ラクマも宜しくお願い致しますm(__)m
我々が経験したことのない猛暑が地球を襲っており、ヨーロッパでは軒並み観測史上最高気温を更新している。北極に近いアメリカ・アラスカ州アンカレッジでも、7月初め、史上初めて摂氏32.2度まで上昇した。
これは今年に限ったことではない。数年前、今後我々は未だかつて経験したことのない猛暑を次々と体験することになるだろうとアメリカの研究者が予測したが、まさにその通りの事態になっているようだ。
イギリス・ラフバラー大学の気候学者トム・マシューズ氏は、今世紀の終わりまでに数十億人もの人々が、人体の限界を超えた暑さに見舞われることになると警鐘を鳴らしている。
日本でもこのところ最高気温が35度を超える地域があるが、世界では人口の8割がこのレベルの暑さを普通に体験している。
熱波に照りつけられているフランスでは、最近46度という猛暑が観測され、さすがに滅多にない暑さだったのだが、それでも上には上がおり、インドでは今年の夏に50度に達している。
だが、それすらもまだマシで、2017年のパキスタン、2016年のクウェートでは54度という灼熱の暑さが観測された。
こうした極端な暑さの中で暮らす人々は、それをしのぐ知恵を持っているのだが、それでも死者が出るほどだ。
また、それは暑さがとりわけ厳しい地域だけではない。2003年に熱波に襲われたヨーロッパでは7万人が死亡したとされ、さらに2010年にはロシア西部で5万人が亡くなった。
<script type="text/javascript" src="http://karapaia.com/template/scripts/smartphone.js"></script>
当然ながら人体には耐えられる限界というものがある。
人間の体温より外気温が下回っていれば、人体は水分を蒸発(主に汗)させて中核体温を安全なレベルに抑えようとする。おかげで私たちはある程度までは暑さに耐えることができる。
だが、この冷却システムは、湿球温度(気体と蒸気の物理的な特徴を示す温度の一種)が35度に達するまでしか機能しない。
湿球温度は水分の蒸発による冷却効果がある分、通常は天気予報で伝えられている乾球温度(いわゆる空気の温度:気温)よりも低い。
湿球温度が35度という境界を超えてしまうと、空気に湿気が満ちてしまい、汗が蒸発しても体温を下げられなくなってしまう。
汗による冷却効果を得られなければ、人体の中核体温が上昇する。もはや、どれだけ水を飲もうとも、どれだけ休もうとも無駄だ。
そして、そのままの状態が続けば、やがて死にいたる。特に幼い子供や高齢者、病人といった人ほど早く参ってしまう。
湿球温度での35度はそう滅多に観測されることがないが、南西アジアではこのレベルの温度が観測されつつあるという証拠がある。
さらに温暖化によって、ペルシャ湾、南アジア、華北平原といった地域で、今世紀の終わりまでにはこの境界を超えるだろうという予測もある。
これらの地域は地球上でも特に人口密度の高いところで、そこでは数十億人もの人々が暮らしている。
こまめに水分を補給し、涼しいところで休憩するのはもちろん大切なことだが、最後の砦として頼らねばならないのがエアコンだ。
しかしエアコンは電力の消費が非常に激しい。2050年までに、こうしたエアコンの電力需要は、アメリカ、ヨーロッパ、日本を合わせたものに匹敵するようになると予測されている。
電力の供給が維持されうるのだとしたら、猛暑が常態化した地域で暮らすのも可能だろう。しかし、そうしたいわば生命維持装置に依存することは、大規模な停電が起きてしまえば致命的な事態につながるということでもある。
万が一、猛暑の最中にそうした大規模な停電が起きてしまったらどうなるだろうか? その状況は『Nature Climate Change』(7月22日付)に掲載されたマシューズ氏の論文の中で考察されている。
論文では、プエルトリコで数ヶ月に及ぶ停電の原因となったハリケーン・マリアなど、実際に大停電を引き起こしたことがある熱帯の台風について検証されている。
それによれば、温暖化が進めば、強力な台風に続いて危険な猛暑が襲う可能性が増すという。仮に世界の平均気温が4度高まった場合なら、そうした複合災害は毎年のように発生すると予測されている。
こうした被災地への支援をおこうなう際には、被災者に飲料水を供給することと並び、涼しい場所を提供することが最優先課題となる。
ますます暑さの厳しさが増している日本。日本は湿度も高いので湿球温度も高いのが問題だ。もともと暑い地域なら、ある程度の耐性があるだろうが、北海道や東北北部など、これまでさほど暑くなかった地域も暑くなっている。そうした地域ほど熱波災害に対応する体制が整っていないことが多いのが現状だ。
この傾向は今世紀中は続くと予測されている。今年をしのげば来年は大丈夫という保証はない。人体が慣れることができる暑さには限界があるわけだから、今のうちに猛暑対策をしておいたほうがよさそうだ。
更には全世界が一致団結して、地球温暖化の防止や対策に取り組まなければならなくなるだろう。人が耐えられないような暑さには、国も国境もないのだ。
References:Heatwave: think it's hot in Europe? The human body is already close to thermal limits elsewhere/
☆いよいよ人類滅亡か!
