東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森会長の謝罪会見をテレビで見て、「これはダメだ」と思った。森会長は3日のJOCの会議で、「女性が多い理事会の会議は時間がかかる」と挨拶し、女性蔑視との批判が上がったことから、趣旨が伝わっていないと会見に臨んだ。
「JOCの評議員からは笑い声もあがった」と朝日新聞にあったから、「笑い」を取るための挨拶だったのだろう。会見では「不適切な表現があったので撤回し、お詫び申し上げる」と謝罪していたが、記者から「不適切な表現とは?」と質問されると、ムッとした表情になって「お話しした通り」と言う。
「女性蔑視になってしまった」と謝らなかったのは、そういう考え方をする人だからだ。「女は男の後についてくるものだ」という考えが身体に染付いている。83歳の高齢な頑固者は権力の座を捨てられない。「わきまえている」という発言の真意は、忖度が出来ているということだ。
ところが森会長は発言の重さが分かっていないから、「会長を辞する考えはない」と言い切る。あくまでもボランティアでやっているのだからと強調する。女性蔑視の考えの人を会長に据えて、国際世論が納得する訳がない。
これは菅首相にとって、「能力がない」との批判に応える絶好のチャンスだ。森会長の職を解いたなら、多少は人気も上がるだろう。それにしても、日本にはまともな政治家がいない。休業や時短命令に従わない、あるいは入院措置に応じなかったり入院先から逃げたりすると、過料が科せられる法律は異常だ。
過料は「あやまちりょう」で、刑事罰ではないからという理由で立憲民主党は賛成したのだろうか。誰も怒りが湧かないのか、デモの呼びかけもない。60年安保や70年闘争の主たちは年老いたが、若者たちは何をしているのだろう。