11月30日、妻と二人、岐阜の養老公園に出かける。
電車のなかで、メール発信。
返信あり「吉川って誰ですか」ぼく「ああ、吉沢でした」
返信あり「わかりました。でも沢でなく、澤です」
川と澤言いまつがえて秋の空
養老駅からは歩くと決めていた。
のっけから、坂道。先を見ると、ずっと続いている。
息継げず紅葉の道は果てもなく
もうダメかというとき、「リフトあります」という矢印。
藁を掴むとはこのことか。
いざ乗らんリフトは遠し紅葉山
リフトの終点から、濃尾平野一望。
滝まで下る。滝壺、神韻として。
養老の酒は飛沫いて秋深し
昼下がり。紅葉に囲まれた東屋にて、持参のお弁当。
照る紅葉海苔おむすびと熱きお茶
さらに歩いて。
廃屋のような猪鍋屋兼旅館の前に句碑を発見。
庵に在りて風飄々の夏衣 碧梧桐
ここで、一句。
養老の句碑の男や碧梧桐
小浪、日帰り入浴を受けてくれる旅館を探す。
一軒だけ見つかる。
紅葉狩り打ち捨てて湯に入る
もう日が落ちた。
湯上りのからだに冷気が心地よい。
養老の紅きをつつむ夕間暮れ
アズワンコミュニテイの探訪DAYからつきあいがある
井上匡治さんと待ち合わせ。彼は、近くに住んでいる。
養老の朋と喰うまた楽しからずや
これ、季語がない。まあ、いいか。
”朋”には、学び合う友という意味もあると言う。
帰りの電車。
妻がマフラーを忘れたと言い出す。ぼくも、自前のカミソリを
浴室に置いてきた。
忘れ物残して帰る秋の宵
(575の語呂合わせで一日あそんだ)