風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

もう一度聞きたい「ぼく、ドラえもん」

2024-10-21 00:02:54 | スポーツ・芸能好き

 テレビで馴染みの人(特に高齢の人)が亡くなるのは寂しいし、複雑な思いがよぎる。つい我が身を振り返ってしまうから。

 17日に、俳優の西田敏行さんが東京都内の自宅で亡くなっていたことが報じられた。享年76(まだ若い!じゃない)。西田さんと言えば『釣りバカ日誌』や『ドクターX~外科医・大門未知子~』が代表作なのだろうが、私は残念ながら見ていない。大昔に『池中玄太80キロ』を見て、なんとも温かみのある俳優さんだと印象深かったが、SmartFLASHによれば、仕事終わりにも若手スタッフを誘って飲みに行き、店にいた客とも気さくに言葉を交わすようなお人柄で、いつも楽しく愉快な宴席だったという。

 幅広い役柄をこなされた役者さんで、大昔に見たNHK大河ドラマ『おんな太閤記』の秀吉役も印象に残る。三谷幸喜氏によれば、大河ドラマ『功名が辻』では家康役を演じたので、「あと信長をやったら『三英傑』完全制覇」だと言って、信長役を志願されたそうだが、「そう言われたんですけど、ちょっと難しいんじゃないですかねって。ちょっとキャラクターがね。あと、年齢的にもね…。お断りしました」と明かされた。確かに、サルとタヌキ親父は似合うが(微笑)、冷酷で奇才の信長のイメージは余り合わないかもしれない。『もしもピアノが弾けたなら』も彼らしい温かさに溢れた曲・・・というより彼が歌ったからこそ、そう感じるところがある。東日本大震災のときは、復興CMへの出演や東日本大震災・原子力災害伝承館のナレーションを務めるなど、地元の復興のために奔走されたそうだ。言葉は福島(郡山市出身)訛りなのだろう。私には判別できないが、そこがまた彼の独特のキャラクターをほんわかと温かく包んでいたように思う。稀有な役者さんだった。

 ちょっと遡るが11日には、声優の大山のぶ代さんが9月29日に老衰のため亡くなっていたことが分かった。享年90。言わずと知れたドラえもん役で、間延びして、やや拍子抜したような独特の口調は、未来から来たネコ型ロボットらしい突き放した冷たさの中にも、えも言われぬ愛らしさを感じさせたものだ。1979年4月の開始から2005年3月に降板するまで、実に26年間にわたって大役を務めてこられたそうだ。2005年4月以降は『ドラえもん』を見ていないので、私の中では大山のぶ代さん=ドラえもんのイメージが定着している。

 島田裕巳氏によれば、「特殊な能力(=ドラえもん)を与えられた人間(=のび太)がそれを乱用し、最後にそのむくいを受けるというパターンは世界の伝統的なおとぎ話のパターンであり、それを取り入れることで長い間人気を保ってきた」と分析されている(Wikipedia)。なるほど、そういうことか。大山のぶ代さんが登場するとき、「ぼく、ドラえもん」と喋る(喋らせられる)と盛り上がるそうだ。ドラえもんは、マレーシアやオーストラリアに駐在したときにも、本屋で漫画を入手することができた、日本が世界に誇る国民的漫画・アニメの代表作で、自分の子供(や孫)にも安心して見せられるものとして親子(孫)で楽しむという意味では、この26年間に大山のぶ代さん=ドラえもんに馴染んだ人は日本の人口のかなりの割合にのぼるだろう。国民的声優なのだ。

 不思議なもので、音の記憶はいつまで経っても鮮明である。「ぼく、ドラえもん」という声とともに、ドラえもんの笑顔が目に焼き付いている。親子(孫)の目の前に現代のお伽噺を紡いでくれたことに、感謝の気持ちしかない。

