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高野秀行『ワセダ三畳青春記』

2008-12-01 18:51:33 | ノンジャンル
 高野秀行さんの'03年作品「ワセダ三畳青春記」を読みました。高野さんが'89年から'00年にかけて早稲田にある木造アパートに暮らした日々を語ったものです。
 アパートには、人懐っこい大家のおばちゃん、正義感が異様に強く、司法試験に10回以上落ち続けている40代の男性、腐ったものを料理して異臭を放つ「守銭奴」、そして部員がしょっちゅう自由に出入りするので、プライベートな生活のない高野さんら早大探検部員の面々がいて、様々な騒動を起こします。中でも面白いのは、チョウセンアサガオの種を食べてその麻薬性を試すエピソードでした。
 高野さんは本来なら3、4粒食べれば十分のところを、中々効果が現れないので100粒以上も食べ、とんでもないことになります。その様子は同席した探検部後輩によって記録されていましたが、次のようなものでした。夜11時に種を食べ始め、11:55に突然「喉が渇いた」と言い出し、前方に手を伸ばしコップを握ろうとしますが、手が重くて届かず「木星の重力が‥‥」と言って意識を失い、12:10に、急に起き上がると、近くにあった本を何冊か重ね「これ、安くしとくよ」と言い、断られると「秘密の地図、どこにあるんだろう?」と遠い目をし、やがて酔っ払いのように、体をぐにゃぐにゃさせてうとうとしはじめ、12:15には鼻くそを盛んにほじくり、12:35からは、両手で頭から顔、胸、腹をなでさするような仕草を繰り返し、「何をしているのか?」と聞かれると、ひとこと「気持ちいい」と答え、その動作を延々とし、やがて観察者たちは飽きて寝てしまいます。そして朝の4時頃に縛られていたザイルをほどいて、便所にぼーっと突っ立っているところを発見され、その後午後3時までこんこんと眠っていたのでした。先輩のおかしくなっていく様子を淡々と観察している後輩達の姿を想像するとおかしくて、笑ってしまいました。
 これ以外にもいろんなエピソードがてんこ盛りです。気軽に読めて楽しめる、暇つぶしにはオススメです。