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ジャン・ヴィゴ監督『アタラント号』その2

2020-12-30 07:18:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。

 上陸してラスプーチンと歩く親爺と少年。
 首回りを洗うジャン。頭を押さえてふざける花嫁。「水の中で目を閉じるの?」「当然だろ? 何を言い出すんだ。何かあるのか?」「“何かあるのか”って本当に知らないの? 好きな人が見えるのよ」「冗談だろ?」「本当よ。小さい時何度も見たもの。去年はあんたを見たわ。うちに初めて会いに来た日だった」「ほんと?」。バケツに首を突っ込む。「見えない。待って」。ボートへ飛び降りる。「ジャン、やめて」。川に首を突っ込む。「顔を上げて。バカやらないでよ」「見えない!」「ジャン、ジャン」「見えた。君が見えたぞ。見えたぞ」。花嫁を追いかけるジャン。
 親爺と少年、大きな荷物を運んでくる。
 新郎新婦は背中合わせて腕を組み、ジッタンパッタンする。親爺「レスリングかね? グレコローマン・スタイルを見ろ。ポンスとラウルの構えだ。フランソワのタックル。次は寝技。次は腕固め。それからブリッジだ。(二人、こそこそと逃げ出す。)次はアルパン流に頭を回し、ブリッジの体勢へ。最後はフォールだ。どうだ? いないな。なんて奴だ」。
「おバカさん」「君を見たかった」「見れば?」「水の中でさ」「信じないのね。でも本当よ。まじめにやればいつか見えるわ。これで拭いて。温まるわよ」。抱きしめるジャン。
 花嫁「ジャン、まだ寝ないの?」。舵を取るジャン。油を差す親爺。「ジャン、もう朝の5時よ。休みましょ。雨も降ってる」ジャン「俺の責任か?」親爺「花嫁に悪いよ。掛け布団だけじゃね。もういいから寝るこった。おも舵少々、とり舵少々」。(中略)
 ジャン「退屈かい?」「別に」。胸囲を測る花嫁。ジャン「今度出港したら、あちこち見られる」「岸ばかり…ねえ、もうすぐ着く?」「どこに?」「さあ、どこでもいいの。大きな街ならどこでも」。ラジオ「こちらパリ」。「ジャン、パリよ」「そうさ、驚いた?」「遠いの?」「無線は距離に関係ないんだ。(中略)」。「こちらはパリ。最新情報をお伝えします。オスマン通りで開かれているバーゲンでは…」「またうまい話か」
ジャン、ダイヤルを回し音楽。「パリに戻して」(中略)ジャン、ベッドへ。花嫁、ラジオを付ける。「今年の夜会服は赤のラメやサテンが流行、帽子はベレーを色っぽく左側に傾ける。こちらはパリ」。
 鐘の音。「親爺さん、錨を降ろせ」。もや。警笛。「他船に気をつけろ」。鐘を鳴らすジャン。「灯火の用意を」「女房を探してくる」。親爺、他の船の男に「この前、わしらと喧嘩した奴だな」「そうだよ。だがすごい霧だな」「ああ、落ちるなよ」。
「ジュリエット! ジュリエット!」。
 少年に「奥さんはどこにいる?」手前にネコが現われる。「ジュリエット!」。花嫁は船主に座っているところを発見される。「なぜ返事しない?」。キス。抱き合いながら移動。親爺「どうした?」ジャン「別に」「別に?」「構うな」「構うな?」「働いてろ」「我慢するにも“ほど”があるんだ。“働け”だ? “エンジンを磨け”だ? 一日中キスするか? ケンカしおって! もうわしは逃げ出すぞ。うんざりだ。降りる」。
 親爺、ネコに「かわいい子だ。子ネコちゃんや」。
 ジャン「怒ったかな?」「大丈夫よ」「でもいない」「いなくならない訳ないわ。心配しないで。すぐ来るわよ」。親爺、ネコたちと現れる。「食事の時間に遅刻だぞ」。テーブルの上を歩くネコに親爺「こら、人様のうちだぞ」。寄り添いほほ笑む二人。「ふくれっ面するなよ。もうすぐ霧も晴れる。遅れた分、急ごう。親父さんは食べてな。行くぞ」「ぼく?」「そうだ」。
 親爺「何してんだ?」花嫁「ミシンよ」「ミシン? ミシンか」「ミシン見たことないの?」「見たことないだと? いいかい、少し詰めてくれ」と言って椅子に座る。ミシンを操る親爺。「上手じゃない」「そうさ。うまいだろ? この手はいろんなことをやってるぞ。ある時はシャンハイでこうやって」。花嫁の首を絞める親爺。「ほら、バカはやめて」。親爺、倒される。「大げさだな。(中略)」「手加減しないんだもの。スカートを当てて」「スカートを当てて?」「マネキンの代わりよ。すそを見るの」(中略)「はけないぞ。どう着るんだ?」「ボタンを留めるのよ。お腹を引っ込めなさい。華奢な体ね」「あんまり、からかわんで」「いい? まっすぐ立って。ちゃんと当てて」「こうか? 冗談みたいだろ」。歌い出す親爺。「静かにしなきゃ刺すわよ。黒人になったつもり?」「黒人? それ以外も知ってるぞ。ヨコハマ、メルボルン、シャンハイ、パペーテ、サンフランシスコ、1903年、ドロシー…、シンガポール、サン・セバスチャン」。スカートで闘牛のマネをする親爺。「スカートが破けるわ」。スカートを取り戻す。

(また明日へ続きます……)

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