友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

『ダイナミック琉球』

2011年12月13日 19時20分05秒 | Weblog

 石垣島のホテルで、エイサーの実演を見た。親族でエイサーを演じるグループだった。5歳くらいの女の子が一家のひとりとして踊っていて、とても可愛くて人気の的だった。何曲かを歌って踊ったけれど、その中の最後の曲に、私は「神のお告げ」を受け、絶対に買って帰ろうと思った。楽団のひとりに「今の曲は何と言うのですか?」と聞いてみた。「その曲はCDになっていますか。どこへ行ったら買うことが出来ますか」と矢継ぎ早に尋ねた。沖縄から全国へ広がった歌はいくつかあるけれど、この曲も必ずヒットすると思った。

 

 翌日、起きて「アレッ」と思った。覚えたつもりでいた曲名が出てこない。一緒にいた友だちに聞いても「知らない」と言う。素晴しい曲だったのに関心ないのかと少々がっかりした。それでも私はどうしても手に入れたいと思った。ホテルの人ならば分かるのではないかと、フロントの女性に「昨夜、ロビーで行われたエイサーの中で歌われた曲なのですが、『風よ』という歌詞のある」と言って口ずさんでみせた。「ええ、ダイナミック琉球ですね」と答えてくれた。私のメロディーの記憶も間違っていなかったようだ。覚えやすい曲名だと思ったのに、やはりメモくらいしておくべきだった。「それはCDになっているようなのですが、どこへ行けば買えますか」と尋ねると、「ホテルの売店にも置いてあると思いますので確かめてみますね」とすぐに電話してくれた。

 

 「ございますよ」と教えられ、買ってきて何度か聞いてみた。CDは男の人がひとりで歌うものだった。イクマあきらさんという人だ。ホテルでは男2人と女4人で歌っていたので膨らみがあり、それにテンポも速かった。それでも何度か聞いているうちに、CDのゆったりとして歌い方もいいかと思うようになった。『ダイナミック琉球』は必ずヒットするからぜひ一度聞いてみて欲しい。沖縄らしい節回しがとても気持ちいい。でも、言葉の分からない部分がかなりある。八重山諸島に行ってみて、沖縄を中心とするこの南の諸島は異国だなと思った。生活のスタイルは台湾とよく似ている。言葉はどこに似ているのだろう。

 

 太鼓で踊るエイサーは、東北の念仏歌が元祖だという。そう思って聞けば確かに念仏歌のにおいがするし、念仏踊りの雰囲気もする。昔、NHKラジオ番組で各地の民謡を取り上げていたが、どこそこの民謡の元になったのはこの民謡ですという解説を聞いて、なるほどと思った。民謡も船で港から港へ伝わったり、あるいは陸上の運搬で、馬子たちによって伝えられたりしたのだ。人は昔からそんな風に文化を広げていったのかと感心した。沖縄の音楽もまた、北の国や南の国から伝わり、熟成して独特のものへと成長していったのだろう。

 

 沖縄を中心とする諸島が独立した国であったなら、今日の沖縄の悲劇は無かったのかも知れない。そんな歴史を見ない「たられば」を考えても仕方の無いことだが、美しい南の島の雄大な夕焼けを見ていたら、軍隊を持たない島々が外交だけで生き延びてきたことの尊さとやりきれなさを思わずにはいられなかった。「名もなき民の 声なき歌を 道に立つ人よ 風に解き放て」(『ダイナミック琉球』より)。

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