↑ クジャクシダ
◉ 歯朶若葉 (しだわかば)
晴れあがる雨あし見えて歯朶明り ・・・・・ 室生犀星 [遠野集]
青歯朶の底まで晴るるダム工事 ・・・・・ 中村千絵 (浮野)
山鳥の首立ててゆく羊歯若葉 ・・・・・ 渡辺立男
歯朶は種類が多く、常緑のものと、冬に葉が枯れるものがありますが、
いずれも初夏になると、青々とした葉を展げます。
この頃の歯朶を「青歯朶」といい、美しく涼しげです。
山野の林下や崖など湿ったところに自生し、群生または点在しますが、
庭園などにも植えられています。
シダ植物は、植物分類群の一門で、胞子により繁殖する植物です。
特に無性世代の胞子体をさして言います。
植物体の形は種々ですが葉は大きく、葉・茎・根の区分があります。
* 新年の季語としての「歯朶」は、ウラジロ(裏白)を指します。
* 歯朶萌ゆる(仲春)・歯朶(新年)・歯朶刈(仲冬)
[ シダ植物の総称:特に胞子体、大型の葉をつける類の総称,多年草 ]
青歯朶の雨に目覚めて雨に寝て ・・・・・ みなみ
シダ植物とは
種子ではなく胞子で繁殖し、
胞子体と配偶体がそれぞれ独立している維管束植物の総称です。
維管束とは、根が吸収した水分を運ぶための導管(シダ植物の場合は仮導管)と、
光合成でできた栄養分を運ぶための篩管が束になったものです。
シダ植物は、大きく小葉類と大葉類の二つの系統に分かれて進化してきました。
「くらべてわかるシダ」より
一般の植物と同じように、シダも環境に合わせて生育する種類がかわります。
シダにも常緑性や夏緑性の種類も多く、なかには冬緑性の種類もあり、
生育する時期が異なっています。
・常緑性は、春に葉を出し、翌年春に新しい葉が出るまで葉が枯れないもので、
ホウライシダ・イノモトソウ・ベニシダ・イノデなどです。
・夏緑性は、春に葉を出し、秋に葉が枯れてしまうもので、
シノブ・ゼンマイ・イヌワラビ・クジャクシダなどです。
・冬緑性は、晩夏に葉を出し、翌年の初夏近くに葉が枯れてしまうもので、
フユノハナワラビ・アオネカズラ・オオハナワラビなどです。