今年の陸上日本選手権大会の男子100m走は、この競技では久しぶりに注目を集めるものになりました。「スーパー高校生」の桐生くんが、「10.01秒」という記録を出して、「日本人初の9秒台」がでるのではないか、と思われたからです。
6月8日の決勝は、その熱い注目の中で行われましたが、結果としては桐生くんは2位で、桐生くん登場前にエースとされていた大学生の山県くんが優勝しました。一気に記録を伸ばした高校生ではなく、実績を持つ学生が勝ったのは、シンデレラストーリー的には残念なところですが、順当とも言えるものでしょう。
興味深かったのは、桐生くんととに「9秒台」を期待される山県くんが優勝後のインタビューで言っていたことです。
「9秒台は狙わない方がいい。9秒台を出すためにも、狙いません」
と、山県くんは言っていました。
なるほど「狙う」と言えば実現できるものなら「狙う」と言うことが必要になるのでしょうが、そういうものではありません。「9秒台」というのは、あくまでも「速く走った」ことの結果にすぎません。問題は、あくまでも「速く走る」ということにあるわけであって、「9秒台を出す」という行為が独立した行為としてあるわけではないわけです。
・・・こういうニュースを見ながらも、日調連の総会を前にして、「事務所経営基盤の確立」というのは、それを実現するためにも、「狙う」とするべきものではないよな、・・・・なんてことを考えちゃう、というのは、いかにも純粋さを失った感じで、自分でもいやになりますが・・・。