午前中は風もなく穏やかで、作業するには暑いくらいだった。行ってみると、春日井の井戸は充分に水を汲み上げることが出来た。問題はないと思うけれど、「水位がどのくらいあるか調べたい」と言うメンバーもいて、何もせずに帰ることも癪だから調べてみようと、手押しポンプを外し、吸管の中に彼が持ってきた道具を入れて調べてみた。水の層も70センチはある。
今度は、「汲み出してみて、涸れないかを調べてみたい」と言う。気になったことはやってみた方がいいので、吸管の塩ビ管にエンジンポンプの蛇腹ホースを接続し、井戸水を汲み上げてみる。水は勢いよく流れだした。ここは家庭菜園になっていて、この日も何組かの人たちが農作業をしてみえた。私は畑に水が入らないように急いで水路を造ったが、水の量が多いからたちまち畑に流れ込んでしまった。
「何をする。植えたジャガイモがダメになるじゃーないか」と怒鳴られてしまった。「すいません。こちらの下の方へ流しますから」と謝るが、「そっちに流すな。どこへ流すかも決めずに作業するな」とますます怒りが大きくなる。怒れるオヤジの面倒は私に任せたというつもりなのか、エンジンポンプを止める気はないようで、水はどんどん流れてくる。謝る私と怒るオヤジのやり取りが10分を超え、ようやくエンジンは止まった。
辺りは一面水浸しだが、これで充分水を汲み出すことは出来ると分かった。それにしても、12月に水が出なくなったのはどうしてなのだろう。原因は不明だが、とにかく水は出る。これから水が必要になるから、手押しポンプを使う頻度も多くなるだろう。井戸は使われれば水道が出来る。皆さんがこの井戸を使ってくれればますます水は確保されるだろう。
私たちが作業をしていると、小学校2~3年生くらいの女の子が「何してるんですか?」と声をかけてきた。ここの井戸を直しているの」と答えると、「私もやりたい。井戸の水で手を洗ったり、口すすいだよ」と言う。「お手伝いは無理だから、修理が出来たらまた使ってね」と答える。お母さんは「手押しポンプを使ったことはなかった」と言うので、女の子は得意そうな顔になった。
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