長尾景虎 上杉奇兵隊記「草莽崛起」<彼を知り己を知れば百戦して殆うからず>

政治経済教育から文化マスメディアまでインテリジェンティズム日記

ヒカル 生き抜け!ファンタジックノベル・ブログ連載小説1

2012年12月19日 07時17分39秒 | 日記
小説

宇喜多ヒカル


                    ~オートマチック~


                   <HIKARU>
                     歌姫・宇喜多ヒカルが不思議な冒険へ!
                     今だからこそ、宇喜多ヒカル!
                    total-produced&presented& written by
                       washu  midorikawa
                        緑川  鷲羽



  永遠に女性なるものがわれらを引き上げていく
                 「ファウスト」ゲーテ

……この物語は、宇喜多ヒカル(ヒッキー)の冒険小説ですが、登場する人物、団体、名称、組織名などすべて架空のフィクションです。ご了承ください。……


  宇喜多ヒカルは十七歳。
 実力派のシンガーソングライターの歌姫である。けっこう売れている。そんなヒッキーが不思議な世界へ迷い込んだからさぁ大変。空飛ぶ少年マイケル、ハデス王、ポセイドン、陰謀家・ロペス大佐…。ヒカルはなんとかこの世界から抜け出そうと活躍する。その日から、ヒッキーの人生を大きく変える奇妙な旅がはじまった。愛と感動のヒューマン・ワンダーティル・ファンタジー。






        ヒカル 梗概(あらすじ)

  宇喜多ヒカルは十七歳。
  実力派のシンガーソングライターの歌姫である。けっこう売れている。そんなヒッキー(ヒカルのあだ名)はNYでレコーデングをしている。歌はうまい。曲も詩も書ける。英語だってバッチリだ。ヒカルは才媛であり美少女だ。
 まぁ、歌はうまい。曲も詩も書ける。英語だってバッチリの”才媛”だ。ヒッキー(以下H)はNYには両親ときていた。父親は宇喜多秀康、母は元・演歌歌手の藤つぐみである。Hは両親の車で移動中、骨董屋に目をとめ、車をとめてひとりではいる。そこで、Hは不思議な赤色のペンダントを購入、そんなやさき交通事故にあう。Hと両親は不思議な霊界へと旅立つ。やがて、Hは両親とはなればなれになり彷徨う。どれくらい過ぎた頃だろう? 空からピーターパンのように飛んできた少年が「そなたなぜここにいる? 早く戻れ!」という。両親もHも、本当は死ぬはずではなかった……というのだ。Hの両親は魔力でニワトリにされていた。Hは恐怖で泣き叫び、崖から落ちる。それを救う少年、と、Hの首からさげていた例のペンダントから閃光が放たれる。少年は、それは魔法の伝説の首飾りで、もうひとつの首飾りをあわせれば願いがなんでもひとつだけ叶うのだ、という。それがあれば人間界に戻れる……! とにかく、この国の独裁者・ハデスは”伝説の首飾りをもつ人物”の存在に気づく。少年はHに通行札を渡し、反乱軍の将軍・バティステュータ(以下、B)のところへ幽霊列車で逃がす。HはBの支配するヘロス地区へ。そこで、Hはテディ爺さんのところへ転がり込む。だが、やがてBにバレて、伝説の軍師、としてHは迎えいれられる。もちろん、Hはそんなのではないので、狼狽する。しかし、少年らが嘘をつき、Hは、偽者の”軍師”、となる。H、Bの同盟軍のポセイドンの元へ渋々向かうと、ハデス軍の大佐・ロペスがポセイドンを暗殺する。とうとうB+ポセイドン残党軍vsハデス軍の全面戦争へ。Hは逃げ惑う。しかし、B+ポセイドン残党軍がHの軍略
(三国志で読んだものの猿真似)で勝利。最後に、天敵・ロペスをやぶり、ふたつのペンダントを手にいれて、Hと両親は元の人間の世界へと帰還する。両親は何も覚えいない。気づいたらそこは病院だった。ひとまわり成長したH。冒険の終り? ……いや、これから始まるのだ!

