
◉ 布袋草(ほていそう) ・ ほろかけぐさ ・ おおぶくろばな ・ くまがえそう
熊谷草を見せよと仰せありしとか ・・・・・ 高浜虚子 [六百五十句]
熊谷草甲冑すでにほろびけり ・・・・・ 河野南畦
熊谷草見むと訪ねる山の寺 ・・・・・ 青柳志解樹
日本の野生蘭では最も大きな花を1個下向きに付けます。
扇形の葉を2枚対生し、
細長い左右の花弁は淡黄緑色の地で褐色を帯びます。
袋状の唇弁には白に紅紫色の網目があって、
下方に垂らします。
唇弁の形を、
熊谷直実が背負った母衣(ほろ)に見立てて名が付いたそうです。
[ ラン科アツモリソウ属の多年草 ]
ひと雨に熊谷草の芽の一つ ・・・・・ みなみ
クマガイソウ (熊谷草)
日本では、
北海道南部~九州にかけて、
低山の森林内、竹林・杉林などの傾斜地に、
しばしば群生します。
草丈は、20~40cm。
地下茎は、1年に5~10cmほど伸び、節をつくり、
先端に芽を出し茎を立てます。
茎の先に、縦皺の多い扇形の葉を2枚、
対生状に付けます。
葉先は丸く、波形の鋸歯があります。
花期は、4~5月。
茎頂の2枚の葉の間から花柄を立て、
上部に小さいホウ葉を1枚付けます。
花は、淡緑色の地で褐色を帯び、
袋形の唇弁には、紅紫色の網目があります。
花弁は内面下部に毛があり、ガク片とほぼ同じ長さです。
近縁種のタイワンクマガイソウ( 台湾原産)は、
地下茎が短くクマガイソウほど伸びません。
名は、袋状の唇弁の形を、
熊谷直実が背負った母衣(ほろ)に見立てて付いたそうです。
・絶滅危惧種・