みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0015「ふくらむ疑惑」

2017-03-24 19:31:41 | ブログ短編

「ねえ、あなた」君江(きみえ)は背広(せびろ)のポケットに入っていた一枚のメモを見せて、「これはなに?」と微笑(ほほえ)んだ。
 隆(たかし)は遅(おそ)い夕食を食べながら、ちらっとメモを見て、「えっ、何それ?」
「あれ、とぼけるんだ。読んであげましょうか?」
 君江は夫(おっと)に疑(うたが)いの目をむけた。
 隆はきょとんとして、ふくれている妻(つま)を見た。君江はおもむろにメモを読み始める。
「今日は楽しかったわ。まさか、二人であんなことが出来るなんて、思ってもみなかったんですもの。また誘(さそ)って下さいね。待ってるわ。かおり」
 メモを読み終えた君江は、「さあ、ちゃんと説明(せつめい)して。かおりって誰(だれ)なの?」
「かおり? 知らないよ。知るわけないだろ」
「とぼけないでよ! かおりって人と、何をしたの!」
「何もしてないよ。ほんとだって」隆には身に覚えがないようだ。
「今日のことよ。忘れたなんて言わせないから。会社の人じゃないの? それとも…」
「あっ、思い出したよ。あの、このあいだ移動(いどう)で来た娘(こ)で…。それで、席(せき)が隣(となり)になって、いろいろ教えてあげたりとか…。ちょっと変わった娘(こ)で、天然(てんねん)っていうか…」
「それで、仲良(なかよ)くなったんだ。で、あんなことやこんなことして、楽しんだんだ…」
 二人の話し合いは、深夜(しんや)まで続いた。この結末(けつまつ)は、ご想像(そうぞう)におまかせします。
<つぶやき>些細(ささい)なことが、とんでもないことになるときも、あるのです。気をつけて。
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