友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

明日は楽しみ

2017年02月10日 17時24分09秒 | Weblog

 明日は私が教員になって初めて勤めた学校に出かける。愛知県で一番伝統のある工業高校だが、時代が大きく変わったのか、後発の工業高校と一つになり廃校となる。そのため、最後の学校の様子を見に来て欲しいと手紙をもらった。135名の卒業生が参加するとあったが、私が知っているのは上の方の10人ほどだ。22歳で赴任したからちょうど50年となり、あの子たちも還暦を過ぎてしまった。

 この学校の先生たちは伝統校に勤めているという自負が強くあり、専門教科は生徒たちが自主的に実習していた。先生はただ監督するというか、眺めているだけだった。先生の中には開始と終了の時はいるけれど、その間の時間は教官室で自分の勉強をしていることもあった。授業が無ければ学校を抜け出していく先生がいたくらいだったから、雰囲気は大学並みだった。私は年齢が生徒と近いこともあり、生徒と一緒に実習するのが好きだった。

 あの頃は何もかも手描きだった。しばらくして、レタリングシートが売りに出されたが、それでも文字を手描きさせていた。美術科のように石膏デッサンもさせたし、油絵も描かせた。今ではすっかりコンピュータで制作するようなので、変化の速さにビックリする。余り絵はうまくなかったが、頭のいい女の子がいて、卒業してしばらくするとタイプライターのように文字が描ける機械を何台も揃えて社長になっていた。ところがすぐにコンピュータに変わってしまい、倒産してしまった。

 工業デザインを専攻した生徒の憧れはトヨタで、優秀な成績の子が就職していった。中にはどうしてもトヨタに行きたい子もいて、工業デザインの先生に無理やり枠に入れてもらった。それでもトヨタでは異端児で、間もなく独立してデザイン事務所を構え、ホイールのデザインで名を成した。私が勤めていた頃はなかなか個性的な人材が多く、私よりも優れた才能を持っていたので、「花を咲かせてやりたい」の一念で子どもたちと接してきた。明日は何人に会えるのだろう。

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