みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0132「見守りメール」

2018-01-03 18:43:33 | ブログ短編

 いつからだろう、知らない人からメールが届(とど)くようになったのは。でも、それは迷惑(めいわく)メールとかじゃなくて、いつも私を助(たす)けてくれたの。
 道(みち)に迷(まよ)ってしまった時には、分かりやすく道順(みちじゅん)を指示(しじ)してくれたり。友だちとランチする時も、近くにある隠(かく)れた名店(めいてん)を教えてくれた。他にも、友だちとはしゃぎすぎて終電(しゅうでん)の時間を忘(わす)れていると、ちゃんと時間を教えてくれて、早く帰るように注意(ちゅうい)してくれる。
 どうして私の行動(こうどう)が分かるのか? 最初(さいしょ)のうちは、とっても恐(こわ)かったわ。もしかして、ストーカーじゃないかって思った時もある。でもね、誰(だれ)かにつけられているとか、そんな気配(けはい)まったくなかったの。時々(ときどき)は、うるさいな、ほっといてって思う時もあったけど。いま思うと、私のために言ってくれたんだと思う。まるで、父親みたいな感(かん)じでね。
 私が結婚(けっこん)を決めた時から、そのメールは送られてこなくなった。今まで当たり前のように届いていたから、何だか寂(さび)しいというか…。変な話よね。だって、会ったこともない人なのよ。それなのに、その人は私の身近(みぢか)な人になっていた。私のこと、もう面倒臭(めんどくさ)いと思ったのかな? いつまでたっても、私って成長(せいちょう)しないから。だから、やめちゃったのかな。
 いや、違(ちが)うわ。そんな人じゃないと思う。きっと、私が新しい人生(じんせい)を踏(ふ)み出したから、もう心配(しんぱい)ないって思ってくれたんじゃないかな。そうだといいんだけど…。
〈今までありがとう〉私は、最初で最後の返信(へんしん)メールを送った。
<つぶやき>誰だったの? でも見守られていると安心(あんしん)できますよね。感謝(かんしゃ)を忘れないで。
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