風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

ボブ・ジェームス

2022-04-23 01:07:04 | スポーツ・芸能好き
 知人がfacebookでBob JamesのYouTube動画を紹介していた。比較的最近の演奏と思われるもので、名曲「Angela」だった。1970~80年代に活躍したBob Jamesも、今や(1939年生まれの)82歳である。鍵盤を叩く手は節くれだって、頭髪は薄く、無精髭は白く、背は丸まっている。それでも、学生時代によく聴いた私は、即座に反応して聴き入ってしまった。あの頃と変わらない軽快なリズム感は、彼の身体に沁みついたものだろう。
 今月3日にラスベガスで行われた第64回グラミー賞の授賞式にサプライズ登場したウクライナのゼレンスキー大統領は、「わが国は、爆撃で恐ろしい静寂をもたらしたロシアと戦っている。沈黙が訪れた。この静寂をあなた方の音楽で満たしてほしい。きょう、私たちの物語を伝えるために」と訴えかけた。主要国の議会で世論戦として行われて来た彼の演説の中では、最も気が利いたものだったように思う。知人がこの話を意識していたかどうかは知らないが、私はそんな思いで、聴き入った。
 プーチンは、冷戦崩壊後の束の間の平和を(もっと言うと戦後の冷戦=「長い平和」さえも)、そして習近平ともども、その間のグローバリゼーションの繁栄を、ぶち壊してしまった。その責任は重い。グローバリゼーションそのものに問題がないとは言わないし、所詮はアメリカをはじめとする西側諸国の強者の論理でしかないのだが、「エレファント・カーブ」に見られるように、新興国に恩恵をもたらしたのは事実だろうし、14億もの人口を抱える国家資本主義の中国(の補助金政策や技術移転の強要や技術窃盗など)によって歪められ、本来の道から外れてしまったと言っても、あながち間違いではないだろう。
 YouTubeでは、「Angela」に続いて、同じ時の収録と思われる、彼のアレンジによる「Feel Like Making Love」と、「Night Crawler」が流れて来た。単にあの頃を、失われた平和を懐かしむのではなく、あの平和を失ってはならない、この自由・民主主義の世界をプーチンや習近平の野心(=屈辱の歴史!?に対する復讐?)によって権威主義が優位な世界へと塗り替えさせてはならないとの思いで、聴き入った。メロウな調べは、言葉以上に人の心を揺さぶる。

Bob James - Angela (theme from 'Taxi') : https://www.youtube.com/watch?v=kqw3UNXUdbU
Bob James - Feel Like Making Love / Night Crawler: https://www.youtube.com/watch?v=UoFZD-rtWNk
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