ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

三条小橋のそばにある、創業明暦2年の有職京人形、京雛 五月人形の「小刀屋忠兵衛」

2015-01-29 | 老舗

江戸の日本橋から続く東海道は、京都の三条大橋まで至ります。
「弥次さんと喜多さんの像だって~」とミモロ。鴨川にかかる三条大橋の脇には、旅姿の像が…。「ホント、よくみんな歩いて、行ったり来たりしたよね~」と。今や新幹線で2時間半弱の東京ー京都間。「お昼寝してると、着いちゃうの」。江戸時代の人には、信じられない時代です。

今や昔の面影を見つけることが難しい三条大橋周辺。昔は、京にやってきた旅人で、もしかしたら、今以上に賑わっていたのかも知れません。

そんな三条通は、ビルが立ち並ぶ通りに…。高瀬川にかかる「三条小橋」から河原町通までの間に、1軒の古い町家が…。
 
このお店の前を通るたびに、必ず足を止めるミモロです。
「わ~いつもカワイイお人形がいろいろ並んでるんだ~。あ、今日は、お雛様…春を感じるね~ここだけ…」

みぞれ交じりの寒い京都…でも、お雛様を見ると、春を感じます。
「もっとお雛様見せてもらおう…」と、ミモロは、お店の中へ。
ガラスケースの中には、さまざまな京都らしい、どこか雅な雰囲気の小さな人形がズラリと並んでいます。
「干支のお人形でしょ、それからおめでたい宝船なんかもあるよ~」
 

京都らしい人形と言えば、ずらりと並ぶ祇園祭の山鉾と八坂神社の3基の神輿。
  
ここには、祇園祭に登場する、すべての山鉾が、手の込んだミニチュアになっています。
「あ、大船鉾もある~」昨年、150年ぶりに復活した、山鉾巡行の最後を飾る「大船鉾」も作られています。
「去年、乗ったよね~」と、多くの人で賑わった後祭を思い出します。「ミモロ、粽授与お手伝いしたんです。御神輿もたくさん見物しました」と、ご店主に。「へぇ、そんなんですか~」と、十五代目のご店主の大西弘太郎さん。「この三条大橋は、八坂さんから御旅所に入る神輿が、必ずわたるんですよ…。昔は、橋のそばの町内の人たちが、橋の修理や管理をしてたんですよ。何しろ、今のような丈夫な橋ではなかったから、3基の神輿が通るということは、1000人以上の人たちが渡ることになりますから、気をつけないと…」と。

ここ「小刀屋忠兵衛」は、創業明暦2年、1656年というのですから、江戸初期から商いをしていることに。初めは、橋のそばの旅籠として開業し、明治時代は、呉服商を営み、京人形のお店になったのは、戦後から。
「どうして、京人形のお店になったんですか?」とミモロ。
「この辺りは、旅館が多く、また修学旅行生も急増して、京都らしい品が求められたんです。それで戦後に父親が始めました」とご店主。ここに並ぶ人形は、昔からお付き合いのある人形師さんの作品。ご店主の好みで、選ばれた品は、いずれも丁寧な仕事と、そこに京都らしい華やかさ、そして、思わず微笑んでしまう愛らしさもたたえたものです。
「よくあるお土産屋さんの品とは違う…」とミモロは感じているよう。

「これ知ってますか」とミモロに見せてくれたのは、昔使われていた品々です。「ここにお金を並べて数えたんですよ」

「こっちは、明治時代に、三条通にゆかりのある人達…」
古い記録には、新島穣や八重、山本覚馬などの名も記されています。「それから、これは、江戸時代のガイドブック。京都のお店が紹介されているんですよ。ほら、ここにこのお店も出てるでしょ。『みすや針』『原了郭』の名もあるでしょ」。今も続く老舗がズラリとならんでいました。歴史に詳しいご店主…ミモロは、お話しを伺うのが楽しくてなりません。お店を見渡すと、いろいろなところに歴史を物語る品々が…「ここって、まるで資料館みたい…」。

「あの~ここに住んでるんですか?」とミモロ。「はい、ここが自宅です。昔は、この辺りにも住んでいる人が多かったんですが、今は、たぶん住んでいるのは、3軒くらいしかないと思いますよ。みんなビルになったり、相続税が払えなくて、商売が続けられないところもありました。まじめに商売をやっていても、商売が続けられないのは困ったものです」と。町の繁華街の三条通、その地価の高さも相当なもので、その相続税は、相続人に重くのしかかります。

昔から商売をしているお店が消えるのは、跡継ぎがいないだけでなく、相続税が問題に…。京都には、そういうお店が少なくないそう。

いろいろなお話しを聞いた後、ミモロは、さらにお店の奥へ
店の一番奥に、品格漂う京雛が。「あ、お雛様…」。そこには、品格漂うお雛様が並んでいました。
「やさしいお顔のお雛様~」 
「お雛様欲しいなぁ~」と、女の子のミモロは、お雛様が大好き。「でも、こんなりっぱなお雛様飾るところ、おうちにないから…」と、よく事情がわかっているミモロです。こっちに小さなお雛様があるわよ~。「え?どこ?」
ガラスケースの中に、手のひらに乗るくらいの大きさのお雛様が…。
 
「カワイイ…小さいから、ミモロのおうちにも飾れる…」と、お雛様の前から動かなくなったミモロ。そんなに欲しいの?「うん…このお雛様飾って、お雛祭りしたいよ~」と。じゃ、小さいのね…。
「これにする~」と、ミモロは、小さなお雛様を選びました。
ミモロの大きさから、お雛様のサイズがわかります。2000円以内で買えたお雛様。まぁ、この程度なら、なんとか…。「ねぇ、ぼんぼりや菱餅もあるよ~。お雛道具もいろいろある…」とミモロ。それは、少しずつ揃えましょうね。その方が、楽しいから…。「じゃ、来年ね~」。来年になったら、忘れてるといいんだけど…。でも、結構、ミモロは、しっかり覚えてるんだよねーこういうことは…。家には、ミモロの品々が、年々増えてゆくばかりです。

お雛様を包んでいただき、うれしそうなミモロ。「また、お話し聞きに来ていいですか?」「はい、またいらしてください…」

みぞれが降る中、「あかりをつけましょ、ぼんぼりに~」と、歌いながら家路をたどるミモロです。まだ、春の訪れには、しばらく時間がかかりそう…。

(店内は、許可なく撮影は禁止です。今回は、事前にご許可をいただきました)

*「小刀屋忠兵衛」京都市中京区三条通河原町東入ル中島町87 075-221-6349 11:00~21:00 月・火曜休み


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