友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

世界一の売り上げ、マカオのカジノ

2011年06月14日 21時08分10秒 | Weblog
 マカオのカジノの売り上げはラスベガスを抜いて世界1である。そう聞いて、どんなカジノなのだろうかとちょっと期待したが、やはりラスベガスの規模には勝てないと思った。私たちが出かけたカジノでは、店の一角にステージがあり、姉に言わせれば「裸のような格好」で、白人の女性たちが踊っていた。私は賭け事をしない。真面目というよりはルールがよくわからないのでやる気が起きないというのが正しいかも知れない。それに賭け事を考えると、負ける人が多くいるから「勝った」と喜ぶ人がいるわけで、そんな人の不幸の上にあるものを喜ぶ気にはなれない。

 マカオのカジノの一番の客は中国人だそうだ。社会主義国の中国人が賭博をするのだから驚く。どういう人がやってくるのかと言えば、不正に儲けた人たちだそうだ。典型的なのは公務員で、便宜を図る代わりに賄賂を求める。下級公務員の不正を見逃す代わりに賄賂を求める。公務員は組織的に便宜と賄賂の交換を行なっている。こうして莫大なお金を蓄えていくのだが、銀行に預ければ不正なお金であることが判ってしまう。そこで、カジノに投資してさらに増やし、海外の土地などを買って資産を作り出すのだそうだ。

 中国は社会主義国家だから、土地の私有は永久ではない、だから海外で資産を持つことに熱中するのだ。それはまた、不正が明るみに出て、国に居られなくなった時の逃げ場所の確保でもあるらしい。どんなに優秀な企業家でも、国の法律を犯すことはできない。けれども、役人にお金を送れば逃げ道はいくらでもあるそうだ。また、役人とグルになれば、たとえば土地を買い占めたりこれを転売したり、資本主義社会と同じことが、いやそれ以上のことが出来るようだ。こうして中国経済は飛躍し続けているけれど、正にバブルでしかないように見える。

 大金持ちになっていくのは高級官僚で、農民は働いても豊かになることはない。農村から街へ出て働くが、すこぶる低賃金でしかない。けれど、低賃金で働く人々がいるから企業は太ることが出来るし、企業が成長すれば公務員も潤う。今のところ、中国社会全体が底上げ状態にあるから、政府への強い反発は起きていないけれど、いつか大きな変化がやってくるに違いない。とりあえず、大金持ちではないけれど今日の飯に困るというほどの貧困ではない、どっち付かずの中間層が大きければ何とかなるようだ。

 中国に来てみて、政治とはこういう中間層を作り出すことなのかも知れないと思った。マカオのカジノにやってくる中国人がまだまだ後を断たないようであれば、中国は腐敗の度合いを深めることになるだろう。役人が不正をするのは仕方がないと思えるのは、自分たちも豊かになっていくと確証があるからだろう。けれども最後に泣かなくてはならないとわかれば、黙っていないのが中国の歴史である。テレビがあり冷蔵庫がありエアコンがあり、いつか大きな車に乗れる、そんな豊かさが目の前に来ていると中間層の人々は感じているのだ。

 ラスベガスのような陽気さのないマカオのカジノ、遊びの世界にありながらちょっと違う空気が漂っていた。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 広州・深セン・香港・マカオへ | トップ | トラブルは続いたけれど »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事