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加藤泰監督『人生劇場 青春・愛欲・残侠篇』その4

2017-02-22 04:37:00 | ノンジャンル
 昨日の東京新聞に「今年がロシア革命の100周年にあたり、トランプの主席戦略官のスティーブン・バノン氏がレーニン主義者を自称している」という面白い記事が載っていました。興味のある方は是非、ご覧ください。

 さて、昨日の続きです。
 飲み屋。吉良常「一緒にどうです? 三州に帰るってのは?」瓢吉「そうしよう」「ありがてえ。一晩でも一緒に旅ができる」。吉良常、去る。
 吉良常「そうですかい。小説を書くために上海に。てっきり食い詰めたと思いました。つくづく世の中が嫌になりますね。ヤクザが暴力団と手を結び。大旦那はいいい時に亡くなった。辰巳屋は料理屋になりました。三平が主人です。大旦那に使われてた下っ端が」「変わるもんだね、世の中は」「瓢吉!」「酔っぱらってんのか? 止めなさい」「情けない。御新造さんは今も瓢吉さんの帰りを待っていなさるんですよ」「常さん、飲めよ」。
 “昭和二年・秋”の字幕。飛車角が出所。迎えに来ていた吉良常は小金組が皆殺しに会ったことを告げ、宮川とおとよのことも話す。「おとよは今は行方知らず、家では宮川が待っている」と吉良常。
 宮川「兄貴、申し訳ねえ」飛車角「大声で笑ってしまえば、それで済むことだ」吉良常「もうこの話は打ち切りだ。3人で飲みましょう。角さんの出所祝いだ」宮川「じゃあ酒買ってくる」。宮川、去る。飛車角「小金の親分には義理がある。俺もお供させてもらう」吉良常「とっつぁんに報告しましょう」。
 夕暮れ。刀持った3人。風。主題歌がバックに流れる。
 殴り込み。「デカ虎、出て来い!」。デカ虎は女と風呂にいる。馬のいななき。宮川、デカ虎を斬り殺すが、自分も手下に斬り殺される。「死んじめえやがった。馬鹿野郎」と慟哭する飛車角。
 “青成瓢吉出版記念会”の看板。早稲田の校歌。黒馬先生もいる。そこへ「キラツネキトク」の電報。
 “三州・吉良港”の字幕。吉良常「うるさくて、寝てられねえ。昼間から芸者遊びなんかしやがって。今日は調子がいい。若旦那の出迎えに行きてえな」。そこへおとよが現れる。見つめ合う飛車角とおとよ。おとよを殴り、去る飛車角。
 雪降る海岸。おとよ「待って。生きてたのね」「宮川は死んだぜ。小金親分の仇を取って」。海の中へ向かって歩いて行くおとよ。それを止める飛車角。「この8年間お前の顔見たさにどんな気持ちで生きてきたか」。ヤクザらが現れて、2人を囲み、「やいやいやい」。飛車角「おとよは俺の女だ」。乱闘。「~の身内だぞ。常にそう言っとけ」おとよ「お前さん、うれしい」「ここで別れよう。お前には俺の気持ちは分かりっこねえ」。
 「常さん」「若旦那、本当によく来てくださったねえ。これでいつ死んでも」「何言ってんだ」「寿命は自分で分かるもんです」
 お袖「お久しゅうございます。ご病人、いかがです?」肘鉄(谷村昌彦)「~の女将さんですよ」「5年前に東京を飛び出て、ここで芸者」吉良常「ああ、おめえさん、あの時の」「どこって?」「言いっこなしよ。これも縁ね」「若旦那にまたお叱りを受けるかもしれねえんですが、頼みがございます。これで大旦那の墓を建ててください。常はこれでも男になろうと思って」「常さんは俺たち一家を一生支え続けてくれたんだ」「若旦那の帰りを御新造さんにもお知らせください。お喜びになります」お袖「常さんはとりあえず私の家へ」。
 運ばれる吉良常。(中略)
 汽車。
 瓢吉「常さん、分かるかい? おっかさんも来てくれたよ」「御新造さんのこと、頼みます」「分かってる。常さん。(お袖を紹介して)おっかさん、この女将さん、学生の頃からの知り合い」お袖「ずっと前連れて来ていただきたいと言ったこともあるんですよ。お父様が亡くなられた時」母「このガマ口の? うれしいお土産でした」おとよ「あのー、ちょっと失礼します。もう一度だけ、あの人に会いたくて」「あんたのこと心配して、また海の方へ行ったわよ」。
 おとよと飛車角。波しぶき。
 瓢吉「苦しいかい?」吉良常「夢を見てました。大旦那の。じっとこっちを見て立っている。声をかけても、どんどんあっちへ歩いていってしまう。どうしても追いつかない」「それでうなされていたんだねえ」「大旦那、浮かばれてないんじゃないですかねえ?」瓢吉「お墓のことは心配しなくていいって。皆が皆浮かばれないことってあるかい?」「若旦那、吉良の二吉、だんだん楽しくなってきました。角さん、一緒に歌わねえかい?」。浪花節をうなり出す吉良常。そしてばったりと倒れる。皆泣く。瓢吉だけ神妙な面持ち。立ち上がり「常さん、そのうちお母さんと一緒にそっちへ行くからね」。瓢吉の顔のアップで映画は終わる。

 ワンシーンワンショットが多用されていました。出て来る男女の男っぷり、女っぷりが皆いいという映画も珍しいんじゃないでしょうか? 特に田宮二郎の吉良常が良かったと思います。