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祝・ノーベル平和賞

2024-10-12 18:54:49 | 時事放談

 今年のノーベル平和賞は日本原水爆被害者団体協議会(被団協、東京)に授与されることが発表された。ノーベル賞委員会は「核使用がもたらす人道面の破局的結果」を知らしめる上で被団協が大きな役割を果たしたと称賛し、その活動を通じて「核の使用は道徳的に許されない」との「強力な国際標準」が形成されたと、授賞理由で説明した(産経新聞より)。結成以来68年を経ての快挙だが、ようやく、とか、今さらの感がある、などと嘆くより、かねてノーベル平和賞や文学賞には政治性があると言われてきたように、授賞理由で「現在進行中の戦争で核兵器が使用される脅威もある」と述べられていること(現実の危機)に衝き動かされた状況であることににも留意すべきだろう。

 ロシアはウクライナ戦争で核使用をチラつかせて米国をはじめとするNATO諸国を牽制し、東アジアでは、北朝鮮がとうとう同胞の南朝鮮(韓国)を統一の対象ではなく敵国呼ばわりして核開発をギア・アップし、中国は核保有国として核軍縮のために「誠実に核軍縮交渉を行う義務」(NPT第6条)が求められるにも関わらず(米軍の報道によれば)保有する約500発の核弾頭を2030年までに約1千発に増強する見通しが強まっている。冷戦時代には「恐怖の均衡」と呼ばれ、その危機をコントロールするために大量報復戦略、柔軟対応戦略、相互確証破壊などの抑止論を展開し、いわば「感情」を抑えるための「理性」を働かせる努力をして来たが、戦後79年を経て、その「理性」のタガが外れてしまったかのようだ。

 核廃絶を願う気持ちは尊い。私は、そんな道徳的な活動に寄り添うよりも、どちらかと言うと、歴史においていわゆる暴力が幅を利かせ、現代においてなお市井の声がなかなか届かない、人類の歴史の歪んだメカニズムに反発するがゆえに、その謎解きに惹かれて政治学や法哲学に興味を示すひねくれ者だからこそ、余計にそう思う。なぜなぜ分析をすると、結局、ロシアや中国の統治の脆弱性、ひいては国家(海洋国家と対比した大陸国家)とは何か、権力とは何か・・・という根源的な問いに繋がる(ような気がする)。

 アメリカン大学核問題研究所長のピーター・カズニック教授は時事通信の取材に、「被団協は『世界の良心』であり続けている」と称賛し、平和賞に被団協を推薦してきたと明かした上で、「被爆者が生きているうちにこの賞を授与する緊急性があった」と強調した。ただ、既に被爆者の多くが他界したのは「ほろ苦い」と語ったそうだ(時事通信より)。広島出身の政治家として岸田さんは広島サミットを成功させたように、人類の歴史で唯一の被爆国として、現実主義の政治の中にも、理想主義の炎を絶やすべきではないとつくづく思う。

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石破政権の前途多難な船出

2024-10-05 10:44:17 | 時事放談

 石破茂氏が自民党総裁選を勝ち抜くや、俄かに円高・株安に見舞われ「石破ショック」と呼ばれた。アベノミクスに否定的で財政規律を重視する立場のせいだが、実はMMT論者の高市氏勝利を織り込んで円安・株高に触れていた市場が高市ラリー前に戻っただけで、必ずしも石破さんのせいとは言い切れない。しかし、利上げに肯定的と見られていた石破氏が突如、日銀の追加利上げに否定的な発言をして、再び市場にショックを与えた。かつては、安倍さんなどの後ろから撃つことも厭わない党内野党として、防衛・安保のような得意領域で、あるいは興味のおもむくままに言いたいことが言えたのとは勝手が違い、首相はprimeな閣僚であって、様々な方面に影響が及ぶ発言の重さを踏まえ、不得手なことを含めて全てに責任を負わなければならない立場であることを痛感されているのではないだろうか。

