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北尾トロ『山の近くで愉快にくらす 猟師になりたい!2』

2017-02-13 05:01:00 | ノンジャンル
 北尾トロさんの ‘15年作品『山の近くで愉快にくらす 猟師になりたい!2』を読みました。著者が長野県の松本に移住して3年目、狩猟免許を取得して2年目に体験したことをまとめた本です。
 以下、いくつか引用させていただくと、
・「初年度は師匠の宮澤さんに言われるまま、銃を構えて撃っていた。であれば、2年目は自分で考えて撃つ場所を決められるようになりたい。そのためには、獲物までの距離感が的確であるべきだし、的中したときの回収方法を考慮すべきだ。気配を悟られずに良いポジションを取るには、水の上にいる鳥から陸を見たときの光景がイメージできていないとダメである。確実に回収するためには、そのための道具を使いこなせないとうまくいかない。その道具が売っていないものなら自作するのがいい。そんな調子で考えるべきこと、やるべきことが増えていくのだ」
・「[猟師北尾、2シーズン目の誓い ・出猟回数を2ケタに増やし、経験値を上げる。 ・必ず1羽獲る。目標は5羽とする。 ・鳥の解体から調理まで、命をいただく過程を自力で行えるようにする。 ・大物猟に参加する。 ・山の被害の取り組みを具体的に追う」
・「焼きたてをこそぎ取って食べる鹿肉はジューシーで、塩を振るだけでいくらでも食べられる」
・「『第2回狩猟サミット』なる催しに参加してきた。(中略)主催者によれば参加者約200名の平均年齢は35歳弱。男女比は2:1。(中略)全国から集結している」
・「いいなと思ったのは、この種の集まりでよくみられるような団体参加がほとんどないように見えたこと。チラシやネット、口コミで情報を得た個人や少数グループが主流だったこと。そのため自然に交流が盛んになるのだ」
・「こんな具合で終始笑顔の絶えないイベントだったのだが、気になったことがある。みんな妙にマジメなのだ。環境問題の改善のために力を注ぎたい人。鹿やイノシシの被害をなんとかしなければと意気込む害獣駆除志願者。世界を旅し、田舎暮らしを模索するナチュラリスト。問題意識が高いからそうなるのかもしれないが、単純に猟をしてみたい、おもしろそうだからやってみたいという人に、不思議と出会わなかった」
・「もうひとつ、狩猟で生計を立てることを真剣に考えている人がけっこういたのにも驚かされた」
・「狩猟者はシーズンごとに狩猟登録を申請し、申請手数料、狩猟税、(猟友会加入者は)県猟友会会費、郡猟友会会費、大日本猟友会を通じて加入する災害共済を支払わなければならないのである。万が一の事故に備えてハンター保険に加入することも常識。地域によって違うだろうが、ぼくの場合で約2万円の出費となる」
・「(ヤマドリの)鍋を食べ始めてすぐ、ツマから賞賛の声が上がる。鴨やキジより旨いと猟師が口を揃(そろ)えるヤマドリだけに、肉もクセがなくて食べやすい」
・「今日驚いたのは、野生の肉のエネルギー。せっかくの獲物を残すことは許されないとがんばって食べたら、満腹で動けないばかりか、体の芯から温まったような感覚になるのだ」
・「鴨などの水辺にいる鳥なら泳ぎのうまいレトリーバーが回収犬として活躍する。レトリーバーは知能が高く、撃ち落とされた獲物がどこに落ちたか、しっかり記憶できるという」
・「山にいる狩猟鳥を得意とするのはセッターやポインター、スパニエルなど。鳥撃ちでの犬の役割は獲物を捕らえることではなく、居場所を突き止め、猟師が撃ちやすい場所に追い出すことになる」
・「キジは穀物を好むため里山に多くいる。昔は本当に多く、畑を荒らす害鳥扱い。農家の人に『キジを撃ってくれ』と頼まれることもあったらしい。(中略)猟師がウロウロしていても怪しまない地域性は、キジ撃ちが歓迎され、猟師を見慣れていることに由来するという」
・「12月後半、池に氷が張るようになると、鴨たちは居場所を変え、鳥撃ちの主戦場は川になる」
・「(前略)今年は宮澤さんがなぜその鳥を狙おうとするのか、理解できるようになってきた。距離が適正、無警戒、回収可能。この3点セットを必須条件とし、ポジション取りがうまくいき、鳥が静止するタイミングが訪れたときだけ発射する」
・「銃猟を始める(中略)初期投資の目安は30万円程度といわれています」
・「長野県では、平成25年度に約3万5000頭の鹿を駆除している」
・「でも、本日最大の収穫は、20代から60代までの鳥撃ち組が集まったことだ。現在の猟は鹿やイノシシ狙いが主流。害獣駆除の観点からも、圧倒的に大物猟が注目される中、この集まりは貴重じゃないですか」
・「鷹匠には大きく分けると、吉田流、諏訪流の二流があり、鷹の訓練法、鷹狩の技が異なるという」
・「(鷹狩は)技術的な完成の域に達したのが江戸時代」

 今回もアッという間に楽しく読ませてもらいました。