                          「ヒカル」あらすじ おわり






         ヒカル(ヒッキー)




  なんの問題もなかった。
 レコーディングは順風満帆だったし、何の危険もなかった。危険はゼロだ! 危険ゼロ! ニューヨークでのレコーディングは宇喜多ヒカルにとっては初めてではなかったし、何の支障もなかった。ヒッキー(ヒカルのあだ名)はなんといっても英語ペラペラだ。問題なんておこるはずないではないか。そう、危険はゼロだ! 危険ゼロ。
 ヒカルにとって、この仕事は非常に甘い仕事であり、危険などまったく感じなかった。なんといっても、音楽は心を安らがせてくれるし、大金になるとなればなおさらだ。ヒッキーは、作詞、作曲、編曲…なんでもござれだ。馬鹿のアイドルたちのようにすべて”他人まかせ”ではない。自分で立つ人間なのだ。作詞、作曲、編曲、それこそヒッキーのもっとも得意としている分野であり、得意な才能である。
 宇喜多ヒカルは十七歳。実力派のシンガーソングライターの歌姫である。けっこう売れている。そんなヒッキー(ヒカルのあだ名)はNYで二毎目のアルバムのレコーデングをしている。ファースト・シングル『オートマチックス』は100万枚売れた。ヒカルは印税で金持ちになった。歌はうまい。曲も詩も書ける。英語だってバッチリだ。ヒカルは才 媛であった。しかも美人だ。黒く長い髪、透明に近い白い肌、ひとえの大きな、大きな瞳にはびっしりと長いまつ毛がはえていて、伏し目にすると淡い影を落とす。手足は華奢で細くて、、美少女である。服はシャツにスカートだ。 まぁ、歌はうまい。曲も詩も書ける。英語だってバッチリの”才媛”だ。ヒッキーはNYには両親ときていた。父親は宇喜多秀康、母は元・演歌歌手の藤つぐみである。
 ヒッキーは一九八五年九月二十三日、NYで生まれた。
 そして、十何才まで過ごしたのである。当然、英語はネイティヴと同じようなきれいな発音の英語を話す。だが、だからといってヒッキーは日本語や漢字がまるでダメ…などということもない。よく外国かぶれの日本人が、「アメリカに永く住んでたからもう味噌汁なんて飲めないよ」などというらしいが、彼女はそんなことはまるっきりない。寝るときもベットでなく蒲団だし、食べるのは日本食だ。納豆も食べる。梅干しもオーケーだ。
 ヒッキーは米国社会の”日本人”なのだ。
 彼女は、来年、コロンビア大学にいくことになっている。音楽だけでなく、勉学も出来た訳だ。まさに”才媛”。二毎目のアルバムのレコーデングをしているレコーディング・スタジオはニューヨークの五番街の近くにあって、とても清潔そうな高級レコーディング・スタジオという感じだ。治安の悪いアメリカにしては防犯的で、コンクリートつくりの壁や鉄骨むきだしもなかなか様になっている。レコーディング用の機器もそろっていて、スタッフも一流だ。父親の宇喜多秀康は”音楽プロデューサー”でもある。
 なにかと娘に指示していて、いかにもうるさい。秀康はがっちりとした体格の中年男で、短い髪に髭面、濃いサングラスをかけている。割腹はいい。彼は、日本時代、昔、バンドをやっていたという。そして、演歌歌手の藤つぐみのバック・バンドをした。それが縁で、ふたりは結婚し、NYへと渡ったのである。
 ヒッキーたちの自宅はNYの外れにある。ヒッキーはアメリカで育ったため、ひどく自己主張の強い、我儘な娘になった。前に出る娘なのである。
 アルバム収録局の作詞作曲も、ヒッキーがおこなっていた。後は、プロの一流ミュージシャンをよんでドカスカやるだけだ。