 また、国民に判断材料を与えるのは新・首相の責任だとして、国会(予算委員会)論戦に前向きだったのに、1日夜の記者会見では、9日解散、27日投開票を表明し、主張がブレたことを批判された。党内基盤が弱いだけに、党内調整、組織人事に腐心し、前途多難である。私は石破さんのことが嫌いなわけではなく、むしろ不器用なほどに群れない孤高の一言居士を好ましく思う一方、およそ(数を頼む)政治家らしくないところに危うさを感じ、状況がなさしめたとしか言いようがないこのような事態に置かれた石破さんを歓迎するどころか、気の毒に思う。

 実際に、ご祝儀相場で、新内閣発足直後は高い支持率が期待出来るとは言っても、共同通信社が1、2両日に実施した全国緊急電話世論調査によれば、内閣支持率は50.7%(日経51%)、不支持率は28.9%(同37%)だったようだ。調査手法が異なるため単純比較はできないが、岸田内閣55.7%(同59%)、菅内閣66.4%(同74%)、2012年12月の第2次安倍内閣62.0%(同62%)と比べて高くないのは、自民党ひいては政治への不信が広がって冷ややかに見られているからであって、石破さんのせいばかりとは言えない。それは、石破内閣を支持する理由が「ほかに適当な人がいない」が35.4%(日経では「人柄が信頼出来る」が49%)で最多だったことからも分かる。

 欧米メディアの中には、自民党「独裁」が続く日本は果たして民主的かと疑問視する声があがっているようだが(もしかしたら欧米メディアのリベラル日本人エディターあたりの声かもしれない 笑)、それは自民党という政党の特殊性にある。右の翼から左の翼まで射程が広く、安倍さんのように政治信条は保守でも野党が推進しようとした子育て支援策を横取りするような融通無碍なところがあり、付け入るスキを与えない。ひいてはこれは、アメリカのように考え方が分かれて公開討論で決する国民性とは対照的に、さしたる分断がなく(それを単一民族だからと言ってよいのかどうかは別にして)舞台裏の調整で決するのを好む国民性を反映しているように思う。

 反・自民のリベラル進歩派からは、これでようやく安倍政治を払拭出来たと喜ぶ声が聞こえるが、負け犬の遠吠えのように空しく響く。それを野党が成し遂げられなかったこと、また、安倍さんの後継と目される高市さんは僅差で敗れただけで、状況が違えば総理・総裁への道が開かれていたであろうことに留意すべきだろう。「政治とカネ」の問題は軽視すべきではないが、それを争点化するばかりに本来なすべき政策論議が疎かになるとすれば、その方が問題で、信頼を失った自民党の足を引っ張るばかりで政権担当能力を示し得ない野党に支持が集まらない不幸が続く。アメリカでは議論になることが、日本では左翼的な糾弾になってしまい、噛み合わない。これは野党だけでなく自民党の受け答えにも問題があって、節度ある「議論」が望まれるところだ。

 中国では、石破・新総裁誕生よりも、上野のパンダ帰還の方がメディアでの扱いが大きかったようだ。中国事情通によれば、中国は石破政権を歓迎しないのではなく単に様子見をしていただけということだが、軽くあしらうことに込められたメッセージを読み取るべきだろう。安倍さんとの初の会見で仏頂面を隠さなかった習近平氏を今でもありありと思い出す。中国は、過去200年の屈辱的な歴史のトラウマを抱えながら、大国の威信にかける思いがことのほか強く、俗な言い方をするとチヤホヤされることが大好きでメンツを重んじる、厄介な国である。

 今月末の衆議院選挙に続き、来年7月には参議院選挙が予定される。それまでは不安定ながらも、選挙の顔として選んだ石破氏を多少なりとも支える展開が予想されるが、何と言っても政権基盤が絶望的に脆弱なだけに、短命に終わりかねない。国際情勢は混沌とし、日本が置かれた立場は微妙で、今こそ強力なリーダーシップが必要なときに、コップの中(与野党間だけでなく、自民党内も)の争いに構っている内に埋没しかねないことを危惧しないわけには行かない。このような危機意識と世界の中の日本という視野をもって臨む閣僚、ひいては政治家のセンセイ方はいらっしゃるのだろうか・・・だからこそ、石破さんには是非頑張ってもらいたいと思う。

