みけの物語カフェ ブログ版

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0665「しずく48~発光」

2019-09-22 18:17:36 | ブログ連載~しずく

 アキは立ち上がると、「こっちよ」と、あずみを手招(てまね)きして先(さき)に歩き出す。彼女の向かった先に扉(とびら)が現れた。つくねは驚(おどろ)いた。だって、そこには扉なんかなかったはずなのに…。扉が開いて、三人は中へ入って行った。
「さあ始めましょ。そこに座(すわ)って」
 ハルが指(ゆび)さした場所(ばしょ)。そこは、さっきまでお茶(ちゃ)を楽しんでいたところだ。いつの間にかテーブルと椅子(いす)が消(き)えていて、真っ白な大きなソファが置かれていた。つくねは言われるままにそこに座る。座った途端(とたん)、つくねは思わず声をあげてしまった。なんてフワフワで、身体(からだ)を優(やさ)しく包(つつ)み込んで…。こんな座り心地(ごこち)は初めてだ。ハルはつくねの前に膝(ひざ)をつくと、
「腕(うで)を伸(の)ばして。そう、手は足の上において。大丈夫(だいじょうぶ)よ、痛(いた)くはないし、そんなに時間はかからないわ。じゃ、目を閉じて、身体の力を抜(ぬ)いて――」
 ハルは両手(りょうて)をつくねの火傷(やけど)の場所にかざした。しばらくするとハルの手が白く輝(かがや)きを放(はな)ち始めた。その光は、つくねの全身(ぜんしん)を包み込んだ。つくねには何が起きているのか分からなかった。何か暖(あたた)かいものに優しく抱(だ)かれているような…。つくねは亡(な)き母の姿(すがた)が頭に浮(う)かんで、ひとすじ涙(なみだ)がこぼれた。
 ――つくねは意識(いしき)が薄(うす)れていく中で、誰(だれ)かが叫(さけ)んでいる声をかすかに聞いた。
〈助(たす)けて、ハル! あたし、引き込まれちゃう。手を貸(か)して――〉
<つぶやき>しずくに何か起きたのでしょうか? これからどんな展開(てんかい)を見せるのか…。
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