友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

それを幸せと感じてはいけないのか

2023年02月11日 17時55分39秒 | Weblog

 3年ぶりに開かれた北名古屋市国際交流協会のイベントに参加した。今回の企画はフィルムフェスティバルで、第1部がウクライナを扱った『ピアノ』、第2部がアフガニスタンで孤軍奮闘した中村哲さんを描いた『荒野に希望の灯をともす』だった。時期を得た作品のためか、観客は多かった。

 2本ともドキュメンタリーで、その出来栄えには感心した。第1部の『ピアノ』は、ゼレンスキー大統領が登場する前のウクライナのキエフが舞台だった。ソ連の崩壊でウクライナが独立したのは1991年、親欧米と親ロシアの政権が交代を繰り返していたが、2014年親ロシア政権に抗議して大規模なデモがキエフの広場を埋め尽くした。

 この時、バリケードのために持ち出されたピアノがあった。「ピアノをもとに戻して」と少女は叫ぶが、願いは聞き入れられない。少女はピアノの前に座り演奏を始める。ピアニストも現れて、ショパンを弾く。ある時はデモ隊の人々との大合唱となる。けれど、デモは鎮圧され、ピアノはどこかへ運ばれてしまう。

 第2部の『荒野に希望の灯をよもす』は、中村医師の奮闘を追ったもので、無医村で治療に当たった中村医師は、餓えを無くすことが根本だと気付く。無医村を無くすとともに、人々が村で生活できるために農業用水を引こうと、土木工事に心血を注ぐ。日本の灌漑用水をヒントに手作りで工事を進める。

 「人は必ず死ぬ」と中村医師は言う。だからどう生きるか、何のために生きるかを常に考える。「平和とは命を大切にすること」で、戦いがなければいいというものではない。アフガニスタンでは米軍が、ウクライナではロシア軍が、兵士ばかりか一般の人々をも殺戮している。

 殺されるより殺した方がいい。そんな風潮が広がるが、中村医師が引いてきた用水のおかげで、砂漠だったところが緑豊かな農地になり、人々は笑顔で収穫に精を出していた。殺し合っていったい誰が得をするのか。花を眺めながらピアノに合わせて歌を歌う。それを幸せと感じてはいけないのか。そう思った。

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