みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1049「忘れてた」

2021-04-11 17:53:51 | ブログ短編

 僕(ぼく)はスケジュールの確認(かくにん)のため自分(じぶん)の手帳(てちょう)を見ていた。今日のところに、彼女の名前(なまえ)が…。僕は、思わず声をあげそうになった。今夜は、彼女と会う約束(やくそく)が――。僕は時計(とけい)を見た。すでに、約束の時間を三時間も過(す)ぎている。やばいやばいやばい…。僕は心の中で呟(つぶや)いた。最近(さいきん)、仕事(しごと)が忙(いそが)しくて残業(ざんぎょう)が続いていたから、完全(かんぜん)に忘(わす)れてしまっていた。
 僕は慌(あわ)てて、彼女に連絡(れんらく)しようとスマホを手に取った。そこで…、ふと思った。彼女から、メールも電話(でんわ)も、何の着信(ちゃくしん)もなかったのだ。――これは、どういうことだ? いつもなら、ちょっと遅(おく)れただけでも、バンバン着信が入ってくるのに…。
 まさか…、彼女も忘れてる? そんなことって、あるんだろうか? でも、あるかも…。彼女から何もいってこないのは、彼女も忘れているからなんじゃ…。これは、いいぞ。このままなかったことにしてしまえば、彼女から怒(おこ)られることもないはずだ。
 いや、ちょっと待(ま)て…。本当(ほんとう)にいいのか、それで…。このままにして――。まさか、彼女に何かあったのか…。事故(じこ)とか、病気(びょうき)とか…、それで連絡できないのかも――。
 僕は彼女に電話した。何度か呼(よ)び出し音(おん)があって、彼女が電話に出た。
「どうしたの? こんな時間に。まさか、明日のデート行けないとかじゃないわよね」
「あ、明日…? まさか、それはないよ。明日、どこ行く? 待ちきれないよ」
 僕は彼女としゃべりながら、安堵(あんど)していた。僕の…、書(か)き間違(まちが)いだったみたいだ。
<つぶやき>忙しいと、間違いがおきやすくなってしまいます。心に余裕(よゆう)を持ちましょう。
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