沖縄の名護市長選挙で、自民・公明が推す新人が勝利した。昨夜、かなり早い段階での勝利宣言となったのは、期日前投票が2万1660票もあったからだろう。有権者の44%の人が期日前に投票していたからか、当日の投票所の様子をテレビで見た時は、随分関心が薄いんだと思ってしまった。投票率は77%だったから、この地方の首長選と比べればかなり高い。
1997年に名護市で行われた住民投票でも事前の意識調査でも、市民の多くは普天間基地の辺野古移転に反対だった。それなのに、移転阻止を掲げた現職は当選できなかった。選挙通に言わせれば「3期目は強い」はずだったが、勝てなかったのはどうしてなのだろう。「反対しても工事を止められない」嫌気が、「どうせ止められないのなら」と新人に向いたのだろう。
新人の選挙戦術は辺野古移転には一切触れずに、「基地問題にこだわり、国からの補助金が入らず発展できなかった。このため市には閉塞感が漂っている。市政の刷新と経済振興を目指す」と訴えた。日米安保条約が続く限り、米軍は沖縄に駐留するから、国から金をもらって学校給食を無償にする方が現実的と提案したのだ。
そう、軍事基地はない方がいい、しかし無くならないのならその代償を手にすべきだ。これが市民の現実感覚なのだろう。理想に向かっていくのか、それとも目の前の現実に対処するのか、政治はいつもその選択を迫られ、現実に流される。米軍ヘリが何度も不時着したのも、だから辺野古へ早く移転せよという戦術だったのかも知れない。
現実を突きつけられると人間は弱い。マンションの自治会の人事でも、「良い人が居ない」と言われると、じゃ―現体制でやるしかないとなってしまう。理想を述べても、「現実が分かっていない」と弾劾されてしまう。現実至上主義を打ち破る方法はないのだろうか。
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