「青い鳥」重松清
本好きの友達から「本を読んでこんなに泣いたのは久しぶり」と言われて図書館予約。
ネットで「青い鳥 重松清」と検索すると、
村内先生は、国語の先生なのに吃音(どもり)でうまくしゃべれない。
でも、先生は、授業よりも大切なことを教えてくれる。
ひとりぼっちの生徒の心に、そっと寄り添ってくれる……
というような紹介文がたくさん見られます。
非常勤講師である村内先生と、心に傷を持った生徒との、8つの物語で構成されており、
最初の「ハンカチ」を読んでまず大泣き。
これ、あと7つずっとこの調子で泣きっぱなしかぁ、大丈夫か私?と思いつつ読み進め、
途中から「こ、この先生は……(@_@;)」と、畏怖の念が生まれて涙も乾きました。
ただ「あまりしゃべれなくて、ただ寄り添ってくれる不器用な先生」っていうんじゃなくて、
生徒の気持ちや状況を「すべてお見通し」なんだもの! もう、神の域。人間離れしてます。
「ハンカチ」を読んだとき、
「この本、中学校の入学式で全生徒に配布すればいいのに」って思ったけど、
読んでいくうちに、この本を読むべきなのは子供じゃなくて先生や親なんだなと。
中学生の本音があまりにもリアルで。
重松清さんってオッサンなのに、どうして10代の女の子の気持ちが
こんなによくわかるんだろう……。
娘さんがいらっしゃるのは知ってるけど「娘がいるからわかる」んだとしたら
なおさらすごいと思う。思春期の娘の心がこんなに理解できるお父さんなんて。
でも、こんな先生、ファンタジーだなとも思うんですよ。
村内先生の魅力というか実力というか、短期間で彼のすごさに気づく生徒は希少だと思うし、
先生や保護者から「実はすごい先生」と高く評価されてるっぽい文面がたまに見受けられるんだけど、
現実世界では、村内先生みたいな人って社会でなかなか認めてもらいにくいんじゃないかと思う。
あと、村内先生がカウンセラーではなく「国語の先生」というところもネック。
「進路は北へ」というお話で、成績のいい女子生徒が
「村内先生の授業は何を言ってるかわからなくて困る。受験にもひびく」というような抗議をして
それがとっても「イヤな女の子」みたいに描かれてるんだけど、実際困るよなぁ。
「授業よりも大切なこと」って、そりゃあるけど、受験生にとってはまず授業が一番大切なんだし。
ラストの「カッコウの卵」は、現役中学生ではなく、昔村内先生にお世話になった生徒の物語で、
最初から「こうなるんだろうな」って予想できた展開そのままそうなったのに、
やっぱり感動して泣いてしまいました。重松節にやられた!
でも、村内先生は、教え子に連絡先を明かさないのね。それが悲しかった。
だって、恩師には、この先も、自分がこんなに成長したよっていうのを見てもらいたいじゃん?
それが絶たれてしまうのはさびしいなあ。
村内先生に年賀状を書く女の子の話もあったので在籍中は教えてくれるみたいだけど
非常勤講師でいろんな町を渡り歩いてるっぽい感じなので、そのたびに引っ越してるんでしょうか?
村内先生のプライベートはおそろしく謎なので、そのへんもやっぱり人間離れしてるなー。
なんだかんだ書きましたが、とてもいい本だと思います。
出会えてよかった。
「ミッキーマウスの憂鬱」松岡圭祐
ディズニーランドに行った4日後、書店で立ち読み。
プロローグが面白くて、おおっ、これはTDLの余韻が残っているうちに読みたい!
と、図書館で予約せずに珍しく購入しました。
が、読んでがっくり……
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_z.gif)
プロローグではスーパーバイザーの早瀬実が主人公のように描かれていて
彼の人物像にはとても興味がわいたし、こういう立場からみたTDLも知りたかったのに、
本編が始まったら突然、新人の後藤大輔が主人公になってしまった。
うわー、なんか騙されたよ。
この後藤大輔というのが、まあ、読んでも読んでも好きになれないキャラ。
他の設定も、新人に対して職場があまりにも不親切だったり、
大げさな試験やるわりには研修はないわけ?っていうのがすごく気になった。
途中から「事件」が起こるわけなんだけど、その展開もオチも、ううーん。
最初のまま、早瀬実をメインにした話にすればよかったのに。
買ってしまったのでもったいないから最後まで読んだけど、損したなぁって気分。
やっぱり、待っても図書館予約にしよ。
「なみのひとなみのいとなみ」宮田珠己
…ってことがあったのに、また衝動買いしてしまった。学習しない私。
この本はエッセイ集なんだけど、本屋でタイトルにひかれてぱらっと立ち読みした
「おつかいナプキン」という章が、おもしろくておもしろくて、
「こ、こんなに面白い人を今まで知らなかったなんて!!」とそのままレジに直行。
44編のエッセイがつまっていて、残り43章にすっごく期待しちゃったんだが、
結論として「おつかいナプキン」が飛びぬけて面白かったわけなのでした。
でも、他の章も楽しかったし、これは買ってよかった。
ファンの間では、宮田さんのことを「タマキング」、ファンのことを「タマキンガー」というそうで、
私もタマキンガーの一員になりました。
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