 彼女には自信があった。何せ、創作が得意分野なのだ。趣味で”マンガ絵”も描く。しかも、今回のレコーディングは得意中の得意であった。母の藤つぐみは「今回のレコーディングはドブ鼠の匂いがする」といった。しかし、どぶ鼠どころか、虎や狼でさえいなかった。今回はもっとも甘い仕事であり、危険はゼロだ! 危険ゼロ! それがヒッキーが自分自身にいいきかせている言葉だった。危険はゼロだ! 何も問題なんてあるはずもない。ゼロだ! ゼロ!
 母の藤つぐみは秀康のどこが気にいったのか知らないが、とにかく彼女は美貌であった。もうオバさんではあるが、とにかく綺麗だった。元・演歌歌手。演歌。歌手。
 つぐみは「大阪の女やねん」「つぐみの夢は夜ひらく」などといったヒット曲をもつ。彼女の人気が下火になったとき、宇喜多秀康が入り込んできたのである。それは、無防備なところに入り込んでくる、強烈な一撃であった。下世話なことだが、ヒカルができたのも”一撃”であったという。一撃で突き、発射し、受精し、できた。
 レコーディングは順調だった。それにしてもこんなにおいしい取引なのに、なぜヒカルの目の前でバラバラになってしまうのだろう。耳元で粉々になってしまうのだろう。
 しかし、ヒカルは上機嫌であった。曲もいい出来にしあがってるし、また何百万枚か売れれば、また何十億とかせげる。しかも、その金はうしろめたいものでもない。誰かから奪ったり、騙しとった訳でもない。音楽は芸術である。芸術で儲かるならそれほどいいものはない。「オーケー! ジャスト・ドゥ・イット!」
 ヒッキーは笑顔で、手を挙げた。そして、指をくるくる回してみた。首尾は上々だった。とにかく、調子がいい。マニピュレーターのジョージもにこにこしていた。
 ジョージは今まで器材に向かっていたのだが、このとき初めてヒッキーをみた。ヒッキーは上機嫌で、今にも狂わんばかりの笑顔だった。ヒッキーの端整な顔に笑みが広がった。れは少女っぽいと同時に大人っぽくもある。魅力的な、説得力のある微笑だった。
「グラミー賞でも取るつもりかい? お嬢ちゃん」ジョージは皮肉をこめて言った。
「いいえ。とるのは、サッカーのワールドカップよ!」
 ヒッキーはジョークをかました。そして、またも笑った。とにかく笑いの渦にまきこもう。そうすればすべてうまくいく……。ヒッキーはそう思っていた。
 上々。首尾は完璧。何も問題もおきない。レコーディングは順調だったし、スタッフとの息もぴったり。何も不都合などなかった。これはヒカルがやってきた中で、もっとも甘い仕事であり、自信があった。「オーケー! オーケー!」ヒッキーは椅子に腰掛けて、大笑いした。とにかくハッピーだった。オーケー! オーケー! オーケー! ヒッキーは首をまわし、指をまわし、二番目の笑顔、つまり魅力的な笑顔を顔につくった。
「よし、こんなもんっしょ! 今日はここまで!」
 ヒッキーは恍惚のままいった。
 レコーディング第一日目は順風満帆に終了した。もう、辺りは夕日のセピア色であった。ヒッキーは父親・宇喜多秀康の運転する真っ黒なリムジンに乗り込んだ。収録は順風。まるで問題なし。彼女は気分がよかった。目の前が明るくなるような思いでもあった。
 母・つぐみは「おつかれさん」といって、烏龍茶を差し出した。「サンクス・マミー」 やがて、リムジンはゆっくりと動きだした。そんなに道は混んではいない。
 宇喜多ヒカルことヒッキーは、気分上々。鼻歌まで飛びだす始末だった。
 ♪エニウェイ・トウギャザー…♪
「あれ?」突然、ヒッキーは目をみはり、すっとんきゅうな声をあげた。母は「どうしたの? ヒカル」と訝しげにきいた。父は煙草をふかしたまま運転中だ。
