みけの物語カフェ ブログ版

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0453「ウソ発見器」

2019-02-04 18:36:19 | ブログ短編

 大学の研究室(けんきゅうしつ)。その一角(いっかく)に小部屋が作られていた。部屋の中には小さな机(つくえ)とイスが二つ置かれていて、部屋の中を外から覗(のぞ)けるように隠(かく)し窓(まど)が取り付けられている。小部屋の外で、いかにも威厳(いげん)のありそうな山根(やまね)教授がスポンサー達を前にして説明(せつめい)していた。
「この部屋全体がウソ発見器(はっけんき)になっています。被験者(ひけんしゃ)に気づかれずに本心(ほんしん)を暴(あば)くことが…」
 小部屋に男女の被験者が入って来た。二人はイスに座ると、あらかじめ用意(ようい)されている質問(しつもん)を始めた。すると、教授の前に置かれた装置(そうち)がピーピーと反応(はんのう)する。予定(よてい)されていた質問が終わると、男性が予定外の質問をした。「あなたは山根教授と不倫(ふりん)をしましたか?」
 女性は一瞬(いっしゅん)顔を引きつらせたが、「いいえ」と答える。すかさず装置がビービーと反応する。山根教授はスポンサー達の方を向いた。さらに質問が続く。
「あなたは山根教授から高価(こうか)なプレゼントをもらったことがありますか?」
 装置の音は鳴(な)り続けた。山根教授は顔を真っ赤にして、「これは何かの間違(まちが)いです。きっと、装置に不具合(ふぐあい)が…。これで実験(じっけん)は中止(ちゅうし)します。終わりです!」
 山根教授は近くにいた学生をつかまえて、「君、等々力(とどろき)君を呼(よ)びたまえ。今すぐにだ! あいつ、なに考えてんだ。こんな装置を作りやがって!」
 いつの間にか、学生達が山根教授を取り囲(かこ)んでいた。そして疑(うたが)いの目を向ける。
「何だ、お前ら。ワシに楯突(たてつ)くつもりか? そんなことしたら、等々力のように――」
<つぶやき>等々力教授の発明(はつめい)を盗(ぬす)むなんて。そんな恐(こわ)いこと、普通(ふつう)の人なら考えません。
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