは
土地であり、地方であり、地域であり、領土であり、国土であり、
故国であり、その人びとをいう言葉である。
そして、カントリーは田園であり、田舎であり、さらに家郷であり、
在所であり、故郷だ。
ーーカントリーは、聴けばそれがカントリーとわかる。際立って特徴的な
メロデイをもち、リズムをもち、うたい方も独特なら、奏法も独特だ。
なくてはならないのは、ギター、それにしばしばフィドル(ヴァイオリン
とはいわない)
だが、何といっても肝心なのは、あくまでも一人一人の歌い手だ。
歌い手自身の個性だ。声だ。
大学せいのころ、1968年ごろだったか、銀座の小さな映画館で
「俺たちに明日はない」と「イージーライダー」を見たことがあります。
ベトナム戦争で、アメリカは疲弊し。若者はその気持ちを表そうとして
いるようでした。
映画の舞台になった時代は違いますが、それぞれ最後シーンは射ち殺される
ところで終わります。
ショックでした。そのとき、アメリカのイメージが揺さぶられました。
アメリカというより、そこには人がいました。
北朝鮮とか中国とかアメリカというとき、何を指しているか、あらためて
考えてみたいです。
”分断の時代”とも言うみたいですが、果たして”分断”はどこにあるのかなあ。
神戸の本多雅子さんが、贈ってくれたCDから、いろいろ連想しました。
楽しませてもらいました。気に入りました。
雅子が贈ってくれた気持ちは、どこかで直接聴きたいです。
* * *
最後、聴いていて、気に入った歌。
ピター・ラファージ ネイテイヴ・アメリカンの混血
https://www.youtube.com/watch?v=CLLOf1KapQI
クリス・クリストファソン 歌のテーマは”自由”
https://www.youtube.com/watch?v=G-J7mLyD3yc
マール・ハガート 前科者が歌手に
https://www.youtube.com/watch?v=5PEwBdCeINg
シェル・シルヴァスタイン フォーク・ソング歌手。
絵本「大きな木」の作者としても有名
絵本の動画、良かったので、添付。