「あれ……っ」ヒッキーはいった。「あんなところに骨董屋なんて、あったっけ?」
「…知らないわよ。もう。骨董屋なんてあんたに関係ない店でしょ?」
 母は横顔のままいった。だが、ヒッキーの興味は”その店”に集中していた。どうしてもその店のことが気にかかった。どうしても入店してみたくなった。なぜだか興奮し、体中が火照り、喉が渇く思いだった。「パパ! パパ!」
「なんだ?」父親・宇喜多秀康はおっとり続けた。「なにかあったか? ヒカル」
「あれよ、あれ! あの骨董屋! あんなところに店があった?」
「知らないよ」秀康は呆れた声をだした。
「とにかく! とめて! 車をとめて!」ヒッキーはいった。抑圧のある声だった。
 車がとまると、ヒッキーは後部座席から扉をあけ、飛び出した。駿風のように。「ヒカル! 財布は?!」母・つぐみはいった。「お金ないと何も買えないわよ!」
 ヒッキーはUターンして財布を手にすると、骨董屋に走った。ヒッキーの中の”何か”が”第六感”が、この店に入れ、と告げていた。頭の中がぐるぐる回るような気がした。 その骨董屋は、非常に古風な中国風の建物で、何やら中国語か韓国語かわからないが看板がたってあり、朱色の門と柱が印象的でもあり不思議な印象も与えた。うすきみ悪い店。どことなく蔦のはいまわっているような。幽霊屋敷のような。とにかく、興味深いたたずまいである。「わぁ~お! イッツ・ア・ワンダーショップ」
 ヒカルはいった。
 そして、彼女はひと気のない店の中へと茫然とした表情のまま進んだ。本当に、不思議な店だった。骨董品が並んでいる。中国の壺とか、日本の伊万里、象牙、ヤックルの首、豹皮、さまざまな瓶…。ヒッキーはそれらを茫然と眺めていた。
 彼女は、あまりの異様というか不思議な雰囲気に、唖然とするしかなかった。息もできないほど唖然としていた。こんな店は、生まれて初めてだった。
「何をお探しかえ?」
 急にしゃがれた声がした。見ると、そこには玉葱ヘアーの白髪の婆さんがいた。厚化粧で、背も低く(といってもカウンターの席に座っている)、まるで”占い師”のようだ。 水晶球も側に置いてある。にやりと不敵に笑う婆は、不気味だった。
「いえ。……お婆さん。あのぉ」ヒッキーは口ごもった。まさか、ひやかしとはいえない。「ここには何でもあるぞえ」婆はにやりと笑った。そして続けた。「安くしとくよ」
 ヒッキーは、婆の席にあった写真に目をとめた。「この赤ちゃん、誰ですか?」優しい、親しみのこもった声で、笑顔をつくって、きいた。
「この子かえ?……この子は、あたしの息子だよ」
「へえ~っ。息子さん」ヒッキーはとにかく笑顔でいこうと思った。優しく。笑顔で。とにかく、今はこの線でいかねば。「可愛いですね」にこりとした。
「ありがと」婆はにこやかにいった。しかし、その笑顔も一瞬で、婆は寂しい顔をした。「……この子とはもう何十年もあってないんだよ」
 ヒッキーは、絶望の表情の婆に、返すことばもなかった。こんなとき、なんといえばいいのだろう? 婆は続けた。「……もう何十年も行方不明でねぇ」
「け…警察には?」ヒッキーはやっと言葉を発した。うわずった変な声になった。
「届けたよ。でも、みつからないんだよ」
「でも……きっとみつかりますよ! 元気で帰ってきますよ。絶対!」
「ほほほ、あんたはいい娘だねぇ」
 婆は感心していった。
「いいえ、それほどでも…」ヒカルは馬鹿な返事をした。
 婆は「気にいった! これをやろうじゃないの」といって、ケースから赤色のペンダントを取りだした。ヒッキーの前に差し出す。それは、不思議な紋様のある大きな宝石のようなペンダントであった。きれいにピカピカで、なんとも古風でもある。紋様が興味深かかった。「これを、あげるよ」
