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生物は生まれながらにして自由?

2008-12-09 16:16:24 | ノンジャンル
 月刊「ソトコト」1月号に、分子生物学者である福岡伸一さんの「自由であれ、という命令」と題する面白いコラムが載っていました。
 生命とは何か、という問いに対する答えとして、「自己複製するもの」という答えが現在定説になっているそうです。「生命の唯一無二の目的は、子孫を残すこと」、したがって「自己を複製するため、遺伝子は生物の個体を乗り物にしているにすぎないと」いうのです。
 しかし、この言明を有効にしたドーキンスの著書「利己的遺伝子」が書かれてから早30年。そろそろ生命の定義を考え直す時期に来ているのではないか、と福岡さんは述べ、次のように主張します。
 「ドーキンスが信奉するダーウィニズムは進化に方向性を認めていない。進化の原動力はただひとつ遺伝子上に生じる変異である。そして変異は全くランダムに起こり、そこには目的性や指向性は存在しない。ランダムに生じる変異のうち、環境に適合したもの、つまり繁殖にとって有利に働いたものが生き残る。それゆえ、後から見ると、進化がある方向性を持って進んだように見えるだけで、それは自然が選び取ったものにすぎない。
 しかし、最近分かってきたことは、私たちは、常に、生理的な欲求、脳が命じる行動、あるいは性的な欲求に突き動かされ、束縛されていてる、つまり『遺伝子の命令』に従って生きているのだが、同時に、私たちはその命令を相対化し、それに背くこともできるということだ。私たちは結婚しないでいることもできるし、家庭をもたないでいることもできるし、子供をつくらないでいることもできる。できるということは、つまり、そのような可能性・可変性もまた生物のありようのひとつなのだと考えることができるということだ。遺伝子の中には、産めよ増やせよという命令のほかに、あらかじめ別の種類の命令が含まれているといってもいい。それは『自由であれ』という命令」だ。その由来と意味を考えることがおそらく私の新たな課題になるだろう」ということを福岡さんは述べています。
 
 これは非常に興味深い考察です。私のモットーは「この世にしてはいけないことなど、何もない。しなければいけないことなども、何もない」ですが、分子生物学はそれを物理的に裏付けてくれていることになる訳です。自由は生まれながらにして生物が持っているもの、しかし平等は努力して社会の中で獲得していなかければならないもの。権利と義務は、自由でない社会に後付けで作られた単なる概念であること。私はこれは真実である気がするのですが、皆さんはどうお考えになるでしょうか?