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今年のプロ野球

2024-09-29 09:53:42 | スポーツ・芸能好き

 残り3試合にしてようやくリーグ制覇へのマジックを1とした巨人が、昨日、4年ぶり39度目優勝を決めた。二軍監督時代は鬼軍曹と言われた阿部慎之助が監督になって、若手へのシフトが必要となる中、のびのびと野球をやらせるために仏の顔に切り替えたなどと言われるが、なかなか波に乗り切れず、さぞ内心の葛藤があったことだろう。広島や阪神と首位攻防を繰り返す中、どうやら優勝が見えて来たのは、9月10日からの二位・広島とのマツダスタジアムでの3連戦に3連勝した時で、分水嶺となった。二年連続Bクラスから見事に復活したことを祝したい。

 今年の巨人は、捕手出身の阿部監督らしく、守りが堅かった。菅野、戸郷、グリフィンの先発投手陣と、船迫、高梨、バルドナード、そして守護神・大勢らの救援陣が、大崩れすることなくシーズンを乗り切った。何より失策の数がリーグで断トツに少なく、結果としてチーム総失点は両リーグを通じて最少である。

 他方、打撃はパッとしなかった。ベテラン坂本にいつものらしさがなく、開幕から固定されなかった3番に、新外国人ヘルナンデスが交流戦から合流した時には光明を見る思いだったが、8月中旬に骨折で離脱してしまった。結果として、主砲・岡本の前後の打力が弱く、岡本一人がマークされ、本塁打、打点ともにヤクルト・村上に次ぐリーグ2位の記録をマークしながら、得点圏打率は長らく低迷し、期待通りの活躍にならなかった印象がある。これは巨人の4番の宿命でもあり、逆に彼が打った時の盛り上がりようは格別で、実際にその試合の勝率は高い。

 そもそも今季は、個別のチーム事情を超えて、セ・パともに投高打低が顕著だった。高校野球では今春から低反発バットが導入され、夏の甲子園でホームランが減少したことが話題になった。プロ野球でも、ホームラン数は昨年より2割程度少なく、今日時点で30本を超えているのはパの山川とセの村上だけ、3割打者はパに一人、セに二人だけである。他方、防御率1点台はパに一人だが、セには5人もいる。

 これに対し広澤克実氏は、投手の球速が年々、上がっており(直近10シーズンで、ストレートの平均球速は141.4kmから146.6kmまで上昇)、打者は速球に対応するため、アオダモよりメイプルやバーチのような軽量バットを使い、飛距離が犠牲になっているのではないかと分析される。選手の声を拾うと、バットの芯に当たると普通に飛ぶのだそうで、軽いバットを選ぶことでスイングスピードは維持できても、遠心力が減少するため数メートル手前に落ちてしまう、という見立てだ。大谷翔平が今季は34.5インチという、昨季より1インチ長いバットに変えてホームランを量産しているのと対照的だ。バットに当たった瞬間に生じる打球の初速を見ても、大谷が180〜190キロを叩き出しているのに対し、日本では村上や岡本でも170キロ台、その他の選手は平均して160キロ台に留まっているらしい。メジャーでも実力が傑出している大谷と比べても仕方ないが、日本の打者がボールの反発係数を充分に活かしきれていないのは明らかだと、広澤氏は言う。

 かつて日本シリーズで、DH制で進化したソフトバンクの投手にセの打者が太刀打ち出来ないことが話題になった。巨人は2019、20年とソフトバンクに2年連続で4タテを食らう屈辱を味わった。その後、セでも投手育成法が進化し、投高打低を招いているのかもしれない。かつて江川卓が一人で9回を投げ切るために緩急をつけ、一発病だとか手抜きだと白い目で見られたような、ある意味で悠長な時代ではもはやなく、投手の分業が進み、中6日で5回を全力投球されれば、大谷翔平のフィジカルを真似るのは難しくても、バッターにも相応の覚悟が問われるのだろう。そのような環境の変化は明らかだ。