image by pixabay
我々が経験したことのない猛暑が地球を襲っており、ヨーロッパでは軒並み観測史上最高気温を更新している。北極に近いアメリカ・アラスカ州アンカレッジでも、7月初め、史上初めて摂氏32.2度まで上昇した。
これは今年に限ったことではない。数年前、今後我々は未だかつて経験したことのない猛暑を次々と体験することになるだろうとアメリカの研究者が予測したが、まさにその通りの事態になっているようだ。
イギリス・ラフバラー大学の気候学者トム・マシューズ氏は、今世紀の終わりまでに数十億人もの人々が、人体の限界を超えた暑さに見舞われることになると警鐘を鳴らしている。
暑さが人体の限界を超えてきている
日本でもこのところ最高気温が35度を超える地域があるが、世界では人口の8割がこのレベルの暑さを普通に体験している。
熱波に照りつけられているフランスでは、最近46度という猛暑が観測され、さすがに滅多にない暑さだったのだが、それでも上には上がおり、インドでは今年の夏に50度に達している。
だが、それすらもまだマシで、2017年のパキスタン、2016年のクウェートでは54度という灼熱の暑さが観測された。
こうした極端な暑さの中で暮らす人々は、それをしのぐ知恵を持っているのだが、それでも死者が出るほどだ。
また、それは暑さがとりわけ厳しい地域だけではない。2003年に熱波に襲われたヨーロッパでは7万人が死亡したとされ、さらに2010年にはロシア西部で5万人が亡くなった。
<script type="text/javascript" src="http://karapaia.com/template/scripts/smartphone.js"></script>
湿球温度が35度を超えると体温を調節できない
当然ながら人体には耐えられる限界というものがある。
人間の体温より外気温が下回っていれば、人体は水分を蒸発(主に汗)させて中核体温を安全なレベルに抑えようとする。おかげで私たちはある程度までは暑さに耐えることができる。
だが、この冷却システムは、湿球温度(気体と蒸気の物理的な特徴を示す温度の一種)が35度に達するまでしか機能しない。
湿球温度は水分の蒸発による冷却効果がある分、通常は天気予報で伝えられている乾球温度(いわゆる空気の温度:気温)よりも低い。
湿球温度が35度という境界を超えてしまうと、空気に湿気が満ちてしまい、汗が蒸発しても体温を下げられなくなってしまう。
汗による冷却効果を得られなければ、人体の中核体温が上昇する。もはや、どれだけ水を飲もうとも、どれだけ休もうとも無駄だ。
そして、そのままの状態が続けば、やがて死にいたる。特に幼い子供や高齢者、病人といった人ほど早く参ってしまう。
image by pixabay
南西アジアなど一部地域では湿球温度が35度を超え始めた
湿球温度での35度はそう滅多に観測されることがないが、南西アジアではこのレベルの温度が観測されつつあるという証拠がある。
さらに温暖化によって、ペルシャ湾、南アジア、華北平原といった地域で、今世紀の終わりまでにはこの境界を超えるだろうという予測もある。
これらの地域は地球上でも特に人口密度の高いところで、そこでは数十億人もの人々が暮らしている。
エアコンによる電力需要の増加
こまめに水分を補給し、涼しいところで休憩するのはもちろん大切なことだが、最後の砦として頼らねばならないのがエアコンだ。
しかしエアコンは電力の消費が非常に激しい。2050年までに、こうしたエアコンの電力需要は、アメリカ、ヨーロッパ、日本を合わせたものに匹敵するようになると予測されている。
電力の供給が維持されうるのだとしたら、猛暑が常態化した地域で暮らすのも可能だろう。しかし、そうしたいわば生命維持装置に依存することは、大規模な停電が起きてしまえば致命的な事態につながるということでもある。
image by iStock
大型台風と停電の極悪コンボ
万が一、猛暑の最中にそうした大規模な停電が起きてしまったらどうなるだろうか? その状況は『Nature Climate Change』(7月22日付)に掲載されたマシューズ氏の論文の中で考察されている。
論文では、プエルトリコで数ヶ月に及ぶ停電の原因となったハリケーン・マリアなど、実際に大停電を引き起こしたことがある熱帯の台風について検証されている。
それによれば、温暖化が進めば、強力な台風に続いて危険な猛暑が襲う可能性が増すという。仮に世界の平均気温が4度高まった場合なら、そうした複合災害は毎年のように発生すると予測されている。
こうした被災地への支援をおこうなう際には、被災者に飲料水を供給することと並び、涼しい場所を提供することが最優先課題となる。
今そこにある危機。私たちはどうするべきか?
ますます暑さの厳しさが増している日本。日本は湿度も高いので湿球温度も高いのが問題だ。もともと暑い地域なら、ある程度の耐性があるだろうが、北海道や東北北部など、これまでさほど暑くなかった地域も暑くなっている。そうした地域ほど熱波災害に対応する体制が整っていないことが多いのが現状だ。
この傾向は今世紀中は続くと予測されている。今年をしのげば来年は大丈夫という保証はない。人体が慣れることができる暑さには限界があるわけだから、今のうちに猛暑対策をしておいたほうがよさそうだ。
更には全世界が一致団結して、地球温暖化の防止や対策に取り組まなければならなくなるだろう。人が耐えられないような暑さには、国も国境もないのだ。
References:Heatwave: think it's hot in Europe? The human body is already close to thermal limits elsewhere/
☆いよいよ人類滅亡か!