 ヒカルは婆に「でも……こんな高価なものタダって訳には…」と口ごもった。
 金ならある。婆は少し怪訝な顔をした。ヒッキーはいった。「ただでもらう訳にはいかないです。買います。いくらですか?」
「ただでもいいんだが………まぁ、お前さんが買うっていうなら」婆は続けた。「十ドルでいいよ」
 安っ。ヒカルは心の中で笑った。百ドルくらいなら自分も迷ったろう。だが、十ドルなら話しははやい。安いし、ペンダントもきれいでもある。これ欲しい! ってほどのものでもないが、このままひやかしで帰るのも失礼かも知れない。
「オーケー! それちょうだいするわ」ヒカルは笑った。
  こうして、ヒッキーはペンダントを購入し、首にさげ、車にもどった。
「なに買ったんだ?」父親・宇喜多秀康はおっとり続けた。「なにか買ったのか? ヒカル」「これ! ペンダント! きれいでしょ?」
「知らないよ」秀康は呆れた声をだした。母・藤つぐみも笑った。
「とにかく! はやく帰りましょ! アイム・ハングリーよ」ヒッキーはいった。抑圧のある声だった。腹が減った。腹が減っては戦はできぬ。ってところだ。
 だが、不幸がおこる。
 彼女たちの乗った車がスリップし、対向車線のトラックにつっこんだのだ。ヒッキーは戦慄で目をつぶった。が、そのあとのことはまったく分からなくなった。事故。交通事故。辺りはすごい轟音と衝撃でパニックになった。
 だが、次の瞬間、ヒッキーと両親は白っぽい草原を歩いていた。なぜ、歩いているのかも分からなかった。でも、両親はひと気のない草原を黙々とあるいていた。
 なんとも不思議な草原だった。
 ヤマガラスが羽音をたてて飛び、群なす小鳥たちが草原の上を勢いよく飛び交っていた。ミヤマガラスは、灰色の曇天に現れては、カアカア鳴きながら空に向かって飛んでいった。 両親とはぐれて、ヒッキーはあてもなく彷徨った。
 彼女は避難所を求めて木陰に急いだ。と、そのとき、頭上に響いた声が下りてきて、彼女を包みこんだ。木々の幹は巨大な響きの輪を広げた。無数の木々は大きくて、濡れて黒い模様がつき、まるでオバケのようでもあった。頭上の響きと足元のゆるい感じで、ヒッキーはいい知れない恐怖を感じてもいた。
 命令されたように静まりかえった森にはいると、幹たちが自分に襲いかかってくるのではないか? という気がした。彼女は、地獄絵図を連想した。裸で血の海に投げ出されたような感覚に、ヒッキーは小刻みに震えた。今や自分だけが実在なのだ。他はすべて忘却の彼方にあった。「パパーっ! マミーっ!」彼女は左右に顔をふり、大声で両親を呼んだが、返事はない。「アイ・ドント・ノウ・ホウイ?」
 ヒッキーは呟いた。…いったいどうなってるのよ? もうっ。彼女は混乱で頭痛がする思いだった。両親はいない。どこにも姿がみえない。ここは……何処? 何処なのよ?
 と、そのとき、頭上に響いた声が下りてきて、彼女を包みこんだ。いや、空から眉目な少年が、中世欧州のような服をきた少年が空からまるでピーターパンのように飛んできた。「そなた、なぜここにいる?! …はやく元いたところに戻れ! もうすぐ陽もくれる。いそげ!」少年はふわりと地上に舞い下りていった。
「え? なに?!」驚いて、わめいた。
「いいから、いくんだ! さぁ、走れ!」少年は真顔で叫んだ。狼狽のヒカルは、とにかく駆け出した。                                 


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