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阪本順治監督『人類資金』

2014-12-24 15:15:00 | ノンジャンル
 阪本順治監督・共同脚本の'13年作品『人類資金』をスカパーの日本映画専門チャンネルで見ました。
 笹倉雅実大尉は「戦争で犠牲となった者の血と涙の結晶であるこれを、未来のため、全ての人のために使う」と言い、弾薬箱を開けさせると、中には金の延べ棒が何本も入っています。“1945”の字幕。一本を海に捨てる大尉に「なぜ?」と尋ねる黒瀬少尉は、大尉から「見せ金だ。誰かが見つければ金塊があった証拠になる」と答えられます。「船一隻につき24箱。6隻で総量600トン。よく盗んだ」と言う黒瀬少尉は、「本土決戦のために使う」と言いますが、大尉は黒瀬少尉を射殺します。空を見上げるサングラスで白いシャツの男(豊川悦司)。
 “八月十五日----終戦。日本は連合国の占領下に置かれ、軍は解体された。しかし戦時中に日本軍が集めた金塊などの財宝は、すべて正規の管理下に置かれたわけではなかった。復興から高度成長へと至る日本の戦後史において、その行方不明の資産は金融ブラックマーケットに流れ、戦後日本の形成に有形無形の影響を与えたと言われる。その名を----M資金”の字幕。タイトル。
 “2014”の字幕。真船(佐藤浩市)は、「人からだまし取った金だから気前よく寄付できる」と心の中で言い、路上で教育支援の募金をしている青年に寄付します。内閣官房副長官の名刺を持ち、M資金から1000億を融資するという話を企業にもちかける真船と相棒の坂田(寺島進)。そこに入ってきた男(石橋蓮司)は真船に「M資金など存在しないもので詐欺を働くのは、そろそろ止めろ」と言います。
 会社を出ると、「財団の人間が待っているので、ご同行願いたい」と青年が言います。青年は、財団は何回も名称を変え、最初のものは戦後すぐに設立されたこと、上野の御徒町会館に理事長の笹倉信彦がいることなども教えます。
 真船が御徒町会館に着くと、青年はこのビルは財団が建てたものだと言いますが、“市ヶ谷”と呼ばれる大勢の男たちに襲撃され、真船は青年に導かれて、地下壕から地下鉄を通り、脱出します。
 すぐに迎えが来ると言う青年は、金融市場では何十兆もの金が動いているのに、世界の7割の人は電話をしたこともないと言い、途上国の大半はプリペイド携帯で、ブラックマーケットが麻薬売買や人身売買に使っているとも言います。
 真船は青年に笹倉暢人(香取慎吾)に引き合わされ、発展途上国へのPDAの普及のための資金繰りに協力してほしいと言われます。日米共同で国策に沿う企業に融資してきたという暢人は、昭和20年8月15日あの海に沈められた10兆のM資金を盗むつもりだと言います。日本軍はフィリピンに侵攻した時、金塊を奪い、国内に運び、国家的へそくりとしましたが、終戦時に特務将校に奪われ、戦後復興を裏から支えてきた後、金融ギャンブルに使われているのだとも語ります。
 “ハバロフスク”の字幕。M資金のロシア支社に鵠沼(オダギリジョー)を尋ねた真船でしたが、成果を上げることはできません。
 帰国した真船は暢人に、青年がカペラ共和国の石(セキ)・ユーキットという人物であることを教え、字も書けなかった子が今は6ヶ国語を話し、経済の知識もあると言います。
 飛行機を3回乗り換え、貨物船に乗り込む真船ら。そこで暢人はM資金のアメリカ側の人間に捕まえられます。一方、石はジープでカペラ共和国に入国し、人々にPDAを渡します。暢人は自分たちの計画を失敗させるため、米軍が国際テロ組織と手を組む現地ゲリラを一掃するつもりであることを知らされます。
 “ニューヨーク”の字幕。貨物船はニューヨークに着きます。石は国連でカペラ共和国代表として演説をしようとしますが、アメリカに圧力をかけられた各国代表は席を立ちます。石はPDAを取り出し、自国の人々がPDAを使って、自分にとって大切なものを撮った写真を次々に見せ、各国代表を席に戻し、人類資金を使って、自力で自国を発展させていくことを誓い、拍手を浴びます。
 ラスト、暢人と恋人(観月ありさ)はカぺラに行き、真船も向かいますが、途中で車が故障し、歩いているうちに乾きから倒れます。やがて少年が水をくれ、真船はお礼に金を渡そうとしますが、少年はいらないと言って去ります。金を見つめる真船。エンディングタイトル。最後にアメリカが相場を左右していることが示され、映画は終わります。

 話が複雑で、よく分からない部分もありました(重要な登場人物である仲代達矢の役割がよく分かりませんでした)が、一面雪のロシアの岸壁でのシーンに見事なショットが見られました。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/