 メジャーでは、野球が遅い、退屈といった理由で若者の支持を失ったことから、投球間隔に制限を設けるピッチクロックが導入された。息詰まる投手戦もいいが、良いところで一発が出ないイライラったらありゃしない。投げて、打って、走っての躍動こそがプロ野球の醍醐味である。打者もこのままで留まるはずはなく、何らかの対策を打つことに関しては楽観している。投手と打者がそれぞれに切磋琢磨し、何よりも面白いゲームを魅せてくれることを期待している。

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自民党総裁選

2024-09-28 13:15:05 | 時事放談

 昨日の自民党総裁選で、石破茂さんが、五度目の正直で新・総裁に選出された。統一教会との癒着や裏金問題などで、自民党への信頼が大きく揺らぐ中、解散・総選挙を視野に、自民党再生を期する今回のような総裁選で勝利されたのは、石破さんのようなお立場の方にはとても象徴的だったように思う。かつて「自民党をぶっ壊す」と叫んだ小泉純一郎さんに通じるものがあるからだ。もっとも、党内では人気がないと噂される石破さんに支持が集まったことには選挙目当ての自民党議員のあざとさを感じないではないが、そんな政治力学とは言え、私のような庶民には言わば自浄作用が働いたようにも見え、こうしたバランス感覚もまた自民党の強さの表れのように思う。総裁選は党員・党友の間での話だが、石破さんの政治家としての信念は、国民一般の中にも信じる人が多いわけで、期待したいと思う。

 それにしても、異例の選挙選だった。表向き派閥解消されていたとはいえ信じる人はいないのに、その重しが外れて九人も立候補に名乗りをあげる乱戦となり、派閥解消を象徴するものとなった。今回は無理でも次かその次に繋がるようにという、将来の総裁候補に名乗りをあげる意味合いがあったのだろう。案の定、時の経過とともに、本命・石破さん、対抗・小泉進次郎さん、大穴・高市早苗さんという三つ巴に絞られ、候補者が九人も出れば議員票が割れるので過半数獲得は難しく、党員・党友の支持を集める石破さんが一回目の投票ではトップ通過するにしても、二位通過の候補が決選投票で勝つと見られていた。ところが蓋を開けたら、終盤での追い上げを報道されていた高市氏が小泉氏を抑えて二位通過するどころか、議員票でも党員票でもトップという異例の展開である。これで決選投票では高市さんが圧勝すると思っていたら、どんでん返しがあった。裏金議員からの推薦が多く、問題に甘いと見られていることと、立民の代表が、共産党から距離を置く野田佳彦さんに決まったことで、右に寄り過ぎる高市さんでは解散・総選挙で中道票を取りこぼすことが懸念されたのだろう。また、岸田首相は周辺に「高市さんだけは応援できない」と話していたとされ、一回目の投票で他候補に流れていた議員票をより多く拾ったのは石破さんで、僅差ながらも逆転勝利した。決選投票前に各5分、計10分の演説の時間が設けられ、石破さんはここで自身について「私は至らぬ者だ」とし「議員生活38年になる。多くの足らざるところがあり、多くの人々の気持ちを傷つけ、いろいろ嫌な思いをした人が多かったかと思う。自らの至らぬ点を心からおわび申し上げる」と率直に頭を下げる場面があり、党内の不人気を多少は払拭する効果があったかもしれない。

 奇しくも二年前のこの日は安倍晋三元首相の国葬が執り行われた日で、高市さんにとっては、岸田首相誕生に繋がった総裁選で高市さんを推薦してくれた安倍さんに向けた弔合戦のようなところがあった。日本初の女性首相に、ゴール直前、鼻の差で届かなかったが、勉強家で、岸田さんと違って自らの声で主張できる高市さんにも期待している。

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