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オットー・プレミンジャー監督『バニー・レークは行方不明』

2009-11-20 18:24:00 | ノンジャンル
 WOWOWで、オット-・プレミンジャー製作・監督の'65年作品「バニー・レークは行方不明」を見ました。
 アメリカからイギリスに引越して来たスティーヴンとアニー(キャロル・リンレー)の兄妹。アニーの娘バニーを保育園に預けますが、引き取りにくると誰も彼女を見ていないと言います。二人は自ら保育園の内部を調べますが見つからず、警察に通報し、ニューハウス警視(ローレンス・オリヴィエ)がやってきます。彼はバニーを目撃した人が誰もいないことから、バニーがアニーの妄想の産物と考え始めますが、アニーはバニーの人形を修理するために店に預けていることを思い出し、店に引き取りにいきます。ところがそこへ駆けつけたスティーヴンは人形に火をつけ、アニーを殴打して気絶させ病院に入院させます。気がついたアニーが病院を抜け出し自宅に戻ると、アニーの持ち物を暖炉で燃やし車のトランクにバニーを隠していたスティーヴンの姿を見つけます。バニーを殺そうとするスティーヴンをアニーは遊びに誘って気をそらし、バニーに対する嫉妬をやわらげようとしますが、やがてスティーヴンの嘘に気付いたニューハウス警視が駆けつけ、スティーヴンは逮捕されるのでした。
 50年代から60年代にかけてはやった、いわゆるニューロティック映画(異常心理を扱った映画)の一本ですが、あまり魅力的な映画ではありませんでした。一番の見物はソール・バスによるタイトルで、黒い紙をビリビリと破くと、その下にタイトルが見えて来るというデザインは秀逸でした。いつかソール・.バスの映画タイトルの総特集のようなものが見たいと思います。ということで、タイトルは一見の価値ありです。

小松左京『地には平和を』

2009-11-19 13:43:00 | ノンジャンル
 小松左京さんが'53年から'61年にかけて書いた短編を集めた「地には平和を」を読みました。
 「慈悲」は、強姦され病気を移された少女に将来の姿を語り自殺させる老人の話。
 「最初の悔恨」は、戦時下おにぎりの誘惑に負けて自分の好きな少女に別の男子の恋文を届ける話。
 「溶け行くもの」は、自殺しようとした友人を三人が説得しようとするが、結局その男が急病で死んでしまう話。
 「失敗」は、大学に見切りをつけ物書きを志した私と恋人との話を書いた私小説。
 「地には平和を」は、未来の科学者が歴史を操作し、太平洋戦争の終戦が遅れ本土決戦になった状況を1人の少年兵の視点から描いた話です。

 「慈悲」から「失敗」までは意識の流れを描いた純文学で、途中から流し読みしてしまいました。「地に平和を」だけはストーリーがしっかりした活劇で読みごたえがありました。「日本アパッチ族」のような面白い小説を書いていた左京さんも初期にはこんな小説も書いていたという発見ができる本ではあります。そういった意味ではオススメです。

ジョセフ・ロージー監督『大いなる夜』

2009-11-18 15:52:00 | ノンジャンル
 WOWOWで、ジョセフ・ロージー監督の'51年作品「大いなる夜」を見ました。
 17才のジョージは意気地なしです。ある日、酒場を経営する父の元に新聞のコラムニストのジャッジがやってきて、ジョージの目の前で父を上半身裸にさせて四つん這いにさせ、杖で叩きのめします。ふがいない父の復讐を誓ってジョージは拳銃を持って夜の町に出ます。父と行くはずだったボクシングの試合に行くと、そこでジャッジを見かけ、知合ったクーパー博士の助けで記者の控え室に入り込みますが、うまく逃げられてしまいます。ジョージは博士にナイトクラブに付き合わされ、酔って博士の情婦の家に連れて来られます。目覚めると情婦の妹のマリオンがいて、二人は恋に落ちますが、マリオンの言うことを聞かずにジャッジの新聞社へ向かいます。そこで彼の居所を聞きますが、着いたところは父の恋人フランシスの部屋でした。ジャッジはフランシスが彼の妹であり、ジョージの父に結婚を断られたため自殺し、その復讐のために父を杖で殴ったのだと言います。ジョージは拳銃をジャッジに渡して帰ろうとしますが、正当防衛としてジョージを撃とうとしたジャッジともみ合いになり、ジャッジを撃ってしまいます。逃げ出したジョージはマリオンに助けを求めますが博士に追い出され、自分の部屋に帰ると父がジョージの身代わりとなって駆けつけた警察に逮捕されます。自分が殺したのだというジョージに警察はジャッジは軽いケガをしただけだと言い、父はジョージの母はまだ生きているのでフランシスとは結婚できなかったのだと言い、母は男と昔駆落ちしたことを告げるのでした。
 鏡が効果的に使われています。ジャッジをジョージが捜しまわるというだけの話であり、マリオンと恋に落ちるところも説得力に欠け、鬱陶しく暗い映画でした。50年代の雰囲気を味わいたい方にはオススメかも。

