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グレン・グリーンウォルド『暴露 スノーデンが私に託したファイル』その1

2014-12-29 17:12:00 | ノンジャンル
 朝日新聞が紹介していた、グレン・グリーンウォルドの’14年作品『暴露 スノーデンが私に託したファイル』を読みました。
 2005年の秋、私はある政治ブログを立ちあがることにした。ブログをつくった主な理由は、9・11以降にアメリカ政府が採り入れたラディカルで極端な権力論に対して、私自身、少なからず警戒心を募らせるようになっていたからだ。〈ニューヨーク・タイムズ〉紙が爆弾スクープを報じたのは、それから七週間後のことだった。2002年、ブッシュ政権は関連刑法で必要とされる令状を取ることなく国民の電子通信を傍受するよう、国家安全保障局(NSA)に命じていたというのだ。同紙がスクープした時点で、この令状なしの傍受はすでに4年もおこなわれており、少なくとも数千人の国民がターゲットになっていた。
 私はそれから2年を費やし、このNSAの盗聴スキャンダルに関するあらゆる側面を取り上げた。ブッシュ大統領が指揮した違法な傍受は犯罪行為であり、傍受された人々に対して大統領は説明責任がある、ということだ。アメリカでは強硬な愛国主義と抑圧的な政治が台頭しつつあり、私のこうした姿勢は賛否両論を招いた。
 それでもその数年後、エドワード・スノーデンが私を選んでくれたのは、そういう背景があったからだ。彼はNSAが空前の規模で不正行為に手を染めていることを最初に打ち明ける相手として、私を選んだ。彼はそのときこう言った。あなたならこの大規模な監視と国の極端な秘密主義に危機感を抱いてくれるだろう、と。さらに、政府からの圧力にも、メディア及びそれ以外の場所にいる政府支持者からの圧力にも、屈することはないだろう、と。
 ちなみに、合衆国憲法修正第四条には、アメリカでは政府が全国民をひとくくりにした疑念なき監視権を持つことを永遠に禁ずる、と書かれている。
 エドワード・スノーデンから最初の連絡があったのは、2012年12月1日のことだった。連絡はEメールによるもので、以後の連絡はPGPという暗号メールを使用するように促していた。しかし、すぐに私は何も行動を起こさなかった。現在抱えている仕事で手一杯だったからだ。
 3日後、また連絡があった。最初のメールを受け取ったかどうかの確認だった。今度は早々に返信した。「受け取っています。PGPは使い方も分かりませんが、知恵を貸してくれる人間を探してみます」その日遅く、返信があった。PGPの使い方を一から順を追ってわかりやすく解説したガイドがついていた。
 2013年1月28日、私はメールを出して、暗号化について知人に手伝ってもらおうと思っていることと、その作業は翌日か数日のうちに完了させたいと考えている旨を伝えた。このとき、私たちは同じジレンマを抱えていたことになる。彼は私が暗号化ソフトウェアをインストールしないかぎり、自分がどんな情報を持っているのか、あるいは、自分が何者でどんな仕事をしているのかといったことさえ教えたがらなかった。一方、餌の中身がわからない私としては、彼の要求を優先させる気になれず、ついついプログラムのインストールを先延ばしにしていたというわけだ。私が重い腰をあげないと見るや、彼は“本気モード”にはいった。「ジャーナリストのためのPGP」と題した十分間のビデオを作成したのだ。機械音声生成ソフトでつくられた声が、順を追って暗号化ソフトウェアの簡単なインストール方法を教えてくれた。ご丁寧に図表までついていた。
 それでもやはり私は何もしなかった。のちに彼が語ったところによると、彼はこの時点から私に対して苛立ちを覚えはじめたらしい。「自分はこうして自分の自由を、いや、おそらく生命さえも危険にさらして、この国の最も大きな秘密を抱えた機関の、数万にも及ぶ最高機密文書を渡そうとしている。数百とは言わないでも、数十の大きなスクープを生むであろう情報をリークしようとしている。それなのに、この男はたかが暗号化プログラムひとつをインストールする手間すら惜しむのか?」(明日へ続きます……)

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/