日本のものづくりの代表的な産地の京都。伝統的なものづくりから、最先端のものづくりまで、本当にさまざまなものづくりが行われています。
「ミモロちゃん、京都って、婦人服の高級プリント生地の産地だって知ってる?」とある日、お友達の高橋聖介さんに尋ねられました。
「ううん、知らない…和服の反物だけじゃないんだー」と、ミモロは、目をキョロキョロ。
「じゃ、うちの工場に来てごらん。プリント布地の最先端の加工が見られるよ」と高橋さん。「行く行く…」とミモロは、高橋聖介さんの会社である「高橋練染(れんせん)」の工場を見学させていただくことに…。
「こんにちはー」「あ、ミモロちゃんいらっしゃい」と、工場の入口で迎えてくれた高橋さん。まずは、プリントの加工というものを教えてもらいます。
プリント服地は、どんな商品をつくるかという企画から始まり、図案化されたプリントは、なんと約20の工程を経て完成します。「高橋練染」は、その最終段階の「整理仕上げ」というプリント生地を商品として完成させ、さらに付加価値をつける後工程を担っています。
「へぇー『整理仕上げ』っていう工程があること自体知らなかった…プリントの布って、印刷すれば出来上がりかと思ってたー」とミモロ。
「ところで、商品の付加価値ってなあに?」とミモロは、さらに尋ねます。
「それはね、例えば、プリントされた布地をシルクのようになめらかで、しなやかにしたり、ふっくらさせたりする風合加工、また吸水性、通気性、防汚、抗菌、消臭などの機能性を高める機能性加工、凹凸やシワなど特別感をプラスする表面加工などがあるんですよ」
ミモロの前には、シルク加工された化学繊維の布が。
「ホント、スベスベ…ツヤもあるし、本物のシルクの布みたい…」
「これは、布の表面に凹凸があるでしょ」「あ、よく見るとあるある…なんかすごく高級感があるねぇー」
こういう技術は、日本が世界をリードする最先端技術のひとつ。他の国ではできない、素晴らしい技術です。海外の有名ブランドの服地にも、日本の製品は使われています。
「では、工場を案内しましょうね」と。ワクワクしながら、高橋さんの後につづくミモロです。
「わー布地がいっぱい…」
「この布は、まだ加工されていないもの。染色した工場から届いたままの布ですよ。だから触ると、ゴワゴワした感じでしょ?」
企画されたプリント生地は、布を織る工場、プリントする工場など、それぞれ別々のところから。最終加工のために、ここに運ばれます。
まず、水洗いだけでは落ちない布に付いている不要のノリや染料を、還元剤などを用いて完全に洗浄。商品になってからの色落ちを防ぎます。と同時に、美しい発色や生地の風合いなどを最良の状態に仕上げて行きます。
「へぇーいろいろな作業があるんだねぇー」
初めて見た布の最終整理工程作業に、ミモロは、ただただ驚くばかり。
大きな機械から、長い布が次々に流れるように出てきます。
さまざまな工程があって、あまりに複雑で、どれがどれだかミモロは、よくわからないよう。
「でも、なんかすごーいってことは、わかるよー」
これは、布を柔らかく、そして艶やかにする加工。
「ちょっと触ってごらん・・・」「ホント、柔らかくなってるー」
さまざまな加工を施された布は、その幅を整える機械を通ります。
「あ、初めは、狭い布が、だんだん幅広くなってくースゴーイ!」
ミモロは、目の前に繰り広げられるさまざまな工程を、興味津々で見つめます。
「さぁ、こっちにも来てごらん…」高橋さんは、ミモロを工場の中を次々に案内します。
「ここは、なにしているの?」ミモロは、布の前で真剣に見つめる人のそばへ。
「ここは、整理仕上げをした布に問題がないか、厳しくチェックする場所」と。
ミモロも横に並んで立って、流れるように前を過ぎる布を見つめますが、もちろんちっともわかりません。
「なんか、目が回って来ちゃったーフー」
厳しいチェックをパスした製品は、紙でできた芯棒(紙管)に巻かれます。
そして、ビニールに大切に包まれて完成!
「やっとできたー」
できた製品は、次々に、注文した会社へと送り出されて行きます。
ミモロもちょっとお手伝い。
ここ「高橋練染」では、毎月80万メートルの布の整理仕上げをしているそう。機能加工だけでも、2万メートル、3万着以上の服ができる量です。
布に対して、近年は、さまざまな機能性加工のニーズが高まっています。夏の暑いとき、着ると涼しく感じられ、汗を即吸収し、しかもさらりとした着心地とか、紫外線カットのUV加工なども盛んです。また冬は、着るだけでポカポカと温かくなる加工や、おじさんたちの加齢臭を軽減する消臭加工などなど、さまざまな機能性加工が登場しています。
また風合加工も、麻や木綿がシルクのようにソフトな感触になったり、シワ加工やエンボス加工など、布そのものの表情を豊かにするような加工も人気です。まさに布に関しての最先端技術が施されているのです。これも長年培った京都の技術力の賜物。
「昔より、快適に過ごせる服ができるんだー。スゴイ進歩!京都って、伝統的な布づくりだけじゃなくて、最先端の布も作ってるんだねぇー」とミモロは、感心するばかり。
「え?まだ、なにかあるの?」と、ミモロは、また高橋さんの後をトコトコと。
人気ブログランキングへ
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます