◉ 吊忍 (つりしのぶ)・簷忍 (のきしのぶ)
自ら其頃となる釣忍 ・・・・・ 高浜虚子 [五百句]
すぐ前に塀がふさがる釣忍 ・・・・・ 松本たかし
人知れず暮るる軒端の釣忍 ・・・・・ 日野草城 [花氷]
山地の岩や樹木などに着生する
シノブ科の夏緑性のシダで、
古くから栽培されています。
竹や針金を芯にして山ゴケを巻いたものの上に、
忍の長い根茎を巻き付けて、
舟の形や井桁・毬の形などさまざな形に作り、
軒端などに吊るします。
風鈴を下げたものもあり、すずやかな音色を発し、
青々とした光沢のある繊細な緑の葉は涼感を呼びます。
江戸時代中期ごろに
庭師たちが作り始めたと言われ、
夏の風物の一つです。
[シノブ科シノブ属の夏緑性多年草、シダ植物]
釣忍 ・・・ みなみ
釣忍とどく朝の宅急便
釣忍届きて夫にまづ見せて
木洩れ日にしばし華やぐ釣忍
まらうどに褒められてゐるしのぶ玉
シノブ (忍)
日本では、
北海道~沖縄にかけて、
深い山の岩や樹幹に着生します。
根茎は太く径3~5㎜、長く横に這い、まばらに分枝し、
淡褐色または暗褐色の線状披針形の鱗片で密に覆われていて、
まばらに根を出します。
葉は間隔をおいて出ます。
細い針金状の葉柄はかたく、長さ5~10㎝、落ちやすい鱗片をまばらに付けます。
葉身は、長さ10~30㎝、幅8~15㎝の三角形または長五角形で、4回羽状に深く分裂します。
羽片は柄があり、最下のものは最大でやや三角形、
他のものは長卵状三角形で光沢があり、質はやや厚い草質です。
小羽軸には裂片が流れて翼状となります。
裂片は線状頂楕円形で幅1~2㎜、鋭頭、縁は全縁、1本の小脈を持ちます。
小脈の末端に長さ1.5㎜内外の長楕円形で壺形の包膜を持った胞子嚢群を生じます。
胞子嚢群が熟すると長い柄をもった胞子嚢は包膜の入り口から抜け出してきて褐色に見えます。
根茎や根を束ねて球形または船形・井形などさまざまな形に作ったものを釣り忍として、
観賞用に軒下などに吊るし、涼しさを添えました。
名は、土がなくても生育するため、土の無いのに堪え忍ぶということから付いたそうです。
2020/07/22 撮影…しのぶ玉 (店名:萬園)
2020/11/04 撮影
蹲踞の脇にイワヒバとシダを植えています。
素敵な忍ですね。
しっとりと涼しそうですが、管理はいかがですか?
私には無理かな???
こんにちは。
蹲踞に歯朶、きっと趣のあるお庭なのでしようね。
小さな楽しみにと、
昔を思い出して、吊るしてみました。
コメントありがとうございました。
こんにちは。
花々を上手に育てていらっしゃるので、大丈夫だと思います。
昔を偲んで、吊るしてみましたが、
若い頃は眺めるだけでしたので、
しのぶ玉を扱うのは初めてです。
パンフレットによりますと、管理は、
夏は直射日光を避ける(明るい日陰に吊る)。
乾いたら毎日バケツにどっぷりつける(2~3分)。
10月頃、葉が枯れたら、2~3日陰干しし、
乾いた新聞紙に包んで、ビニール袋に入れて密封保存。
翌年、桜の開花期に屋外の日だまりに出して水を与え、芽を出させる。
形が変形したら鉢植えで楽しめる。 以上です。
この通りに育ててみたいと思っています。
コメントありがとうございました。