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奥田英朗『おれに訊くんじゃない 近そうで遠い男と女のハナシ』その2

2014-12-21 15:46:00 | ノンジャンル
 一昨日の夜、厚木市七沢自然ふれあいセンターで「海王星を見よう」というイベントに母と参加してきました。巨大な望遠鏡で見た、青白く光る海王星が見られたのもよかったのですが、東の空のオリオン座の3つに並ぶ星を天球方向に伸ばして、一等星のアルデバランを経由し、その先のぼやっとした辺りに双眼鏡を向けると見えた、星が無数に散らばっている「すばる」の素晴らしさに感動しました。星がきれいに見えるところに住んでいらっしゃる方にはお勧めです。

 昨日の続きです。
・一時期、ハードボイルド小説に凝ったことがある。ハードボイルド小説の最大の魅力は言葉のやりとりである。タフでクールな男たちが、粋なセリフのキャッチボールをする。で、当然影響を受ける。このセリフはどっかで使えないか、なんてことを考えてしまう。青春とは、まさしく恥の玉手箱だ。ところで、私のハードボイルド病は、意外に早く終焉を迎えた。きっかけとなったのは船戸与一の『神話の果て』という小説。男が死地に向かう際、女に言うセリフ「さらばだ、ロッサナ、夢の国のこころやさしき住人よ!」これを読んで私は突然吹き出してしまったのである。かくして私はハードボイルドの世界とは無縁の人間となった。これはたぶん不幸なことなのだろうが、まあいいや、どうでも。
・私の気のせいかも知れないが、歯医者さんの助手というのはみな美しい。まず、歯医者の助手は受付の時から愛想が素晴らしい。また歯医者が助手を採用したのだと考えると、「若い愛人」などとの妄想も膨らむ。日常でイニシアティヴをとることに懸命になっている男たちが、ここではどうすることもできなく横たわるしかないというのも、今度はいいなりになる快感がわき出てくる。
・これは実話である。とある男性向けの雑誌で「女の子特集」を組むことになり、その編集部では学生バイトその他を動員して東京近郊の女子大生に声をかけ、某月某日、某所にて集合してもらい撮影会を開くことになったのである。ところが当日予想をはるかに上回る女子大生が集まった。編集者があわててバイトを呼び付けて話を聞くと、以下のような具合であった。「いやあ、知ってる女の子に『かわいい子10人くらい集めてよ』って頼んだんッスけど、なんだかわからないけど20人も来ちゃったんッスよ」編集者は考えた末、とりあえず全員の写真を撮ってあとでセレクトし、今日集まってくれた人たちには「ページ数の都合で全員が載せられるわけではありません」と断りを入れようと思ったが、それでも問題はあった。用意したカメラマンの人数もフィルムも足りないし、経費がかさむ。そして彼は一計を案じた。。カメラマンから余っているカメラと三脚を借りた彼は、少し離れた場所にそれをセットし、バイトにカメラマンのふりをさせ、そこにかわいくない子を送り込み、フィルムを入れないでパシャパシャとシャッターを押させたのである。 
・大好きな映画に『真夏の夜のジャズ』という作品がある。個人的な白眉はアニタ・オデイである。この映画のアニタ・オデイを見れば、女性なら100人のうち100人とも「生まれ変わったらジャズ・シンガーになる!」と思うにちがいない。私はカラオケは下手なので歌わないが、心の中でよく歌うのはニューヨーク・ヴォイスと呼ばれる魅惑の白人男性シンガー、メル・トーメである。
・体育会の体質というのは、基本的に嫌いなのだが、どこか日本の男子にとって抗しがたい魅力があるのも事実である。以前、企業のイベントをてつだったとき、どうしても力仕事の人出なりが必要になり、人の紹介で某硬派系大学の陸上部の学生をまとめて雇ったことがある。彼らはちきんと仕事をこなしたが、来たのは1、2年生だけで、最終日にアルバイト代を受け取りに来たのは上級生の主将とマネージャーだった。不条理なようだが、1、2年生もやがては搾取する側に回るのである。こういう男の世界があったのだ。
・男の子には残酷趣味がある。いちばんやったのはカエルの虐殺である。それに対し、女の子はヒューマニズムだったと思う。こんなことがあった。小学校でドブネズミが捕まり、その処分を任されたクラスでは、女子の意見が通り、ドブネズミを飼うことになり、名前まで考えているところへ、先生が現れ、「おいおい、おまえら何やってるんだ」と言われたことがあった。それ以来、かどうかは知らないが、私はどうもヒューマニズムが苦手なのだ。(また明日へ続きます……)

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/