夜に出かけることはなかったのに、今晩は用事が出来て街に出た。まだ、11月だというのにあちこちでイルミネーションを見かけた。もうクリスマスの電飾ではなく、冬の風物詩になっている。1994年に、研究のためにアメリカの大学に留学していた友だちを訪ねてロッキー山脈の中の街へ出かけたことがあった。12月末から1月の初めの機関だったので、シアトルの街はクリスマスの飾りで一杯だった。
シアトルは都会だから、ホテルもデパートも商店もクリスマスの飾りは当然と思っていたが、ロッキー山脈の中の一軒家でも、家の周りにいろんな電飾を施していた。日本人が正月に門松を飾るように、アメリカ人はクリスマスを心から祝っているのだと思った。ところが最近、日本でも冬になるとイルミネーションの名所が出来るほどだ。この街でも各家がそれぞれに電飾を行っている。なるほど、クリスマスという信仰の行事とは関係なく、人は祭り事が好きなのだ。
施設に居る姉を妹夫婦と一緒に見舞いに行って来た。この施設に入所して1年以上になると思うが、病院にいた時のことを思うと随分穏やかな顔になっている。けれども姪っ子から、「食事を食べなくて職員の人が困っている」と聞く。野菜の煮物が嫌いで肉類が好きという姉がワガママに見えるらしい。姉は来年3月で88歳になるが、この世代の人なら好き嫌いなく何でも食べそうなのに、昔からハイカラなものが好きだった。
その姉が私を見て、「あんたは長男だったかねえ」と言う。「僕は3男で、姉さんにはお世話になってきました」と答えると、「そうかね、3男なのに大変だねえ」と言う。「兄貴はいたけど、おじいさんの養子になってしまったので急に長男みたいになったけど、本当は3男の要らない子だったんです」と皮肉を言うと、姪っ子が「ウチの3男もそうだけど、やっぱり3男はちょっと変わっている」と付け加える。姪っ子の3男は声優を目指していたが、今は舞台俳優で頑張っている。
長男は責任感が強いし、長女は目立ちたがる。人はそれぞれ背負っているものが違う。だからこそ楽しくもあり苦しくもあるが、受け止めていくしかない。