みちくさ茶屋

いらっしゃいませ。どうぞごゆるりと。

読書記録2006-19

2006-08-08 | book
43「漢方小説」中島たい子 充実度★★★★☆
今はもうだいぶ元気になったので言えるのだが、去年の私は一年を通して
ずっと体調が悪くて、いろいろな病院をはしごして、いくら検査しても「異常はありません」と
言われ続け、なのに健康診断ではひっかかって精密検査しろとか言われ、
薬を飲めば副作用が出まくり、これといった原因がはっきりしないまま、ほんとうにつらかった。
だから、この小説の主人公とそういう状況が重なって、すごく感情移入して読んだ。
30代に突入してからがたがたっと体調を崩したという女性の話は、そりゃあもうたくさん聞く。
ホルモンのバランスが崩れたり、体が変化する時期なのに加え、
やっぱり女の30代って、いろいろと決めなくちゃいけないことがあったり
抑圧されていたり、疲労をまぬがれない状況にあったり……ということなのかなあ。
この小説では、主人公が、私と同じように病院を転々として、漢方診療所に行き着く。
医師に淡い恋心を抱くあたりはなんとなく共感しづらかったが、
全体的にエッセイのような呼吸でテンポがいい。
どこまでが実体験かわからないけど、悩める30代女性にとって役立つ本だと思う。
東洋医学って、理論的でとても納得できる世界だった。
私も去年こんな病院に出会えてたらよかったな。
ラストの数行、じんわりきた。読後感がさわやかでよかった。

44「しょっぱいドライブ」大道珠貴 充実度★☆☆☆☆
つまらないっていうんじゃないけど、いやな気持ちになる小説だった。
主人公の女性の、人生に対するやる気のなさ、デート相手の初老の男性に
対する失礼なものの考え方、その男性の、いい人すぎてゆるい感じにさえ
不愉快な気分になった。登場人物もみんなやな感じで魅力がない。
でも、もし作者がそれを意図して(つまり、こういうしょうがない人々を
リアルに描きたいと思って)書いたのだとしたら、ものすごく優れた作品なのかも。

45「行きずりの街」志水辰夫 充実度★★☆☆☆
志水辰夫氏のことを、ファンの間ではシミタツっていうそうですね。
初めて読んだけど、「これがハードボイルド小説というやつか!」と思った。
謎めいた事件があり、悪の組織と闘ったり、弱い者を守ったり、
死にそうになったりしながら、事件解決。そしてラストは美しい女性とハッピーエンド。
これって、「仮面ライダー」とか「○○レンジャー」といったたぐいの、
戦闘モノの展開そのものなんですね~。
少女漫画と昼ドラの共通点が多いのと一緒なのかな。
お仕事で読む最後の作品でした。