友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

まだ生きていかないと

2024年05月23日 18時21分27秒 | Weblog

 卒業生から電話がかかってきた。卒業生と言っても、私が23歳の時に高校へ入学してきたから歳はそんなに違わない。彼は1年生で留年し、2年目の1年を私が担任した。私が下宿していた長屋が彼の家への帰り道にあったので、よく来ていて食事をしていったこともある。

 私も彼の家に行き、彼の漫画本を読み、漫画の世界を知ることが出来た。電話は、私が脳梗塞になったことを伝え聞き、「大丈夫?」と心配するものだった。「大丈夫、死ぬまでは生きている」と答える。それから彼の近況を聴いた。

 「新幹線で東京へ行き、東北新幹線に乗り換えて福島へ行って来た」と言う。「凄いじゃないか」と驚き、「それはまた、どうして」と尋ねる。娘さんのダンナが福島県の人で、諸橋近代美術館へ連れて行ってくれたそうだ。諸橋美術館はダリの蒐集では日本一である。

 彼はひとりでは旅行は出来ない身体だから、誰かのサポートが要る。私なんかよりもボロボロの身体なのに、障がい者手帖は発行されていない。国の基準がどうなっているのか知らないが、あんな身体で障がい者扱いでないとは気の毒な気がした。

 彼が高校生の時、私の下宿に来て、私の書物をよく読んでいた。私がダリを高く評価していたことを覚えていてくれたのだろうか。諸橋美術館についてはテレビで見たことがある。一度は行ってみたいと思っていたが、先を越されてしまった。

 私が好きなもうひとりの画家、アンドリュ―・ワイエスの作品を集めた『丸沼芸術の森』が埼玉県朝霞市にある。アンドリューもダリも写実を基本に描いている。この2つの美術館をぜひ回ってみたいと思っていたが、半分諦めていたが彼の話を聞いて、再び行きたい気持ちが湧いて来た。

 まだ生きていかないとなと思う。


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