蓮實重彦『ゴダール マネ フーコー』

2009-11-17 18:17:00 | ノンジャンル
 蓮實重彦先生の'08年作品「ゴダール マネ フーコー 思考と感性とをめぐる断片的な考察」を読みました。
 ゴダールに呼ばれてスイスのゴダールのスタジオに行って「映画史」を見たというエピソードの描写から始まり、ゴダールの「(複数の)映画史」の中に出て来る言説「ダ・ヴィンチやフェルメールの有名な物憂い微笑みは、まず、私、と言う。私、それから、世界。ピンクのショールを纏ったコローの女性さえ、オランピアの考えることを考えてはいない。ベルト・モリゾーの考えることも、フォリー・ベルジュールの女給の考えることも。なぜなら、ついに世界が、内的世界が、宇宙(コスモス)と合流したからであり、エドワール・マネとともに、近代絵画が始まったからだ。つまり、シネマトグラフが。つまり、言葉へと通じてゆく形式が。より正確を期すれば、思考する形式が。」を巡って、様々な考察が行われていきます。
 内容は難解であり、私は最初の3分の1まで読んだところで先を読むのを断念しました。もちろん私にとって難解であるということであり、難解だと思わない人も多くいると思います。そうした方たちには刺激的な本なのかもしれません。ゴダールの映画に興味のある方にはオススメでしょう。

ロバート・アルドリッチ監督『キッスで殺せ』

2009-11-16 13:17:00 | ノンジャンル
 WOWOWで、ロバート・アルドリッチ製作・監督の'55年作品「キッスで殺せ」を再見しました。
 私立探偵のマイク・ハマーは、無理矢理精神病院に入院させられて裸にコートという姿で脱走してきたクリスティーナを夜道で拾いますが、男たちに捕まり、クリスティーナは拷問の末殺されて、マイクは彼女の死体とともに車に乗せられ崖を落とされます。意識を取り戻したマイクは入院中にレイ・ダイカーという男が訪ねてきたことを秘書のヴェルダに聞き、ダイカーからクリスティーナの住所を聞くと、彼女のルームメイトのリリーに会いますが彼女はクリスティーナが何か秘密を握っていたようだとしか言いません。男から匿名の誘いの電話がありますが、マイクを車ごと爆破するためのものでした。ダイカーから電話があり4人の名前が告げられますが、科学者のレイモンドを含む2人は既に殺されていました。残りの二人を雇うエベロの元を訪ねると金をやるから手を引けと言われますがマイクは拒否します。リリーが現れ、マイクの友人が殺され、ヴェルダはドクター・ソブリンという名前をマイクに教えますが、ヴェルダは誘拐されます。自宅に帰ったところをエベロの部下に捕まり、海辺の家で自白薬を打たれますが、逆にエベロらを殺し脱出します。クリスティーナがマイクに残してくれた言葉から彼女の死体に鍵が残されていたことを突き止め、レイモンドが会員だったアスレチック・クラブのロッカーを開けると箱が発見されます。その箱は暖かく、開けるとまばゆい光が放たれ、マイクは火傷を負います。知合いの警部補パットに報告に行くと、パットはそれが放射性物質であることを教え、マイクはパットに鍵を渡しますが、既にロッカーは壊され箱は強奪された後でした。マイクはヴェルダを救出するためにダイカーからミストの名を聞き出し彼の元に向かいますが、彼は睡眠薬を大量に飲んで眠ってしまっていました。マイクは睡眠薬の名が「ドクター・ソブリン」であることに気付き、ソブリン博士の家である海辺の家に向かいます。そこではリリーを名乗っていたソブリンの愛人が箱を一人占めするために博士を射殺していました。色情狂で頭のおかしい彼女はマイクも撃ち箱を開けますが、箱からの熱で体が燃えだし絶叫します。マイクは部屋に閉じ込められていたヴェルダを助け出し脱出すると、家は異様な音を出しながら爆発するのでした。
 プロットが複雑でストーリーを追うのは困難ですが、海辺の家でエベロらが殺される場面やラストシーンは50年代のハリウッドを象徴する素晴らしいシーンでした。薄気味悪い暗い海は「何がジェーンに起こったか」のラストシーンを遥かに予言するものだったと思います。文句無しの傑作、必見です。