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熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

発明の対価

2007-12-08 21:15:42 | Weblog
東芝の元社員が、東芝に対して、仮名漢字変換など日本語ワープロの基本となる発明の対価として、約2億6000万円の支払いを求める訴えを東京地裁に起こしたそうです。

職務発明の対価を巡る訴訟が最近多くなってきていますが、これは、青色発光ダイオード事件以降の発明者の権利意識の向上と、企業が従業員に支払っていた発明の対価があまりにも低額だったこと、が主な原因でしょうか。

私が企業に勤務していたときに、特許法35条改正に伴う職務発明規定の改訂を行いましたが、そのときに最も注意を払ったのが、訴訟を提起され難い規定、訴訟を提起されても負けない規定を作ることでした。

当時、大学院で勉強していましたので、知的財産権法の観点だけでなく、労働法の観点からも検討するために、労働法の教授に指導をお願いしました。

このブログではお話できませんが、知的財産権法の観点だけからの検討では不十分だったと痛感しています。

私も知財部門に異動する前は、研究者として発明創出・特許出願を行い、それなりに特許権を得ています。
発明者の観点から発明の価値を評価するのと、知財担当者の観点から発明の価値を評価するのとでは、その価値が大きく異なります。

私は、両者の立場を経験していますので、比較的客観的な評価ができると思っています。

今回の訴訟で、元社員は、発明の対価として約23万円を受け取っています。
この額が妥当な額か低額かは、一概には言えませんが、発明の内容が新聞報道通りだとすると、低額かもしれませんね。

職務発明の対価についての裁判もかなりの数になっていますので、そろそろ発明の対価についての妥当な算定方法が確立されても良い頃です。
今回の裁判で、先行判例となるような妥当な算定方法が判示されることを願っています。



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