みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0456「良いお嫁さん」

2019-02-07 19:07:51 | ブログ短編

 私は心にモヤモヤをかかえていた。近所(きんじょ)のおばさんからは、いつでもお嫁(よめ)さんに行けるねって言われ、職場(しょくば)でもお茶(ちゃ)を入れるたびに良いお嫁さんになれるよ――云々(うんぬん)。
 私はそんなことを言われるたびに、何で私には彼氏(かれし)ができないのよ、と心の中で呟(つぶや)くのだ。そりゃ確(たし)かに、私は美人(びじん)ってほどじゃない。それくらい分かってる。でも、どっちかっていうとブスじゃないわ。それにプロポーションだって、それなりに…。きっと、私の回りには見る目のない男ばっかりなのよ。
 私は職場の後輩(こうはい)の男子に聞いてみた。そいつは、いつも私のことをすごいとか、さすがとか言ってる奴(やつ)だ。彼はちょっと困(こま)った顔をして、
「そうですね、先輩(せんぱい)は素敵(すてき)だと思いますよ。誰(だれ)が見たって間違(まちが)いないです」
 私は、そういうお世辞(せじ)を聞きたいわけじゃないの。あなたの本心(ほんしん)を聞かせてよ。私は、そう心の中で念(ねん)じながら彼を見つめた。彼は、何かを感じたらしく、さらっと言い切った。
「僕(ぼく)は、年上(としうえ)はちょっとあれなんで。苦手(にがて)っていうか、ホラ、何か完全(かんぜん)に尻(しり)に敷(し)かれそうなんでパスなんですけど。でも、大丈夫(だいじょうぶ)ですよ。先輩ならきっと良い男、現れますって」
 私は、あなたとどうこうなんて考えてないわよ。そうじゃなくて――。私は聞く相手(あいて)を間違(まちが)えたと、今さらながら思い知った。
<つぶやき>人の言葉(ことば)にはいろんな思いが込められています。あまり考えすぎないでね。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 0455「しずく6~暴漢」 | トップ | 0457「嘘のない世界」 »

コメントを投稿

ブログ短編」カテゴリの最新記事