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黒沢清監督『岸辺の旅』その1

2017-02-27 06:00:00 | ノンジャンル
 昨日書いたフランシス・レイのネタですが、YouTubeで『パリのめぐり逢い』を検索すると、次から次へと当時“イージーリスニング”と呼ばれていた音楽がかかり出し、レイモン・ルフェーブル楽団、ポール・モーリア楽団などのメロディアスな音楽を聴くことができました。レイモン・ルフェーブル楽団の『シバの女王』はラジオの深夜放送「ナチチャコパック」のエンディング曲としてもかかっていた曲です。若い方でまだ聴いたことがない方にはオススメです。

 さて、黒沢清監督・共同脚本の’15年作品『岸辺の旅』をWOWOWシネマで見ました。
 ピアノを弾く少女。先生の瑞希(みずき)(深津絵里)「もう一度最初から」。
 食卓。母娘と瑞希。「先生は悠長すぎます。もっとリズムを速めないと」。
 スーパーで白玉粉を買う瑞希。
 白玉粉を捏ね、アンを入れて、湯に。振り向くと夫の優介(浅野忠信)が立っている。「お帰りなさい」「何年になる?」「3年よ。優介、靴」「あ、ごめん」「白玉、食べる?」。
 「ありがとう。熱っ」「気をつけて」「うまい。急に来て驚いた? 俺、死んだんだよ。富山の海で。だから体はカニに食われてもうない。俺は病気だった。仕事に追われてる気がして、アップアップして。でも苦しまずに死ねた。ご馳走様」「随分探したのよ。お寺や教会や。それしかなかったんだから。探してほしくなかった? 部屋はそのまま残してるわ」。ソファに腰かけ「ここがいい。いいからこっちに来て。ここまでは長い道のりだった。途中で疲れて1か所に住みついてしまう者もいる」。
 翌朝。目覚めた瑞希「変な夢」。優介いる。「いたの? 私のこと恨んでる? 優介の病気に気づけなかったから」「俺自身突然錯乱して、運が悪かった」「また靴を履いたままよ。いつまでもここにいて」「あちこち綺麗な場所がある。ここに来るまで世話になった人も大勢いる。長い旅になるよ」。
 荷造りする2人。「何これ?」「稲荷神社の祈願書よ」「持ってけば?」「帰りたくなったら燃やせばいいわ」。
 「レンタカーで行く?」「免許証、燃やしちゃった」。
 駅で駅員に質問する優介。
 並んで座る2人。子どもが優介の脚に触り、優介は微笑む。
 駅。
 「この辺なんだけど」「分からないんだったら戻ろう」。通りすがりの新聞配達員を追いかけ「島影さん!」。バイクを停めた島影(小松政夫)に「こっちが妻の瑞希です」。
 島影、パソコンを叩き、「またこいつが」「機械との相性ってありますから」「小さな新聞屋だけど、優介くんが来てくれた時は地獄に仏だったなあ。今晩は泊まっていきなさい」「じゃあ私が夕食の支度をします」。
 テレビを見ながら夕食。島影、テレビ消し「最近のテレビはちっとも分からん」と新聞を読みだす。「彼女、どうです?」「似てない」。
 「優介、ここで働いてたの? 信じられない」「規則正しい生活は気持ちいいよ」と2人でベッドメイク。「似てないって?」「出て行った奥さん。似てるので今度本人を連れて来るって言ったんだ。奥さんは行方不明のまま。島影さんも俺と同じで、もう死んでる。大抵分かるんだ。ただあの人は自分の死に気づいていない。ある夜、強烈な夢を見て、それであの人の死が判ったんだ」。階段を上っていく島影。「寝よう」「うん」。
 朝。瑞希の隣で眠っている優介。
 配達された牛乳を手にする瑞希。
 広告を新聞にはさむ島影。「手伝いましょうか?」「じゃあ、この手袋使って。ゆっくりでいいよ」。
 店で買い物をした瑞希は、通りがかった島影に声をかけるが、無視される。呆然とした後、走り出す瑞希。
新聞屋に飛びこみ、優介がいるのに安堵する瑞希。「お帰り」「ただいま」。
 3人で夕食。
 満月。
 「優介が帰ってきたのはどうして?」「みっちゃんが好きだから」。眠る優介。
 新聞屋。島影が花の写真を切り抜くのを瑞希が見る。「しばらく生きる意欲がなかったけど、これはいい。趣味だよ。これが人生」。
 パソコンを直している優介。
 「パソコン、ダメでした」「こいつはよく働いたと思う」「後でバラバラにして資源ごみで出し、新しいパソコンを買いますか?」「なくてもいいんじゃないか?」「じゃあ、送別会をやろう」。
 料理する瑞希。島影「何ですか? これは!」「勝手にお借りしてすいませんでした」「前にすき焼き好きだって言ってたのに」「そんなこと言ってません。あれは油が沁みる。歴史ですよ。私は鍋を投げたことがある。それがあいつの頭にバーンと当たって……。家族だってブッツリ切れたらそれまでです」。島影去る。「止める?」「ううん」。
 夕方。道でしゃがみこんでうなだれる島影。優介「島影さん、うちに帰ってすき焼き食べましょう」「何でこんなにややっこしいことに? このところ呼ばれているような気がする」「おんぶしましょう」。
 「女房には悪いことをした。ゆーさんがまた来てくれて助かった」。
 瑞希に「島影さん、寝ちゃった」。瑞希に尻を押され、何とか2階に島影をおぶって運ぶ優介。島影をベッドに寝せて、靴を脱がせる2人。壁に貼られた花の写真を見て「かなり増えたな」。
 仰向けに寝る2人。「またいつか奥さんに会えるよね」「やりたいようにやっても、安らかになれるのかも」。優介、瑞希に背中を見せて寝る。瑞希もそちらを向いて誘うが、優介に拒まれる。「こういうこと、しちゃいけないの?」「ごめんね」。
 仰向けに眠る島影。(明日へ続きます……)