gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

溝口健二監督『歌磨をめぐる五人の女』

2008-12-20 15:47:06 | ノンジャンル
 一昨日発行のフリーペーパー「R25」に、大麻に関する記事が載っていました。日本以外の先進国は、ヘロインなどハードドラッグに接触する機会を減らすために、大麻などの割に軽い麻薬に関しては、個人の少量所持程度なら見てみぬふりをする「大麻の非犯罪化」を図っているそうです。大麻は中毒性がなく、ほんわか気持ちよくなる程度のものなので、私も暴力団の資金源を断つことにもなる非犯罪化には賛成ですが、皆さんはどうお考えでしょうか?

 さて、WOWOWで、溝口健二監督の'46年作品「歌磨をめぐる五人の女」を見ました。
 花魁道中。武士の小出栄西は歌磨の錦絵に書かれていた文句に激昂し、店主の蔦屋重三郎のいる郭に押しかけ、そこで聞いた歌磨のところへも押しかけますが、絵の勝負に負けます。歌磨は花魁のお蘭が彫り物を施すのを見に行くと、肌がきれいすぎて下絵が描けない彫り物師に代わって、お蘭の背中に下絵を書きます。栄西は武士の身分を捨て、浮世絵師になることを決意し、歌磨に弟子入りして、勢之助と名乗ることにします。勢之助の元恋人・雪江が訪ねてきますが、おきた(田中絹代)が勢之助を離しません。歌磨が説得に行きますが、勢之助は、堅苦しい武家社会に戻る気はないと言います。殿様が町人から集めた多くの腰元に、浜で貝集めをさせるのを、歌磨たちは盗み見し、歌磨はそのうちの一人をモデルにしたいと言い、本人に承知してもらいます。歌磨は町人になった雪江に勢之助を引き合わせ、お蘭は歌磨に会いに来ますが、歌磨は奉行に引っ立てられていきます。勢之助はお蘭の体を描かせてもらい、歌磨は絵を描くことを奉行に禁じられます。勢之助はお蘭と駆落ちし、おきたは二人が隠れているところを訪ね、お蘭に勢之助を返すように言いますが、お蘭は断ります。しかし、勢之助はおきたに強引にさらわれ、二人はよりを戻しますが、旅先で勢之助は病を得、雪江が金を届けに行きます。二人を見て泣く雪江。歌磨のところへ帰ってきたおきたに、歌磨は身を引くように言いますが、おきたは言うことを聞かず、お蘭と勢之助が一緒にいるところに出会わせると、おきたは二人を殺してしまいます。おきたは歌磨に「恋を貫いた」と言い、それを聞いた雪江は感激します。おきたは自首し、歌磨は奉行の許しを得て絵が描けるようになり、女の絵を描きまくるのでした。
 ワンシーン・ワンカットがかなり目立ってきていますが、それよりも田中絹代の演技の素晴らしさが目を引きます。歌磨は狂言回しのような役割で、演じている役者も魅力的でなく、やはり真の主役はおきたを演じている田中絹代でしょう。恋敵と恋人を殺しに行くおきたが、障子ごしに包丁を手に取るシーンは印象的です。溝口ファンにはオススメです。