「長いこと来んかったね」と、姉に会うなり言われた。いつも月の半ばには見舞いに行っていたが、今月は行事が重なり出かけるのが10日ほど遅れた。姪っ子に言わせれば「すぐに忘れてしまうから困る」ということだったのに、意外にボケてなんかいないようだ。そうではなくて、私たち夫婦や妹夫婦が見舞いに来るのを楽しみに待っているのかも知れない。自分から何かを話す訳ではなく、私たちの会話を聞いて、「私には分からんわ」と言う程度だが、それでも日常とは違う変化が嬉しいのかも知れない。
サボったりせずに訪ねて行こう。そうすることで、妹夫婦とも会話ができるし、姪っ子の家族のことも知ることが出来る。帰る時、「じゃー姉さん帰るね。今度は早く来るからね」と声をかけると、嬉しそうなそれでいて寂しそうな表情で「もう帰るのかね」と言う。歩くことも出来ず、車イスも自分では動かすことも出来ず、介護士さんの助けが無ければ何も出来ないのに、「介護士さんたちはみんな優しそうでいいね」と妹が言うと、「そう見えるだけ」と憎らしいことを言う。口に出さなくても、「お世話になりますねえ」という気持ちでいてくれたらいいのにと思うのは、本人ではないからだろう。
今村復興大臣は、「(大震災が)東北でよかった」と講演した。安倍首相は同じパーティで「今村復興大臣が不適切なことを申し上げた。深くお詫びする」と謝った。パーティの主催者である二階幹事長は「マスコミは余すところなく記録を取り、1行でも悪いところがあれば首を取れと。なんということか。(そういうマスコミは)初めから排除しないといけない」と語った。今村さんは復興させてやっているという思いがあり、「被災地に寄り添う」とはただの言葉に過ぎないことを暴露した。
それにしても今村さんの発言を問題と思わず、むしろ更迭させた怒りをマスコミに向けた二階さんの発言は重大だ。二階さんの発想は、「言うことを聞かないマスコミは排除せよ」というもので、言論統制、ファシズムの思想である。政治家が国民から監視されているのは正しい社会である。そんな当たり前のことを理解していない政治家がいることの方がビックリだ。いつまでもボケたままでいないで、時には正常な判断が出来ることを示そう。そうでもしないと言いなりにされてしまうだろう。